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エコラベル Archive

米国の持続的水産物普及の取り組み(環境NGOとスーパーマーケット)


前回は、政治主導の政策の変化が、米国漁業の成長をもたらしたことを紹介した。今回は、米国の消費者の側で起きている変化について紹介しよう。米国では、環境NGOが力をもっている。環境NGOは乱獲漁業を批判して、資源管理のスタンダードを高めてきた。日本の漁業も良くも悪くもその余波をかぶってきた。米国の海洋の環境NGOの中でも、消費者活動で成果をあげているのが、モントレーベイ水族館のSeafood Watchだ。

Seafood watchの歴史

カリフォルニア州のモントレーは、かつてはイワシの缶詰工場で栄えた町である。スタインベックの小説「缶詰横町」の舞台でもある。イワシの激減により、漁業が成り立たなくなったことで、観光都市へと変貌を遂げた。缶詰工場を改装し、当時の雰囲気を残しつつも、おしゃれなホテルやレストランが立ち並んでいる。環境観光都市モントレーの中心的な存在がモントレーベイ水族館だ。モントレーベイ水族館が行っている、持続的な水産物促進プログラムがSeafood Watchである。
モントレーベイ水族館では、入場者への教育の一環として、持続性の観点から食べて良い魚と、避けるべき魚のリストをつくり、レストランのテーブルに展示した。持続的な水産物のリストを持ち帰る客が多かったことから、潜在的な需要があると考えて、ポケットに入れられるような持続的な水産物のリストをつくって、1999年から無料で配布している。

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Seafood watchでは8人の研究者が、1)漁獲対象種の資源状態、2)混獲種の資源状態、3)資源管理の実効性、4)生態系・環境への影響の4つの観点から漁業の持続性を評価し、お勧め(緑)、悪くない(黄色)、避けるべき(赤)の3段階に分類している。漁業の持続性の評価は、専門的で、複雑なプロセスなのだけど、消費者にわかりやすく伝えるために、シンプルに表現を心がけているのだ。

最近は、iphoneアプリもあって、無料でダウンロードできます。
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こんな風にいろんな魚の持続性が一目瞭然です。
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現在は、102魚種がリストされている。一つの魚種でも米国の国内漁業だけで無く、輸入されてくる主要な魚種の評価も行っている。
日本の養殖ハマチは残念ながら、Avoidでした。非持続的な天然魚を餌に使っているのが問題なんだって。

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スーパーマーケットとの連携

Seafood Watchはリストを消費者に配布するだけでなく、レストランやスーパーマーケットと提携をして、持続的な水産物を消費者が選べるように工夫をしているらしい。実際に、スーパーマーケット(whole foods market)に視察に行きました。

ありました!! 鮮魚コーナーの下の方に、ちゃんと表示されていますよ!!

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鮮魚コーナーでは各製品には、エコラベルの有無が表示されていました。天然魚は、Seafood Watchの評価とMSCのエコラベルの有無が一目でわかります。養殖は持続的な養殖認証の有無が表示されています。

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より詳しく知りたいひとのために、情報冊子が棚の脇に並べられていました。でも、店員さんは余り詳しくないみたい。

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「欧米では持続性認証の無い魚は売りづらい」と聞いていたのですが、鮮魚コーナーには何の認証も無い魚もありました。「持続性に関心がある消費者はそういう製品を選べるし、そうで無い消費者は好きなものを買ってね」というスタンスのようです。これぐらいだったら、日本でもすぐに出来るんじゃ無いかな。こういう展示をすることで、「水産物にも持続的な物とそうでないものがあり、消費者は持続的な水産物を選ぶことで持続的漁業を応援できる」というメッセージが日々の買い物を通じて、消費者に伝わるのが良いと思いました。

消費者を巻き込んだ持続的水産物を応援する動きは、欧米では、1990年代から徐々に広まってきた。米国人の一人あたりの水産物消費量は日本の半分ぐらい。食事に占める水産物のウェイトはそれほど大きくない米国でこれだけの取り組みが出来ている。魚食民族と言いつつ、日本の小売りで水産物の持続性に関する情報を目にする機会は皆無と言って良い。魚をたくさん食べている日本人こそ、水産資源の持続性についてしっかりと考えて、責任ある行動をとる必要があります。この分野でも世界をリードしたいものです。

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東京オリンピックで、国産魚を提供できない可能性について


ソチオリンピックが終わりましたね。2020年の東京オリンピックのホスト国として、考えておかないといけない問題があります。今のままだと、オリンピックで日本の魚を提供できない可能性があるのです。

