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2011-05-25

ストロンチウムについて 追加情報

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メールおよびツイッターで、ストロンチウムに関する有益な情報をいただいたので、転載します。医学や化学は私の守備範囲外なので、教えていただけると大変にありがたいです。

いつもブログを読ませてもらっています。医師をしています。放射線科医ではありません。
今日(5月24日)の記事で気になることがあるのでメールさせてもらいます。セシウムとストロンチウムの内部被爆は単に吸収線量だけで比較はできないんじゃないでしょうか。セシウムは体内半減期は約100日といわれていますが、ストロンチウムは約50年ですか??一旦骨に取りこまれると、ほぼ一生そこで放射線を出し続けます。1回食べた吸収線量は少なくても、蓄積されればすごい量になりますよ。また、体内で集積する場所が違います。セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨です。放射線は部位によって危険度が違いますから、これもいっしょくたに議論はできないと思います。骨は骨髄を作る場所ですから、白血病の原因になりますし、圧倒的に肉腫よりも発生頻度が高いわけです。(放射線のリスク評価値というものがあります。http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020804/02.gif)放射線の議論はなかなか一般の人間が扱いにくいもののように思います。放射線の専門家ですら、本当にわかってるの??と思うときもあります。ストロンチウムはなるべく取らないに越したことのない放射性物質です。

骨に取り込まれるのストロンチウムは、避けるにこしたことは無いというご意見です。ごもっともと思います。

内部被曝に関する線量換算係数は、生物学的半減期を考慮しているはずです(http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html)。それでも、セシウムの方が影響が大きくなるのは、セシウムの量が多いからでしょう。ホテルに50泊する客(ストロンチウム)が一人よりも、1泊する客(セシウム)が100人いた方が、売り上げが大きくなるということですね。ただ、ストロンチウムが骨に集まる→骨が集中的にベータ線を浴びることの影響を正確に考慮しているかは疑問です。

また、ツイッターでは、妊産婦の話がでました。

  • ストロンチウムは授乳中の母親が摂取した場合10%吸収されそのうち20%、すなわち2%が母乳として子に移行するし。血中濃度との比較では10倍近い濃縮が起こるんだよ
  • 妊産婦はカルシウム代謝率が上がる

母乳を通した移動や、母体のカルシウム代謝が上がっていることを考えると、妊産婦も気をつけた方が良いという重要な指摘です。こういった可能性についても頭にとどめておくと良いのではないでしょうか。

肝心のストロンチウムを避ける方法ですが、海水のストロンチウムの観測値自体が少ない(地下水と5/8のみ)ので、細かい議論はできません。このまま、水産物のストロンチウムが検査されない可能性があります。2号機のセシウムと一緒に大量に出たはずなので、セシウムが検出される場合はストロンチウムもあると考えられます。また、骨やキチン質など、ストロンチウムを蓄積しやすい部位を避けるのも有効です。

  • セシウムの値が高い水産物は食べない。
  • ストロンチウムが貯まりやすい、エビ・カニの殻、魚の骨、褐藻は安全な海域のもののみを選んで食べる

ストロンチウムについては、チーム中川のブログが参考になります。「特に検出の難しい、“食品や環境中の放射性ストロンチウム”が観測できる体制を直ちに構築しておくことなどは、大変重要と考えます」と4/8の時点で指摘しておられます。

昨日のブログに書いたように、ストロンチウムは量としては限定的ですが、その影響については注意を払っていく必要がありそうです。

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from 18 Mar. 2009

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