- 2009-09-09 (水) 14:04
- 日記
冊子媒体はかなり前に目を通していたんだけど、ようやくPDFがネットで公開されたようなので、紹介しよう。
例によって、玉石混淆ではあるが、今回は当たりが多かった。とくに必読と言えるのが、これ。いろいろと考えさせられたね。
労働生産性向上にこそ再生の道 崎浦 利之
「水産流通は生産性の低さを克服しないと生き残れない。」という指摘は、全くその通り。
日本の水産流通は、日本市場を囲い込み、効率的な参入者を排除することで、非効率な既得権保持者を延命してきた。経費がかかる市場を回避するために、市場外取り引きが急速に伸びている。その結果、市場が本来持っていた魚の価値付けという機能が、小売りから失われてしまった。魚の価値の解らない人間が、パックに入った切り身に、値段シールを売って終わり。漁業関係者は、包丁を握らない主婦が悪いと愚痴っているが、逆に、消費者の立場から言わせてもらうとと、思わず包丁を握りたくなるような魚を見かける機会が実に少ない。養殖のえさにしか成らないような小魚や、産卵場で根こそぎ巻いてきた身がスカスカのマグロとか、そんな見たくもない魚ばかりで、うんざ りだよ。
市場が持っていた、魚の価値を決めて、行く先を決める機能を、より安価に提供できるような市場流通システムを作らないと、漁業の先は厳しいだろう。
「魚の消費が増えているのは今や国内ではなく、海外なのだ」というのも、その通り。
「水産流通に携わるトップリーダーの方たちは、早く国内流通の改革にめどをつけ、海外のマーケットに打って出なくてはならない。今こそが、日本の水産業が自力で改正に立ち上がる本当に最後のチャンスだ。」というのも、うなずける話だ。日本漁業が生き残るカギは、資源管理とマーケティングの2つを何処まで徹底できるかだろう。
鴨川市漁業協同組合のおばちゃん組合長の話もおもしろかった。沿岸漁業の事情が透けて見える。
鴨川の漁港は「ヨーイドン」で漁船が一斉に出港するシステムをとっている。よい漁場に人より早くたどりつくためには、船の性能が重要だ。いまや漁船は船の価格が一億円、そこに数千万円の機械設備を複数積み込むという高額な投資になる。
鴨川競艇、毎朝開催中です(笑
漁業者間の早どり競争で、無駄に金がかかっている。ITQなら、早どりのための高出力エンジンや、全速力の無駄な燃費は不要になる。かなりの経費削減になるはずだよ。こういう無駄な競争は止めようと、なぜ、漁師は思わないのか?
水産市場流通にチャレンジ 有限会社 吉武水産も興味深い事例だ。単価を上げるという方向性は正しい。しかし、現状で、それが根付くかは微妙なところだ。設備投資をしたら、魚が捕れなくなる可能性もある。漁獲量が不安定ななかで、魚価アップのために投資をするのは、博打だと思う。資源管理で漁獲量を安定させるのが先だろう。
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