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エコラベル Archive

サイエンス・ゼロ雑感

サイエンス・ゼロは、見ましたか?
image07091901.png
なかなか良い仕上がりでしたね。
見損ねた方は、是非、再放送をご覧ください。

大きく3つの話題がありました。
1)マサバの乱獲
2)エコラベル
3)海洋環境を調べることから、魚の保護につなげようという研究

マサバに関しては、クロ現と重なる部分も多かったですね。
俺の画像も使い回しだし(笑
新たに撮った神奈川水試の調査風景はグッドでした。
一般の人にも調査の現場の雰囲気が伝わったのではないでしょうか。
そこで、マサバの年級群が単純化しているという話から、
ノルウェー→俺とつないで、最後にスタジオの渡邊先生という流れ。

俺の登場は一瞬でしたね。まさに、チラッとでただけ。
「ちゃんと獲り残せば、回復するという期待はある。」
「大切なことは、充分な親を確保すること」
という2点は俺が言いたいポイントであり、
良い部分を抜粋してもらったと思う。

渡邊良朗先生が、番組のわかりやすさに大きく貢献していた。
渡邊先生のコメントは、説得力があるんだよね。
テレビにむかって、「うんうん」とうなずいてしまったよ。
メッセージは明確だし、立ち位置もぶれないし、
一般の視聴者にもわかりやすかったと思います。
スタジオは渡邊先生と聞いたときに、グッドな人選だと思ったのだが、
予想を上回るグッドコメンテーターぶりでした。
マサバ漁業の危機的状況がお茶の間に伝わったことでしょう。

エコラベルについても良かった。
MSCは認証費用がバカ高いので、営利目的などという批判もあるが、
世界的には着々と進みつつある。
それだけ需要があるということだろう。
さて、日本初のMSC申請ということで、京都府のズワイガニが紹介された。
京都のズワイガニは個人的に応援している漁業です。
俺が修士の学生の時に、松宮先生のところに、京都の水試の人が会いに来た。
「とにかく資源管理の効果を評価して欲しい。厳しい結果が出ても構わない。
必要なデータは出来るだけ集める。」と言う話だった。
俺は「まじめに資源管理をしようという人が日本にもいるんだ」と感銘を受けたのだ。
その流れで書かれた論文がこれ。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003144786/
松宮先生が亡くなられてから、接点はとぎれてしまったが、
陰ながら、京都府の取り組みは応援をしています。
番組でも、資源管理の取り組みが詳しく紹介されていて嬉しかったです。
こういう漁業こそ紹介すべきだと、前々から思っていました。
目の付け所が良いですね。

最後の海洋環境に関するプロジェクトは、ちと微妙かな。
こういったプロジェクトが、魚の保護につながるかは疑問です。
海洋環境によって、魚の生産力は変わるけれど、現在の乱獲はそれ以前の問題。
未成熟のうちに獲り尽くすような漁業は、
どのような環境条件であっても正当化されません。
そういう明らかな不合理漁獲を放置したまま、
海洋環境と資源変動の関係に多額の予算をつかっても、
「資源減少は地球温暖化が原因である」というアリバイ作りにしかならない。
海洋環境と資源変動の研究例はすでに山ほどあるけれど、
実際の資源管理には殆ど使われていないという現実がある。
本気で海洋環境の情報を資源管理に役立てようと思ったら、
現在までに得られた情報をどうやってつかうかを考えるのが先でしょう。

日本独自のエコラベルだって!?

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200710240003a.nwc

 水産資源の保護や環境保全に配慮して漁獲したことを認証する日本独自の「海のエコラベル」が動き出す。漁業関連団体などで構成する大日本水産会が12月にも、「マリン・エコラベル(MEL)・ジャパン」を立ち上げ、来年初めから国内の水産物を対象とした認証を始めるもの。

本家の英国MSCは費用がべらぼうにかかる。
それが、「営利目的」と批判され、敬遠される一因になっている。
しかし、ユニリーバがMSCでビジネスをしようと思うなら、
金を積まれたからといっていい加減な漁業にMSC認定はできないので、
悪いことばかりではない。

一方、日本のエコラベルは交通費程度で取得できるらしい。
まあ、たしかに安いに越したことはないけど、
浜までいけばそれで資源が持続的に利用されているかどうかわかるわけではない。
過去のデータをもとに資源の持続性を検証するのは、専門的な知識が必要な作業である。
持続性を検証するには、時間もコストもかかるのである。
そういう作業を一切、抜きにして
審査員「資源管理やってる?」
漁業者「うちは、ちゃんとやってるよ」
審査員「じゃあ、OK! このシールを貼っておいてね」

というようなことをやるのだろうか?