実は、五輪でも水産物の持続性が問われる時代になっています。ロンドン以降の五輪では、ホスト国が提供する水産物は、持続的な漁業で獲られたことが認証されたエコラベル製品に限られています。すでに、リオ五輪では、大会で提供される1400万食に含まれる水産物全てを、MSCとASCのエコラベル認証取得品のみにすると宣言しています。

Rio 2016 Olympics to Serve Sustainable Seafood
According to the memorandums of understanding (MOUs) between the Rio 2016 Organizing Committee for the Olympic and Paralympic Games, the Marine Stewardship Council (MSC) and the Aquaculture Stewardship Council (ASC), only sustainable seafood will be served to the athletes, officials, press and at the onsite restaurants, representing some 14 millions meals during the course of the games.

東京オリンピックでも、水産物の持続性を無視できるはずがありません。最低でも、リオと同様のスタンダード(MSC認証、ASC認証)が求められるでしょう。この記事を書いている時点で、日本でMSC認証を取得しているのは、京都の底引き(ズワイガニ・アカガレイ)と北海道のホタテのみ。本審査の申請中なのが、北海道のシロザケのみです。審査は厳格で、お金を積めば認証がとれるようなものではありません。現状で審査をしても、認証が取得できる漁業はほとんど無いでしょう。東京五輪で、国産魚を胸を張って提供するには、国際基準の漁業管理を導入した上で、認証を得る必要があるのです。審査には時間がかかるので、今から、急いで準備をしても、間に合うかどうかは微妙です。

現在、MSC認証を取得している漁業はこの地図で確認できます。リオ五輪では、これらの漁業で獲られた水産物が提供されるでしょう。持続性に投資をしてきた漁業が、ビジネスチャンスを広げているのです。

http://www.msc.org/track-a-fishery/fisheries-in-the-program/certified/certified-fisheries-on-the-map/certified-fisheries

タイムリミットが迫る中で、日本政府はどういうことをしているかというと、こちら。エクセレントな日本の水産物のラベルだそうです。

「エクセレント」な日本の魚、ロゴでPR 水産庁
日本の水産物を海外に売り込む武器にと、水産庁が14日、輸出品にあしらうロゴマークを発表した。キャッチコピーは「エクセレント・シーフード・ジャパン」(素晴らしい日本の水産物)。4月以降、使用の手続きをすれば、業者が無料で使えるようにする。

審査等は何も無しで、「使用の手続きをすれば、業者が無料で使えるようにする」というのは、まさに、護送船団、みんな平等です。

水産庁によると、「平成32年までに我が国水産物の輸出額を2倍に拡大する目標を掲げ、日本の魚のブランディングをその達成に向けた主な取組の1つとして位置付けました」とのことですが、誰でも貼れるラベルが海外市場で評価されるはずがありません。

日本の漁業が管理されていないことは、日本以外ではよく知られています。「日本産」というだけで売りになるとは思えません。持続性を意識する海外の消費者からは、管理されていない水産物を避ける際の目印として、利用される可能性すらあります。「護送船団ラベルで輸出を促進する」という我が国の国家戦略は、根底から間違えています。

今、日本が国を挙げて行うべきことは、以下の2点です。

1)自国の漁業の持続性を高めること
2)そのことが海外からもわかるように情報発信をすること

東京オリンピックでは、乱獲による国産魚の減少と、資源管理への取り組みの不備から、国産魚での「おもてなし」は難しそうです。競技ばかりか、食材まで、「国際色豊かな世界の競演」になりそうですね。

MSCが増殖漁業を天然魚漁業認証プログラムの対象に


くわしくはここ。

http://www.msc.org/get-certified/fisheries/eligible-fisheries

タイブリなどの完全養殖は守備範囲外。
今回、審査に組み込まれるのは次のような漁業だ。

  • Capture-based Aquaculture:マグロの畜養のように、ホタテのように天然個体を獲って、無給餌で育てる養殖
  • Culture-based fisheries:サケの種苗放流のようなふ化放流
  • Habitat modification :着定場所を造成する養殖

ようやく、北海道のサケとホタテが審査対象になるようですね。

気になる審査基準は、

  • 天然個体との交雑
  • 魚の給餌、世話環境
  • 生息地や野生生態系への影響

だそうです。

認証をゲットして、海外市場での価値を高めて欲しいものです。

ニュージーランドの漁業大臣が、組合の大会で行ったスピーチ


ニュージーランドの漁業大臣が、組合の大会で行ったスピーチがここにある。

http://www.marinenz.org.nz/index.php/news/page/sustainability_issues_for_new_zealand_fisheries/

要約すると「長期的な漁業の発展のためには、資源管理が欠かせない。
厳しい状況ではあるが、資源管理の質を高めるために今後もがんばろう」ということだ。
読んでて勇気づけられる。

Consumers are demanding it; and if consumers want it-and we can
show we are achieving high standards while other countries can’t —
then that will help our industry as a whole. There is no point in
joining a race to the bottom. There is nothing in that for New Zealand
long term.

