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2007-02-20

「獲らなくても減った」は真実か?

様々な漁獲パターンの元で資源量を維持するために必要なRPS(卵の生残率)を計算したところ、
次のようになった。

SPR(g) 補償RPS(尾数/親魚Kg)
漁獲無し 169 5.9(=1000/169)
減少前(1976-1988) 93 10.8
減少後(1992-2004) 48 20.7

ここで計算された補償RPSとRPSの実測値と比較してみよう。

rps.png

RPSが緑の線よりも低い年には、漁獲が無くても資源は減少する。
1988-1991の4年間は、緑の線を大幅に下回っており、
この時期には漁獲が無くても資源量が激減したことは明らかだ。
この4年間に関しては、マイワシの減少は自然現象と言っても良いだろう。
92年以降、緑の線を下回ったのは黒潮が例外的な蛇行パターンを示した99年だけである。
この年にも漁獲をしなければ、ほぼ横ばいといった程度の加入の失敗であった。
以上のことから明らかなように、92年以降のマイワシ資源は漁獲をしなくても減るような状況にはない。
92年以降の平均RPSは、漁獲がない場合の補償RPSの3倍以上の水準であった。
つまり、漁獲をしなければ毎世代3倍に増えるような高い生産力があったのである。

オレンジ色の線は、80年代以前の漁獲圧のもとでの補償RPSを示す。
92年以降、前述の99年以外の年のRPSは全てオレンジ色の線を上回っている。
つまり、80年代以前の漁獲をしていたら、資源は増えていたのだ。

赤の線が90年代以降の補償RPSである。
96年が大きく飛び出ているが、この部分は無視して考えて欲しい。
この年に産まれた資源は未成熟のうちに強い漁獲圧に晒されて、
結果として例年と大差がない産卵量しか残せなかったからだ。
資源を回復させる絶好の機会をつぶしてしまったのだ。

ここまでの内容のまとめ

  • 88-91の4年間は、RPSが低く、漁獲をしなくても資源が減った
  • 92年以降のRPSは漁獲をしなくても減るような水準ではない
  • 80年代以前の漁獲率を維持していれば、92年以降、資源は増えたはずである
  • 現在のRPSでは、現在の漁獲率のもとで資源を維持することは出来ない

本当はわかっているんだよね

http://www.tokyo-np.co.jp/00/cba/20070220/lcl_____cba_____000.shtml

 「ただね、最近は魚群探知機の精度が良いから、捕りすぎてしまうんだよ。
今だけが良ければって考えじゃなく、来年のことも思って漁をするようにならないと」。
男性は心配そうに、ぽつりとつぶやいた。

おもてだって発言をする人は居ないけれど、本当は獲りすぎだってわかっているんだよね。
彼らが来年のことも思って漁が出来るような状況を作るために、知恵を絞る必要がある。
それが水産資源学の重要な使命だろう。

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