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サバ

教科書に載せたい乱獲

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さて、マサバの歴史に何が起こったかを振り返るために、
年代別の平均漁獲量とその組成をまとめてみた。

saba03.png

漁獲量が減少するのと並行して未成熟個体の割合が大きくなっている。
典型的な乱獲スパイラルだ。

  1. 資源が減少する
  2. 漁獲量を確保するためにより多く獲ろうとする
  3. 大型個体が獲り尽くされる
  4. 小型個体の割合が増えていく
  5. 単価の下落を漁で補うために、ますます多く獲ろうとする→1へ戻る

現在は乱獲が行き着くところまで進行してしまった状態。
卵の生き残りがよい年があると、「豊漁だ!豊漁だ!」と言って、
0歳、1歳の未成熟で根こそぎ獲ってしまう。
確かに、90年代以降のマサバの生産性には目を見張るものがあるのだが、
大中まき網の漁獲能力は桁違いであり、マサバ太平洋系群は完全にフタをされた状態だ。

乱獲によって、
①資源の低迷 ②漁獲組成の小型化 ③漁獲率の上昇
が同時進行し、漁業の生産性が失われる。
管理をしない漁業は生産性が下がるという良い見本だろう。

マサバ太平洋系群は、水産資源学の教科書に見本として載せたいような典型的な乱獲だ。

さーて、いよいよマサバ太平洋系群ですよ!

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ある水産関係者様からコメント欄で教えていただいたとおり、
ちゃっかり期中改定していたみたいですね。

サバ類TACは、58.8万トンから65.5万トンへ、6.8万トン増量
このうち、大臣承認の大中まき漁業は、29.6万トンから33.2万トンへ3.6万トン増量
ただし、大中まきの漁獲量は、水増し後のTACも超過しているので引きつづき休漁中。
というような情勢です。

「サバは豊漁だから、獲っても良い」という意見もあるが、とんでもない。
今のマサバ資源は低水準であり、漁獲はできるだけ控えるべきです。
saba01.png

上の図はマサバ太平洋系群の資源量のトレンドだ。
1980年代から資源が減少し、90年代以降低水準で推移している。
この資源は高水準期には、400万トン程度の資源量があったわけだ。
60万トン程度で「豊漁だからいくら獲っても良い」とはならない。

「マサバ豊漁」というニュースをしばしば見かけるが、
それは近年の超低水準にあっては、例外的にまとまった漁獲があったということに過ぎない。
要するに、あまりに獲れないから、少し獲れるとニュースになるだけで、
本当に豊漁であった70年代と比べると雀の涙なのだ。

そして、注目して欲しいのは親魚の量だ。
近年、バイオマスはでこぼこと変動するが、親の量は安定して超低水準だ。
なぜかというと、まとまった加入があると成熟する前に根こそぎ獲ってしまうからだ。

saba02.png

上の図は年齢別漁獲重量(1000トン)である。
マサバは2歳で一部が成熟。3歳でほぼ全ての個体が成熟する。
90年代以降は、漁獲の大部分を0歳、1歳の未成熟個体が占めることがわかる。

マサバは90年代に2回まとまった加入があった。
92年と96年に親が殆ど居なかったにもかかわらず、大量の新規加入があったのだ。
しかし、「豊漁だ、豊漁だ」といって、0歳と1歳でほぼ獲りつくしてしまった。
マサバは近年増加傾向にあることは間違いない。
しかし、増えだしたらすぐにモグラ叩きように獲り尽くすから、増えようがない。
この漁業を続ける限り、マサバは永久に低水準のままだろう。

水産物の輸出促進に異議あり

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水産白書で一番あきれたのは、水産物の輸出促進。
ダイジェスト版の5,6ページを読んで、唖然としてしまったよ。

なんで、よりによって小サバなのか。
サバの資源回復のために休漁補償金をばらまいているのに・・・
低迷しているマサバ資源を完全にダメにする気なのか?

豊漁貧乏状態のサンマの輸出促進をするなら、大賛成だ。
しっかりとした規格に沿って船上冷凍をすれば、それなりの値段で売れるだろう。
サンマは、今の資源状態なら、当面はガンガン獲っても問題はないはずだ。

緊急提言
低水準資源の輸出は禁止して、高水準資源の成熟個体の輸出促進をすべきである
(小サバやスケソの輸出は禁止して、サンマの輸出促進をすべきである)

暴挙か?快挙か? マサバTAC超過問題

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まず最初に次の文書を見てください。

http://www.jfa.maff.go.jp/release/19/031401.htm

平成19年 3月14日 水産庁

大中型まき網漁業によるサバ類を目的とした採捕の停止について
 
今般、大中型まき網漁業によるサバ類の採捕数量が、同漁業に配分している平成18年漁期の漁獲可能量(TAC)を超過した事実が判明した。このため、3月14日付けでサバ類のTAC管理団体である(社)全国まき網漁業協会に対し、サバ類の採捕を目的とする操業を自主的に停止するとともに、今後、このような事態が生じないよう改善措置計画を策定するよう求めた。
(参 考)

1 平成18年漁期(平成18年7月~平成19年6月)のサバ類TACは58.8万トンであり、このうち大中型まき網漁業に29.6万トンを配分。
2 サバ類の総漁獲量は、現時点において、平成18年漁期のTACの総量(58.8万トン)を超えていないが、大中型まき網漁業による採捕量は、北部太平洋水域での漁獲が高水準であったことから、2月末時点で36.2万トンに達しており、前述のTAC数量を6.6万トン超過。

要するに、大中まきがTACを超過する漁獲をしていたから、水産庁に注意されたということ。
その背景を動画で説明しよう。 

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from 18 Mar. 2009

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