漁業の補助金規制を巡る国際情勢

過剰な設備投資を促すような漁業に対する補助金を規制する動きが活発化している。
現在、WTOでは漁業の補助金への規制が議論されているのだが、
補助金が規制されるのは確実な情勢だ。
補助金漬けの日本の漁業にとって、とても重要なニュースだと思うのだが、
漁業者のどれぐらいが、このことを知っているのだろうか?

世界の漁業補助金の現状
1999年のOECD調査では、補助金は60億ドル弱と概算されており、
その内訳は、ECが12億ドル、米国11億ドル、日本25億ドル、
カナダ5億ドル、韓国4億ドルとなっている。
http://www.deljpn.ec.europa.eu/home/news_jp_newsobj146.php
日本の補助金は、世界の補助金の42%を占めて、ダントツで1位ですね!
おめでとうございます!
hojokin.png
EC(現EU)、米国、カナダは、資源管理に金を使っているから、
設備投資補助に補助金を大量に使っているのは日本と、
日本の漁業をモデルにしている韓国ぐらい。
また、その他が非常に少ないことにも注目して欲しい。
一部の漁業が盛んな先進国以外は、漁業に補助金を出す余裕がないのだ。

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漁業の補助金規制を巡る国際情勢 への5件のフィードバック

  1. 県職員 のコメント:

    WTOですか,,,日経新聞取らないといけません。うまく考えていることが整理できませんが,WTOの向かう方向性から見ると,我が国では,より一層輸入は促進され,資源を増やすための目的であっても補助金は出せないってことですよね。ただ輸入魚もいつまで安く買えるかわからないですし,漁業者は「自前」で資源を回復させるしかなくなる。
    過剰な設備投資のための補助金はなくなっても良いのかも知れませんが,例えば「資源に悪影響のない」資源回復計画に付随するような補助金でも禁止となる危険性もあるということですね。
    この理解は違いますでしょうか。よーわからんようになってきた。恐るべしWTO。
     
    <我が国、韓国等の「資源に悪影響のある補助金を限定して禁止すべき」との主張とNZ、米等フィッシュグループの「原則禁止(少数の例外)」の主張が引続き対立。

  2. 田舎漁師 のコメント:

     「補助金?使ってもらっている覚が無いね!」
     一般の漁業者はほとんどの人がこんな感じで、漁業者の為(?)に25億$も税金が使われている自覚が無いというか使われているのを知らないのでは無いでしょうか?
    だから、WTOで補助金規制の論議がなされていても無頓着なのではないでしょうか?
     私の経験から言わせてもらうと「漁船建造補助金」など設備投資の補助金は所謂「近代化資金」といわれているモノだと思いますが、この補助を受けるためには漁協を通すのがこちらの原則のようになっています。
     それで、事実上理事長の承認が無いと受けれないので、この補助金制度を利用して、「俺(理事長)に逆らう奴や反対派には斡旋しない」といったようなことをして、融資を餌に漁民を釣っている輩がいるので、こんな制度(近代化資金)は無いほうが良いと思っています。

    県職員さんが
    >水産関係者が集まるある集まりの席で,魚がいるのに,漁師がいない(あるいは獲ってない)浜ってありますと聞いてみたところ,それほどお金にならない限定された種を除いては,魚がいるのに漁師がいない(獲っていない)浜はないようでした。海での余剰生産はやはりあまり無いようです。
     
     と書かれていたのはたぶん私やjoe2さんが書いたことへの感想だと思いますが、アレは今現在いなくなっているのではなく、近い将来はいなくなると言うことです。
     でも、私の島では、地区によっては正組は完全にいなくなり、郵便局員が新規許可(世襲ではなく)を受けて準組で兼業しているところがありますよ。
     
