赤松農水相、23年度にも漁業へ所得補償 – MSN産経ニュース

赤松農水相、23年度にも漁業へ所得補償 – MSN産経ニュース.

農水相は、水産資源の枯渇による水揚げ量の減少や魚価低迷、燃油価格の上昇など漁業を取り巻く厳しい状況を指摘。その上で「漁業者が胸を張ってやっていけるよう所得を約束する」と述べ、22年秋までに定額の補償水準など制度の概要を固めたい考えを示した。

補助金で生活しておいて、「胸を張ってやっていける」はないだろう。諸外国の漁業者は、持続的に魚を捕って、高い利益を上げている。個別補償が必要になる時点で、漁業者・行政・政治家・専門家は恥だと思わないといけない。一つ前の記事に書いたように、日本の乱獲漁業では、資源を破壊しながら、利益が出せない。乱獲を取り締まるのは、国連海洋法条約でも規定されているように、国家の義務である。きちんと資源管理をして、漁業者が魚を売って、生計をたてられるようにするのが国の役割である。そこのところをはき違えないで欲しいものだ。

漁業の所得保障は、副作用の大きい劇薬である。日本のように資源管理が出来ていない国が、すでに過剰な漁業者を維持するために税金をばらまけば、あっという間に、日本漁業は死ぬよ。漁業権利権を当て込んだ、既得権保持者が、外部参入を閉め出して、ますます漁村の高齢化が進むだろう。魚もいないのに、過剰な漁業者を維持して、それを税金で食わせていくのは、漁業再生に全く逆行する。

民主党は、マニフェストにおいて、個別TAC(おそらくIQ)を導入するための手段として、個別補償を打ち出していた。資源管理を導入する際の一時的な収入減少を補うという目的であれば、個別補償は有効だと俺も思う。しかし、資源管理の具体像がなにも見えてこない中で、所得保障の話しだけが進行しているように見える。個別補償にしても、漁済経由で一律に配るというようなことを、民主党の水産部会は言っている。今までの「ばらまき」のインフラをそのまま使ったら、同じような「ばらまき」にしかならないだろう。所得保障をするにしても、基準を明確にした上で、透明性を確保して直接給付をすべきである。自民党は、直接補償という最後の一線は踏み越えなかった。不透明な乱獲資金をばらまいて、漁業権利権を強化し、漁業の高齢化を更に進めるぐらいなら、無駄な漁港を建てている方がまだマシだ。

民主党の水産政策を判断する大きな材料は、個別補償のやり方だろう。マニフェスト通りに、資源管理を前提とした補償制度をつくるのか、それとも、乱獲を野放しにしたまま、一律に機械的にばらまくのか。今後の推移を注意深く見守りたい。

カテゴリー: 研究 パーマリンク

赤松農水相、23年度にも漁業へ所得補償 – MSN産経ニュース への5件のフィードバック

  1. 見つけました~。 のコメント:

    >福岡県志摩町

    牡蠣養殖をしていて牡蠣代+炭代で飲食業をやっているけど儲かっていないのかね???

    福岡県にまつわる事案

    その1
    博多海砂採取協業組合(旧・博多海砂採取共同組合) どこまで続く違法行為
    [福岡市政ニュース]
    2008年01月16日 12:58 更新

    福岡県は違法組織の味方なのか!
    http://www.data-max.co.jp/2008/01/post_326.html

  2. kato のコメント:

    >民主党は、マニフェストにおいて、個別TAC(おそらくIQ)を導入するための手段として

    私の認識は少し違っていまして、民主さんは沿岸と沖合は切り分けていて、沿岸についてはどちらかというと燃油補填的な意味合いが強く(つまり一律配布?)、沖合のみ個別TACも考慮という図式のような印象でいます。絵空事だと思っていたのでずっとスルーしていたのですが、山田さんの古いブログなど見るとそんな風に思えてきます。http://www.yamabiko2000.com/modules/smartsection/item.php?itemid=124

    マニュフェストを読むと「個別TACの対象となる漁業者《又は》資源管理計画に即した生産を行う漁業者」(《かつ》でなく《又は》)なので、たぶん沿岸については資源管理計画(=水産庁の資源回復計画?これを否定している訳ではなさそう)さえ設定していれば対象になるのでは。http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/15.html

    そしてそのシステムが漁済のそれと酷似しているので、事務的にもここ経由でというのは自然な流れなのかもしれません。http://www.dpj.or.jp/news/files/nenyu.pdf

    追記。日経の記事はお得意のとばしかもしれませんね。

  3. 勝川 のコメント:

    見つけました~ さん
    砂利採取の影響は酷いみたいですね。本当に漁場が荒れてしまうと、漁師さんは嘆いておりました。魚なんてろくすっぽ獲っていないトップの人間には、漁場よりも現金なのかもしれませんね。漁業権は、排他的に漁業を営む権利であって、漁場を切り売りする権利じゃないんだけど。

    katoさん、
    情報をありがとうございます。確かに、沖合と沿岸のトーンの違いが気になっていたのですが、確かにそう考えると腑に落ちますね。
    日本漁業にとって、沖合の乱獲を抑制するのが火急の課題であり、沿岸は後回しというのは、解らなくもないです。でも、魚を獲らない人にも一律な既得権を増やしたら、ますます、新陳代謝が落ちて、漁村の衰退が加速するような気がするのですが、これは杞憂ですかね。
    組合に対しては、排他的利用権をあたえるだけでなく、漁場・資源の管理責任も明確にすべきです。すでに管理をしている組合はそれを情報公開するだけでじゅうぶんですし、そうでない組合は出来るだけ早く資源管理の機能を取り込んだ方が、長い目で見れば良いと思います。
    確かに、資源管理の導入による収入の減少分を補填するというのであれば、漁済と似ていますね。
    まあ、なんにせよ、この件は続報待ちですね。

  4. 見つけました~。 のコメント:

    玄界灘の不漁の問題は県境から『佐賀県側は砂採取』で『福岡県側は温暖化』だそうでwwwwwwwwwwww。

  5. 勝川 のコメント:

    あはは、地球温暖化ですか。福岡県、やるなぁ。

    そもそも、生態系への影響が大きすぎるので瀬戸内海での砂利採取が禁止になり、採取場所が九州に移ったのから、影響がないはず無いんですけどね。

kato へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です