Home > 流通・消費 > 日本の流通システム その6 地方で獲れた魚の行方

日本の流通システム その6 地方で獲れた魚の行方

[`evernote` not found]

地方でとれた魚は、こんな感じで流れていく

img08061902.png

地産地消
産地市場の魚は大部分は地元で消費される。
仲卸→地元の小売り(魚屋・料理屋)のつながりは、地方の方が都心部よりも太い。
しかし、地方経済の衰退、過疎化などで、今後細っていく可能性が高い

地産他消
産地市場から外に出て行く経路を地産他消と呼ぶことにしよう。
地産他消は、高級魚と低級魚に二分化される。
高級魚は、地方よりも都市部の方が高い値段がつきやすいので、
築地などの大都市の消費者市場に送られる。
一方、地元でも買い手がつかないようなローソクサバなどは、
養殖の餌になったり、中国やアフリカに輸出される。

他産地消
一方で、地方の小売り店には、よそから入ってくる魚もある。
地方のスーパーマーケットにも世界中の魚が並んでいる。
石垣島のように、漁業が盛んで、輸送料が高い場所でも、
様々な魚が外部から入ってきている。

地域市場では、頭とシッポが輸出され、胴体の部分が地元で消費される。
地元で獲れない魚や、地元の生産が減少した魚は、外から入ってくる。

現在、増えているのが、低級魚の外国向け輸出と、外から入ってくる魚。
減っているのが、高級魚の地産他消と地産地消だろう。

Comments:9

ある水産関係者 08-06-19 (木) 22:33

産地市場と言っても上は年間数万トン、数10万トン水揚げするところから、下は微々たる数量しか水揚げしないところまで、規模はまちまち。
 そして、そこで水揚げされる魚は、原則、品質の良いものから順に、鮮魚向け→加工向け→餌向け→ミール向け、に仕分け出荷されます。

 養殖魚の流通については、現在、勝川さんが説明をまとめられているでしょうから、そちらにお任せします。

 ところで、現在、イカ釣り漁船の一斉休漁が話題になっています。「月夜」を狙って休漁を打っておきながら、「燃料価格の高騰で採算が悪化しているため一斉休漁に踏み切った」とか、「本当は漁に出てイカをとりたいが、もう限界」は無いんじゃない? 全てのマスコミが「月夜」について一言も報道しなかったことも興味深い。
 しかも、一斉休漁のミソは、①価格高騰に対する必要な補てん措置、②経営存続のための税制、金融措置などの抜本策、③(操業の)省エネ技術に対する支援策-の3点を政府に要求するため。納税者の立場では、「何様だと思っているのか」と思いたくもなるだろう。こんなことで消費税でも上げられたらたまったものではない。昨年末の燃油対策100億円の基金ですら一般国民(納税者)が中味の実態を知ったら何と思うだろうか・・・???(きっと居酒屋タクシーどころの騒ぎじゃないだろう!!!)

勝川 08-06-20 (金) 4:34

追加で1000億の直接補償らしいです。

満月に休漁というのは、いかにもわかりやすい。
時化を休漁日にして保証金をゲットしていたどっかの漁業と同じですね。

>中味の実態を知ったら何と思うだろうか・・・?
どういう形で、誰にいくら回ったのか是非、知りたいものですね。
補償金は情報公開がなさ過ぎ。

県職員 08-06-20 (金) 8:50

集魚灯に180kwも使うのが根本的な無駄遣い。協議会で全船120kwくらいにして様子を見ることから始めるべき。あわせていかつり漁船が180kw使っている海域で,大中まき網が集魚灯10kw以下の制限条件を守っているわけがない。取締は完全黙認。実態に合わなければ決まり事を変えればいいのに。いろいろと行政の不作為が見え隠れです。

勝川 08-06-24 (火) 17:59

少ないイカを漁業者が奪い合う。
そのために莫大なコストがかかっていますね。
まずは、一致団結して、無駄な競争を無くして
コストを削減して欲しいものです。

投資家 09-02-01 (日) 12:47

最近漁業でも仲介業者を抜いて直接、料理店や小売店と取引しているところもあります。自然相手ですので需要と供給の安定のために仲介業者がいるのはわかりますが、仲介経費など考えると無駄が多いような気がします。その辺のデメリットやメリットを専門家としての意見を聞きたいですね