    >田舎漁師さんへ:我々のような県の職員をうまく使ってやって下さい。

     これも私の経験ですが、県などに陳情や意見をすると、まず「組合はどこ?」と聞かれ、次に「組合を通してきてください!」と言われ、おまけに組合に「そちらの○○が直接来た。おたくはどうなっているのか!」と連絡を入れてくださります。
    そして、理事長からは「俺に恥をかかせた!」と
     補助金や補償金、はては海面関係の工事には理事長の承認がいるのでその利権が・・
    まぁそれは別としても、執行部と意見が違う(それが間違っているかも知れないとしても)とそれを聞き入れて(聞いて)もらうには直接会って言うしかないけれど、県はまず組合ありきだから難しいのでは?
     私が思うには、県職員さんのようにやる気のある人から積極的に漁民に近づくほうが、もっと生の声が聞けて良いと思います。
     水産関係者でも、上の方と下の方(表現がまずいかな?)では考え方にかなりの差があると思います。
     
     勝川さん
     教えてくれたページは主催している団体そのものが「魚は増えた」と業績を強調しなければならないところだから、私としては彼等のいい分は俄かには信じがたいです。
     成果が上がらないと存在意義が問われるところですから。

  3. 県職員 のコメント:

    田舎漁師さんへ
    我が県でも以前は全てではないですが,多数派の意見のみをとりあげ,少数派の意見を無視するという手段が多くとられていました。(民主主義だからしかたがない面もあります。)しかーし,どうもおかしな事が多いので,少数派の意見もきちんと聞いた上で,いろいろな施策に反映するという手法に変わってきました。少数派の方の意見を聞く場を設けると,普段不平や不満を言う場所がないのである程度意見を言うことによって,すっきりなさるという場合もあったり,法律や制度上の説明をきちんと聞くことによって誤解が解けたりする場合,本当に多数派がおかしな場合などいろいろです。それぞれのケースに応じて,適切に対応していくことが,現場にたずさわる者の責務では無いかと感じています。
    私の経験では,あまり全ての意見を聞きすぎると身動きがとれなくなることがあります。こういう時に拠り所になるのが,国や県が作る基本計画なのですが,その基本計画が駄目だとすると,苦しいですね。
    あと,航路浚渫などの補償金などが何年かに1度入ってくるような漁協では,たとえちゃんと毎日海に出て漁業をしている人が組合に入りたいと言っても組合員に入れないような所もありますね。

  4. 匿名で甘えさせてもらっているヒト のコメント:

    田舎漁師さんへ

    水産普及指導所や水産試験場なんかを利用されたらいかがですか?

    彼らは、お金は持ってませんけど(笑)、科学技術的な協力は惜しまないと思います・・・あと、お金を持っている行政サイドへも、彼らを通じて働きかけてみたらどうでしょう? 事情が分かっていれば、余計なコトは言わずに行政サイドに意見具申するかと思います・・・でも、お上が地下で働く手足の話を聞いてくれるかどーかは、結構、微妙なところなんですけどね。。。(〃_ _)

  5. 勝川 のコメント:

    県職員さん
    厳しくなることは間違いないですが、本当に必要なものは残るでしょう。
    減船のための保証金が禁止されることは無いでしょう。
    漁船の買い換えの補助は難しくなるですね。
    まあ、減価償却費用を捻出できない時点で、
    経営としては成り立っていないわけだから、
    努力量を増やすための補助金と見られてもしょうがない。

    ただ、こういう問題は政治的な思惑が絡みやすいWTOではなく、
    FAOでやるべきだと思いますね。

    田舎漁師さん
    いろんなレベルで、いろんな問題がありそうですね。
    漁協の理事は「天皇」とか呼ばれているには、
    そういう理由があるのですね。
    なるほど、いろいろと納得しました。

    >アレは今現在いなくなっているのではなく、
    >近い将来はいなくなると言うことです。
    自然消滅を待っていたら、産業自体が無くなる。
    そのまえに、漁獲量を減らして、一部でも生き残って欲しいと思うのです。

    >教えてくれたページは主催している団体そのものが
    >「魚は増えた」と業績を強調しなければならないところだから、
    >私としては彼等のいい分は俄かには信じがたいです。
    「宣伝してるけど、本当は増えてないんじゃない?」と疑っていたのです。
    本職から信じがたいというお墨付きを得て、確証に変わりました。
    もうじき、評価票の詳細版が出るので、そうしたら徹底的に調べます。

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