水産物の輸出促進に異議あり

水産白書で一番あきれたのは、水産物の輸出促進。
ダイジェスト版の5,6ページを読んで、唖然としてしまったよ。

なんで、よりによって小サバなのか。
サバの資源回復のために休漁補償金をばらまいているのに・・・
低迷しているマサバ資源を完全にダメにする気なのか?

豊漁貧乏状態のサンマの輸出促進をするなら、大賛成だ。
しっかりとした規格に沿って船上冷凍をすれば、それなりの値段で売れるだろう。
サンマは、今の資源状態なら、当面はガンガン獲っても問題はないはずだ。

緊急提言
低水準資源の輸出は禁止して、高水準資源の成熟個体の輸出促進をすべきである
(小サバやスケソの輸出は禁止して、サンマの輸出促進をすべきである)

カテゴリー: マサバ, 研究 タグ: パーマリンク

水産物の輸出促進に異議あり への5件のフィードバック

  1. kato のコメント:

    資源5%回復させるのと魚価を5%アップさせるのを天秤にかけると…。

    思うに「資源」関連の施策は時間がかかり効果も見えにくい。一方「流通」系の施策は分かりやすく即効性?があり、また沿振法→基本法になりこちら方面の施策がやりやすくなっている。決して資源軽視ということはないと思いますが、優先順位・やりやすさから、そういう面が目立ってしまうのかもしれません。

    サンマは案外輸入もあるようですね。
    http://blog.goo.ne.jp/tarezou_1998/e/b25901aa56d997011f372613e7f94a7e

    また台湾の冷凍サンマの品質は日本のそれより質がよいのだとか(ちょっと古い)。
    http://www.eonet.ne.jp/~namadu/inpotfish4.htm

    その他サンマ流通系の話題
    http://ryoshi.seesaa.net/article/9592221.html
    http://macoco.at.webry.info/200610/article_8.html
    http://www.abecho.co.jp/20060323suisankeizai.htm
    ご存じでしたらスミマセン。

  2. 県職員 のコメント:

    水産庁は,水研を独立法人にして切り離してしまったから,資源のことがわかる人がだんだん減ってくるでしょうね。付加価値向上はいいことだし,それで漁獲圧を押さえられるなら言うこと有りませんが,高い漁獲圧のまま,現在は低価値の資源にまで手をつけるようになれば,ますます乱獲になるだけでしょうに。

  3. k のコメント:

    スケソウの輸出も止めてやってください。

  4. ある水産関係者 のコメント:

    今年の白書は「とんでも」系の記事が多すぎますね。長年、白書を見てきましたが、今年ほど水産庁の率直な本音(?)が正確に読みとれるものは無かった気がします。そういう意味で、読み方次第では、大変参考になります。
     輸出の話も「噴飯モノ」ですが、3頁の「マグロの乱獲許しません」は、ある意味もっと興味深く(?)読みました。正に、「天に向かってツバを吐く」そのまんまの内容ですね。
     水産庁の方と話をしていていつも考えさせられるのは、彼らは国家公務員でありながら「国民のため」に仕事をするのではなく、「漁業者のため」に仕事をすると言いながら、それを口実にして、実は自分のために仕事をしていることを全く自覚していない、ということです。水産白書の「本音」も、そんな基本認識と、つじつまの整合性をスルーしちゃった故にボロが出たと思います。
     本来、純粋な経済活動であるはずの漁業を「国民に貴重な食糧・動物性タンパク質を供給する重要産業」として聖域化し、それをネタに「漁業者のため」と称して考えた自分たちのためのもっともらしい事業(予算)や対策の集大成、それが水産白書と理解しています。

  5. 勝川 のコメント:

    katoさん

    >資源5%回復させるのと魚価を5%アップさせるのを天秤にかけると…。

    この意見には、漁獲量は現状維持できるという前提があるように思います。
    国内の生産量をみればわかるように、資源は年々減ってます。
    漁獲量が5%下がるのに2~3年でしょうか。
    資源の枯渇という問題に取り組まない限り、
    頑張って魚価を上昇させても、焼け石に水です。

    サンマに関するサイトを紹介して頂きありがとうございます。
    勉強になりました。
    また、他の読者の方も参考になると思うので、
    今後も関連サイトを紹介していただけると助かります。

    サンマに関しても書くべきことはいろいろあるのです。
    先日、サンマ研究の第一人者である東北水研の上野さんがうちの研究室にきて、
    いろいろと話をしてくださいました。
    サンマ漁業もいろいろと厳しい状況にあるけれど、
    世界的にも需要はあるので、やり方次第で儲かる漁業も可能です。

    では、なぜ今のやり方では利益が出ないかというと、
    多く獲ることばかり考えて、高く売るための努力をしていないからです。
    日本のサンマ、港にかえってから冷凍されています。
    鮮度が落ちるので、欧州など魚を高く買う地域に輸出できません。
    サンマこそ、補助金で船上冷凍設備を充実させて、
    輸出を促進すべきなんですよ。

    県職員さん
    国内では需要がないような小さい魚を海外に二束三文で売っているわけです。
    あと2~3年待てば、国内でも高値で売れるような魚を無駄にしている。
    乱獲・不合理漁獲も行き着くところまで行ってしまった感があります。
    飼料だとkgあたり20円が、中国に輸出すれば飼料だとkgあたり50円になる。
    でも、3年待てばkgあたり600円になるし、産卵にも寄与します。

    水研を切り離したのはあまり関係ないですよ。
    最近は、ABCの業務などで接点は増えていますが、
    以前は、行政と水研は殆ど接点がなかったみたいです。

    kさん
    >スケソウの輸出も止めてやってください。
    ズバリ無理です。
    しがない研究者には、ABCがグダグダになるのを
    身を挺して止めるぐらいしかできません。
    本分の緊急提言に関しては、スケソも入るようになおしてみました。

    スケソも日本海はいよいよという感じだけど、
    韓国に輸出してるんだよね。

    ある水産関係者さん
    >今年の白書は「とんでも」系の記事が多すぎますね。
    私も、今年の白書はお笑いの領域だとおもいました。
    マグロは、まさに「お前が言うな!」ですね。

    >長年、白書を見てきましたが、今年ほど水産庁の率直な本音(?)が
    >正確に読みとれるものは無かった気がします。
    >そういう意味で、読み方次第では、大変参考になります。
    悪いのは、魚を買わない消費者とマグロを乱獲をする外国だ、ということですね。
    ただ、そこに至る道筋があまりにもお粗末というか・・・
    去年までは、都合が悪い部分はぼかしつつも、全体としての整合性はありました。
    識者につっこまれても、逃げられるように上手くぼかして書いていたわけです。
    このあたりは「流石に役人」と思わせる書きっぷりでした。
    でも、今年はつっこみどころ満載というか、
    整合性の部分が破綻しているようです。
    しかし、殆どの新聞が白書の内容をそのまま伝えました。
    裏もとらずに大本営の発表を垂れ流すメディアには危機感を覚えます。

    >本来、純粋な経済活動であるはずの漁業を
    ここは私は意見が違います。
    純粋な競争原理にゆだねてしまえば、漁業者は短期的利益の最大化に走り、
    資源が枯渇するのは自明の理です。
    公的機関が長期的利益を考えて、政策誘致をする必要はあります。
    ただ、現在の水産庁は、短期手利益を追求する手助けしかしていないので、
    これなら、なにもやらない方がマシですね。

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