「国内のほとんどの漁業者が、環境に配慮した漁業に取り組んでおり、
地道な取り組みを広く消費者にアピールするのが狙い」というのは笑うところかな?
じゃあ、なんで日本沿岸には魚がこんなにいないのよ?
形式的な、実効性に乏しい自己満足的な取り組みしかやっていないからだ。
非持続的に利用されてる日本のほとんどの魚にシールが貼れるようである。
これじゃあ、何の意味もない。
たとえば、今話題のスケトウダラ日本海だって、
沿岸漁業者は自主的な取り組みを積極的にやっていたよ。
かなり模範的な部類にはいるので、ここだってシールを貼れるわけだ。
資源を崩壊させるような漁業でも、楽々認定されるようなものは、エコラベルではない。

消費者が知りたいことは、
「資源管理の取り組みをなにかしらやっているか」ではなく、「持続的に利用されているか」である。
日本のエコラベルは、前者で資格認定をしておいて、
あたかも後者のようなイメージを植え付けるのであれば、消費者を欺くものである。
俺には、消費者に正しい情報を与えると言うより、
消費者をだまして魚を高く買わせようとしているようにみえる。

エコラベルを作ろうという方向性は良いと思うが、
現状では基本的な方向性が間違えていると思う。
どんな漁業が認定されるのかワクワクしながら待つことにしよう。

今度はラジオですよ~

○番組    ラジオあさいちばん(NHKラジオ第1放送)5時~8時30分
○コーナー  ニュースアップ(当番組のメインコーナー)
○放送日時 12月7日(金) 朝7時20分頃からおよそ8分間
○聞き手   木村知義キャスター
○編集    インタビューを約7分に編集して放送

ついにラジオですよ。ラジオは初です。
プレゼンは、視覚情報があるから楽だけど、
ラジオは声だけだから、難しそう。 
しかも7分と言えば、それなりの長さですよ、姉さん。
ということで、ちょっとドキドキしたのだが、無事に収録が終わりました。

収録はNHKのスタジオまで行ってきました。
自転車で15分なので、楽でよいですな。
少し早く着いたので、NHKの側のカフェでちょっと一息。
カプチーノを頼んだら、えらく時間がかかるので、何か思えばラスカルでした。
こういうサービスは嬉しいですね。
07120501.jpg

はるばる来ましたNHK。
中にはいるのは初めてだったりする。
07120503.jpg

テレビは長時間録画してほんの一部を使うので、
ラジオもそうかと思いきや収録時間は短かったです。
10分ぐらいだったでしょうか。
とちった部分、空白の部分を抜かせば殆ど全部が放送されそうです。
個人的には、日本独自のエコラベルを痛烈にDISる前に終わってしまって残念でした。

木村知義キャスターと収録後の一コマです。
インタビューを受ける場合、聞き手によって話し易さが違うのですが、
木村さんは抜群に話しやすかったです。人柄と経験のなせる技でしょうか。
07120502.jpg


月曜日にいきなり電話がかかってきて、
MSCと日本の水産の現状について教えて欲しいと言うから、
ブログに書いているようなことを話したのです。
そうしたら、この話題をラジオで話してくれということになりました。
あの電話は、俺がラジオに使えそうかのチェックも兼ねてたんだろうな。

ラジオの日程は凄くタイトです。
月曜日に「放送予定が金曜だから、収録は水曜か木曜でどうでしょう」と依頼されました。
いつもこんなにタイトなスケジュールなんですか?と聞くと、
これは例外的にゆとりがある方で、
前日に収録をするのが普通で、当日生と言うことも良くあるそうです。

質問リストが来たのが、昨日の夜で、
あまりいい加減なことも話せないので、昨晩は遅くまで調べ物でした。
MSCについては、伊沢あらたさんがWWFに着任した当時に話を聞いたきりで、
その後の進展をフォローしていなかったのです。
日本にいるとMSCは対岸の話というような感じだけれど、
欧米ではかなり広まっているようですね。
「世界の水産物の7%がMSC認証を受けている」という話です。
つい最近、MSC認証製品が1000件に達しました。
最初の500件の認証には7年かかったが、
そのあとわずか9ヶ月で倍の1000件に達したというのも驚きですね。
エコラベルは、世界的には大きな動きになっているようです。
ラジオのために調べ物をしたおかげで、いろいろと勉強になりました。
今回調べ物をした内容も近いうちにアップしたいが、OMの話もまだだし、
ノルウェーの話もまだだしで、もう、ぐちゃぐちゃですね。

エコラベルという新しい試み

消費者には、その魚が持続的に漁獲されたものか、
それとも乱獲されたものかを区別できない。
乱獲された魚と資源管理された魚では、
短期的には乱獲された魚の方が値段が低くなる。
悪貨は良貨を駆逐するということになるわけだ。
これは、まじめに資源管理をしている漁業者にとっても、
将来も魚を食べ続けたいと考える消費者にとっても不幸な事態である。

この状況を変えるための試みとして、
MSCのエコラベルが世界的に広まりつつある。
MSCのエコラベルは持続的に漁獲をされた魚にシールをはる。
意識の高い消費者が持続的な魚を選べるようにする試みだ。
下の青いシールが目印だ。

Image200801201.png

エコラベルの取り組みは、ユニリーバとWWFが初めて、
現在は非営利団体(Marine Stewardship Council)が運営している。

 合計で、およそ70の漁業がMSCの取り組みに携わっており、
24漁業が認証済み、34漁業が審査中、さらに20から30が非公開予備審査を受けている。
これらの漁業を合わせた水産物の年間漁獲量は4 百万トンを超える。
日本の海面漁業生産と同じぐらいだ。
世界の海面漁業生産(中国のぞく)の7%がMSC認証を受けている計算になる。