勝川 09-02-09 (月) 9:51

確かに、日本の流通はコストがかかりますが、無くせば問題が解決するわけではありません。
水産物の供給は不安定です。一方、市場、特に大型チェーン店は安定した品揃えを要求します。現在のところ、仲卸をはじめとする流通システムが、ギャップを埋める役割を担っています。ここを排除するとなると、そのギャップを誰かが埋める必要があります。小売りが変化を被るのは厳しいと思います。イオングループは、規模が大きいのである程度の変動は吸収できると思いますが、それでも利益が出るかは疑問です。また、仲卸が絶滅すれば、今度はスーパーの言い値で買いたたかれる危険性があります。私は今回のイオンと島根県の取り組みを、楽観視していません。
現在、仲卸は非常に厳しい状況です。漁業者同様、流通業者も人数が多すぎるので、今後は流通でも大幅な整理が進むでしょう。残った優良業者で、コスト効果が高いシステムを模索していく必要があるでしょう。また、資源管理の徹底によって、供給を安定させる必要もあります。さらに、漁獲は変動することを前提とした消費の取り組みも必要でしょう。漁業者、流通、消費者の全体を通して、変動に対応できるような消費システムを模索すべきと考えます。

沿岸漁業の一漁師 09-04-29 (水) 20:56

> 補償金は情報公開がなさ過ぎ。

若干ですが漁連やら地方自治体の環境保全を名目とした外郭団体が抜いていますね。
漁協へ支払われた後に組合の内規で配分します。
この内規が非常にマチマチで、うちの漁協では水揚の上限金額を設定したり、直売での売上を認めないといった具合です。あと、『正組合員のみ』と行政から条件をつけられているにもかかわらず、準組合員に支給したりといった具合です。行政からの長年の指導があり、最近、ようやく、準組合員への支給を廃止し、水揚の上限を外しました。
配分に関して国は法律でも何でも定めるべきだとは思いますがw。

国交省が東京湾の浚渫工事で千葉の巻網業者と直接交渉をしていますね。
うちの自治体では直接交渉は認めないなんて言っていますがw。

>流通

市場への卸も業者への直接卸も消費者への直販もやっています。
安定出荷システムの構築でコストがかかりますね。
 

>ギャップを誰かが埋める必要があります。小売りが変化を被るのは厳しいと思います

地域性もありますが、普通の主婦クラスの消費者は安全管理や安定出荷にかかるコストなんて気にも留めていませんよwwww。
安全管理をせずに『素朴』『頑固』を売りに半額で販売すればそれが『良心的な価格』となります。食品衛生法に違反しても眩暈がするような罰金を科せられたり、中国の公安や東ドイツのシュタージのような組織から投獄されるわけではないので、何も知らない消費者は『これもありなんだね』となりますw。

勝川 09-05-01 (金) 11:20

補償金情報ありがとうございます。
税金である以上、使途は公開すべきだと思います。
納税者に対して、「本当に役に立っている」と示す必要があります。

日本の水産物の扱いはすごいですよね。
「これが食い物の扱いか!!」と驚くこともしばしばでした。
最近は、多少のことでは驚かなくなりましたが・・・
ただ、それでも集団食中毒を出さないというのが立派です。
超えてはならない一線は、しっかり守っているんでしょうね。
ある意味、高度な危機管理をしていると言えるでしょう。

沿岸漁業の一漁師 09-05-01 (金) 19:37

>ただ、それでも集団食中毒を出さないというのが立派です。

集団ではないですが、必要な設備への投資がMOTTAINAIという生産者の直売を中心に散発的に発生しています。
『泣き寝入り』の方が多いですが。

衛生管理は『努力目標』ですからね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=596
Listed below are links to weblogs that reference
日本の流通システム その6 地方で獲れた魚の行方 from 勝川俊雄公式サイト

Home > 流通・消費 > 日本の流通システム その6 地方で獲れた魚の行方

Search
Feeds
Meta
Twitter
アクセス
  • オンライン: 0
  • 今日: 707(ユニーク: 292)
  • 昨日: 656
  • トータル: 9519546

from 18 Mar. 2009

Return to page top