消費者がそれを望むなら、我々は他国にまねできないような水準で、
資源管理を遂行できることを示そうではないか。
そのことは、我々の漁業全体の利益に適う。
資源管理をやらない方の競争に加わっても、
長期的にはニュージーランドにとって良いことはなにもない。

We can achieve a premium and avoid being punished by international
markets if we have standards in place that show strong commitment to
the sound environmental management of our fishery. This is not just
theoretical. This is a shark that is already circling our boat.

我々の漁業を生態系ベースでしっかりと管理するという共通認識を打ち出すことが出来れば、
我々が偉業をなし、国際市場で(乱獲によって)罰せられることはない。
生態系の配慮が欠けていると、罰せられるようになるのは、時間の問題である。

When I was in Europe last year the hot issue was carbon costs and
‘food miles’-targeting the carbon used in transporting food long
distances. Clearly, as the world’s most remote food producer, we have
to respond to these issues and get ahead of the game.

去年、欧州を訪問したときには、炭素コストとフードマイルが話題になっていた。
世界でもっとも隔離された食糧生産者として、
我々は機先を制していかなければならない。

Concerns over food miles and the like are also an opportunity for us.
Last month, Ireland’s Minister for Fisheries expressed strong support
for initiatives to ensure that fish products sold in Europe carry eco-
friendly labelling. This is an opportunity for New Zealand, because we
can show that our products are eco-friendly. We can claim to be as
ecologically careful as any nation on earth.

フードマイルへの関心の高まりは我々にとってチャンスでもある。
先月アイルランドの漁業大臣が、欧州で販売されるエコラベル認証製品を、強くサポートすることを表明した。
我が国の製品がエコフレンドリーであると示すことが出来るので、我々にとって大きなチャンスだ。
我々は、自らが、世界一、環境に配慮していると主張することが出来る。

今後、環境問題に対して、規制が高まるのが明白である。
自ら、高い水準をクリアして、ビジネスチャンスを作ろうというのは、実に合理的。
やらない言い訳を並べているだけ日本とは差が広がっていくのは明白だろう。

MELジャパンがパブリックコメントを募集してたので書いてみた


MELジャパンの第一号候補漁業の審査のドラフトレポートが公開されている。

http://www.melj.jp/press11.pdf

パブリックコメントも募集中だが、なんと今日までではないか!!
というのであわてて書いたのが次の文章

今回のべにずわいの認定は、再考の必要があると考えます。

1)資源情報が不十分

べにずわいがには、深海の生物であり、個体の年齢査定もできません。生物情報が不十分であり、資源量の推定すらできていないのが現状です。知事許可漁業の努力量、漁獲量の情報が部分的にしか得られていません。また、同じ資源を利用している韓国船の情報はほとんどない。これでは、資源状態が把握できるはずがないでしょう。

唯一の情報は漁獲量とCPUEですが、ここ3年程度の漁獲量が横ばいだからといって、資源が安定している保障はありません。(伐採量と森林の量は比例するとはかぎらない)

2)資源状態が良くない
水産総合研究センターの資源評価では、本資源は低水準で横ばい傾向となっております。国の資源回復計画が適用されているのも、資源が低水準で回復の必要があるからです。資源が回復したのを確認してから、エコラベル認証をすべきではないでしょうか。

3)漁獲制御の実効性は疑わしい
2006年のABCTarget(生物学的許容漁獲量)が6200tに対して、漁獲量が14226tと倍以上です。低水準で資源回復が必要な資源に対する漁獲量として妥当ではありません。また、同じ資源を利用している韓国と共同管理の枠組みが無い以上、管理の実効性には限界があります。


この認証は、全く賛成できない。
まず、資源の情報がない。資源量推定すらできていない。
評価表(http://abchan.job.affrc.go.jp/digests19/html/1979.html)を見て欲しい。
漁獲量もCPUEも低迷。評価票では、資源水準は「低位横ばい」となっている。

