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日本近海のクロマグロ漁業の現状 その2

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大西洋クロマグロを、壊滅的に減らした一番の要因は、産卵場での巻網操業である。産卵場で産卵群を巻き網で一網打尽にする破滅的な漁法が日本でも2004年から開始され、日本海のクロマグロ産卵群が激減している。実は、日本のクロマグロは、タイセイヨウクロマグロと同様に、危機的状況にあるのだ。

最近、日本海での大型巻き網船の漁獲量が急激に増えている。日本海産卵場で漁獲されたクロマグロは、ほぼすべて境港に集まる。富山も市場が水揚げ報奨金を出したりして、水揚げの誘致しているんだけど、マグロの解体処理に必要な人手が確保できない。結果として、マグロの質が落ちてしまって、値段がつかないので、水揚げされないようだ。境港は、魚がいなくて暇をもてあましている沿岸漁業者が山ほどいるので、「明日マグロがあがるよー」と言えば、200人ぐらいの熟練労働者がすぐに集められる。現状では、まとまった漁獲はほぼすべて境港に水揚げされるので、ここを抑えれば日本海産卵場での巻網の漁獲は把握できる。境港のクロマグロの水揚げはこんな感じになっております。

それまで比較的コンスタントだったのが、2004年から急増した。この前後で、巻網の漁獲方法が変わったのである。2003年までは、クロマグロは混獲の対象であり、「イワシやサバの群れを巻いたら、マグロが入ってた。ラッキー」という感じだった。2004年から、何が変わったかというと、産卵場で、マグロの産卵群を狙った操業をはじめたのである。具体的にどういうことをやっているかは企業秘密なのだが、地を這うような聞き込み取材をしたところ、だいたいのイメージがつかめてきた。日本海のクロマグロの産卵群は、北の方から群れを作って産卵のために下ってくる。そのときに海の底を超高速で泳ぐ。餌も食べないし、網にもかからないので、つい最近まで、漁業者はクロマグロの産卵群が大量に回遊しているのを知らなかった。また、知っていたとしても、獲るための技術が無かった。その状況を変えたのがソナーである。従来の魚群探知機は、自分の船の真下しか見えなかったので、高速で海底を泳ぐマグロ産卵群を追跡することはできなった。ソナーをつかうと、船の周りを360度、1km先の魚群まで丸見えになる。ソナーが普及して初めて、マグロ産卵群を追跡できるようになったのである。

クロマグロ産卵群は、特定の水温帯を通って南下し、産卵条件が整ったら、海面に浮上して産卵行動を開始する。海底を泳いでいるうちは、巻き網では手出しができないので、ソナーを使って根気よく追跡し、産卵行動で浮遊してきたところを一網打尽にしているのである。巻き網漁業者曰く「産卵行動が終わってから、獲っているよ」とのことだが、本当のところはわかりません。

こうして、産卵期に、産卵場で獲られたマグロは、本当にまずい。栄養をすべて卵にとられたうえに、産卵回遊中は餌を食べないから、身がぱさぱさしている。食えたもんじゃない。ヨコワの方が100倍うまいという代物なのだ。これが築地にいくと1kg1200円ぐらい。日本海本マグロといえばありがたがって食べる消費者のおかげで、一応値段はつくのだが、一本釣りのクロマグロは1kg5000円ぐらい普通にします。巻き網のせいで、近海物の大型のマグロの水揚げが減っていて、まっとうなマグロを売りたい店は困っています。大西洋では、産卵場のマグロは、缶詰にしかならないので、畜養ブームになるまでは獲っていなかったわけであり、日本海だって産卵場で獲れば旨いはずがない。でもって、畜養もせずに、やせ細ったままで出荷しているんだから、資源の効率利用という観点からは、大西洋の畜養よりなお悪い。

http://members.jcom.home.ne.jp/hana-tuna/kuromaguro.htm
産卵後のクロマグロは、体力消耗のため、全体的に肉が落ち、特に腰から尻尾の部分がげっそりと痩せてしまう。別名、らっきょうのように細くなるので、 らっきょうまぐろと呼ばれている。肉色はどす黒く、脂もないなど品質が悪く、食べられたものではないため、漁獲し、売っても二束三文にしかならない。

こういうマグロを大量に漁獲し、薄利多売で日銭を稼いでいる境港が、「マグロの水揚げ日本一」とかいって、町おこしをしている。http://furusato.sanin.jp/p/osusume/01/11/

Comments:3

沿岸漁業の一漁師 10-03-26 (金) 18:38

>畜養もせずに、やせ細ったままで出荷しているんだから、資源の効率利用という観点からは、大西洋の畜養よりなお悪い。

『手間をかけずに安く出荷する』ってコンセプトですねw。
一本釣りの5倍獲ればそれで良しという感覚。

>こういうマグロを大量に漁獲し、薄利多売で日銭を稼いでいる境港が、「マグロの水揚げ日本一」とかいって、町おこしをしている。

『愛郷無罪』の地方自治体職員っていますからね・・・・・・・・・・・・・・・。

県職員 10-03-29 (月) 19:58

沿岸漁業の一漁師様
資源管理を口にすると漁業者がそっぽ向くので,耳当たりがよい単価向上や,ブランド化,直売のほうに力を入れている地方自治体が多いのではないでしょうか。
また多くの大学の水産関係学部,学科が脱水産を唱え,漁業をあまりちゃんと教えなくなっていると思います。資源解析手法や,資源管理の有効性をわからない水産関係職員も多いですね。かくいう私自身もおおよその原理はわかるのですが,実際やったことがないのですが。
水産資源がなくなれば町おこしも,ブランド化も何もあったものではないですね。
資源管理とマーケティングは比翼連理。

沿岸漁業の一漁師 10-04-09 (金) 17:41

県職員様

大学では水圏云々、海洋云々となっていますしね・・・・・・・。
自治体の水産試験場でも『海洋研究センター』という名称ですしね。

>耳当たりがよい単価向上や,ブランド化,直売のほうに力を入れている地方自治体

露骨な民業圧迫をしますねw。

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