特にMSC認証率が高いもの
世界の天然サケ漁獲量の42パーセント
世界の主要な白身魚漁獲量の40 パーセント
世界の食用イセエビ漁獲量の18 パーセント

日本では、イオングループがMSC認証の水産物を販売しているものの、
あまり目にする機会はないだろう。
しかし、欧米ではすでに市民権を得たと言っても良い。
たとえば、マクドナルドやウォールマートは、
MSC認証製品以外の水産物は扱わないと宣言している。
07年11月に、MSC認定製品が1000に達した。
最初の製品から500 番目の製品までには7 年もかかりましたが、
それからわずか9 カ月間でその数は倍増したのだ。
持続可能な認証水産物の需要はきわめて高い。
消費者の意識の低い日本ではアレだが、
世界では持続的であることがビジネスチャンスを生むのである。

日本漁業でもMSC認証を目指す動きがある。
京都府機船底曳網漁業連合会(アカガレイ、ズワイガニ漁)、
北海道のホタテとサケが審査中だったかな。
まあ、どこもすんなりとはいかないようですね。
京都のズワイガニはまだ正式に認証されてはいませんが、
すでにフランスから輸入の申し込みがあったりするようです。
小サバの輸出みたいなのは即刻止めるべきだけど、
日本人よりも高く買う国には、輸出を促進すべきだろう。
そのための一つの手段として、エコラベルは重要だ。
ただ、認証には数百万単位で費用がかかるのがネックかな。
まあ、まじめに審査をすればそれぐらいの出費にはなると思う。

意識の高い生産者が、生産現場の情報を消費者に与える。
意識の高い消費者が商品を買うことで、持続的な漁業を支える。
エコラベルは、生産現場と消費者を結びつけることで、漁業を変えようという新しい試みだ。
MSCの今後の発展に期待をしたい。

類似品にご注意を~日本版エコラベル

日本でも独自のエコラベルをつくる取り組みが始まっている。
すでに、口が悪い読者からは「泥棒が売る防犯グッズ」などと揶揄されているとおり、
かなり駄目っぽい。

資源管理更新国である日本では、MSCのエコラベル認証をとれそうな漁業はほとんど無い。
MSCのエコラベルが普及すれば、資源管理をしている国とますます差をつけられてしまう。
そこで考案されたのが日本独自のエコラベルだ。
エコラベルを貼れない日本の漁業者がかわいそうだから、
誰でも張れるエコラベルを自前で準備したのだろう。
(そもそも資源管理をまじめにやろうという発想は無いのだろうか?)
電車賃程度で認証可能という時点で、消費者をを小馬鹿にしてる。
担当者「資源管理やってる?」
漁業者「うちは、ちゃんとやってるよ」
担当者「このシールを張っておいてね。それじゃあ。」
というようなことが行われるのは目に見えている。

厳密に審査をされたMSCのエコラベルと、誰でも張れる日本のエコラベルはまったく別物である。
しかし、一般の消費者にはエコラベルの区別はつかないだろう。
まんまと騙されて、非持続的な漁業で獲られた魚を高く買わされてしまう。
これは、乱獲された魚を騙して売りつけられる日本の消費者にも、
まじめに管理に取り組んでいる一部の日本の漁業者にも不幸な事態である。

MSCのエコラベルの根底にあるのは差別化の思想である。
消費者の力で、持続的な漁業を勝ち組にすることで、
世界をより持続的な方向に導くという狙いがある。
一方、日本版エコラベルの本質は、みんな横並びの護送船団である。
みんなで足並みをそろえて、仲良くシールを張りましょうということだ。
似たようなシールを無差別に貼れば、消費者は判断基準を失ってしまうので、
非持続的な日本漁業が差別されるのを防ぐことができる。
世界のエコラベルが目指す差別化を台無しにする効果があるのだ。
同じような取り組みでも、運用次第でまったく逆の機能を持つのである。
本来は資源管理だったはずのTAC制度も、
水産庁が運用すれば乱獲を容認するための免罪符に早変わりする。
こういうところだけは、本当に知恵が回る。
その知恵を、漁業を良くするために使って欲しいものである。

護送船団方式は、産業を傾ける確実な方法である。
生産性が低い、非持続的な経営体を保護する代償として、業界全体が沈んでいく。
味噌もくそもごった混ぜにして、横並びでシールを貼ろうという計画は、
漁業にとって百害あって一利なしである。
こういった愚行を、食い止めるのが専門家の使命であろう。
TAC制度も、ABCとTACの乖離をネチネチと指摘し続けた結果、
徐々にではあるが風向きが変わってきつつある。
日本版エコラベルに関しても、非持続的な漁業に対してシールを貼っていたら
嫁をいびる姑のように、ネチネチと問題にしていきたい。

認証第1号は2008年度半ばになる見通しだ。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200712070039a.nwc

ということで、どんな漁業がでてくるのか、わくわくしながら待つことにします。

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