知事許可水域では過去最低だった2005年よりは漁獲量が増加したものの依然として低い水準にあり、
CPUEは横ばいまたはやや増加傾向が見られる。
いずれの海域でも漁獲物に小型個体および未熟個体を20%程度(重量比)含んでいる。
系群全体の資源状態としては依然として過去最低の水準にあるものの、動向は横ばいと判断される。

小型個体、未成個体の混獲の問題もあるし、漁獲量はABCの倍なのだ。

俺としても、境港の資源管理の取り組みは応援したい。
しかし、べにずわいは不確実性が大きく、資源の持続性を保証できない。
なんでこんなにハードルが高い漁業を選んできたのか理解に苦しむ。
もっと無難な漁業は、沢山あるだろうに。
憎きMSCへの当てつけだとしたら、見事な自爆です。

日本独自のエコラベルに値上げの噂が・・・


日本版エコラベルが値上げをしたという噂をキャッチした。

まえは、「電車賃程度」という話だったのが、なんと100万円程度になるらしい。

もちろん、審査費用が100万でも、それだけ厳密な審査をするというなら問題はない。

しかし、厳密な審査で日本独自のエコラベルが運用されるとは、とうてい思えない。
エコラベルの本来の目的は「持続的な漁業を勝ち組にする」という差別化である。

護送船団の染みついた日本漁業界で、エコラベル本来の差別化の運用は難しいだろう。

申請者には基本的にシールを配るとしても、日本版エコラベルに100万円の価値は無い。

魚を輸出するなら、MSCが要求される時代になりつつある。
輸出を前提とした漁業なら、数百万の申請費用を負担しても、MSCをとることの経済的な見返りはある。
MSC認証を獲れる漁業はMSCを獲れば良いだけの話だし、

MSC認証をとれない漁業も認証するとなれば、MEL(J)自体が無視されるだけだ。
日本版エコラベルがMSCの代替として、国際的に認められる可能性は極めて低い。
輸出に関しては、日本独自のエコラベルは評価の対象外だろう。
一方、日本国内はどうかというと、消費者はそもそも持続性に関心がないので、

シールを張っても、経済的な見返りは無きに等しい。



輸出をするならMSCが必要であり、日本独自のエコラベルはMSCの代替にはならない。
また、輸出をしないなら認証自体が不要なのだから、
日本独自のエコラベルなど、そもそも必要ないと思う。
それでも「シール代1万円」とかなら洒落になるが、100万円はちょっと信じがたい。
本当に値上げをするのだろうか?
俺的にはガソリン代よりこっちが気になって仕方がないです。

類似品にご注意を~日本版エコラベル


日本でも独自のエコラベルをつくる取り組みが始まっている。
すでに、口が悪い読者からは「泥棒が売る防犯グッズ」などと揶揄されているとおり、
かなり駄目っぽい。

資源管理更新国である日本では、MSCのエコラベル認証をとれそうな漁業はほとんど無い。
MSCのエコラベルが普及すれば、資源管理をしている国とますます差をつけられてしまう。
そこで考案されたのが日本独自のエコラベルだ。
エコラベルを貼れない日本の漁業者がかわいそうだから、
誰でも張れるエコラベルを自前で準備したのだろう。
(そもそも資源管理をまじめにやろうという発想は無いのだろうか?)
電車賃程度で認証可能という時点で、消費者をを小馬鹿にしてる。
担当者「資源管理やってる?」
漁業者「うちは、ちゃんとやってるよ」
担当者「このシールを張っておいてね。それじゃあ。」
というようなことが行われるのは目に見えている。

厳密に審査をされたMSCのエコラベルと、誰でも張れる日本のエコラベルはまったく別物である。
しかし、一般の消費者にはエコラベルの区別はつかないだろう。
まんまと騙されて、非持続的な漁業で獲られた魚を高く買わされてしまう。
これは、乱獲された魚を騙して売りつけられる日本の消費者にも、
まじめに管理に取り組んでいる一部の日本の漁業者にも不幸な事態である。

MSCのエコラベルの根底にあるのは差別化の思想である。
消費者の力で、持続的な漁業を勝ち組にすることで、
世界をより持続的な方向に導くという狙いがある。
一方、日本版エコラベルの本質は、みんな横並びの護送船団である。
みんなで足並みをそろえて、仲良くシールを張りましょうということだ。
似たようなシールを無差別に貼れば、消費者は判断基準を失ってしまうので、
非持続的な日本漁業が差別されるのを防ぐことができる。
世界のエコラベルが目指す差別化を台無しにする効果があるのだ。
同じような取り組みでも、運用次第でまったく逆の機能を持つのである。
本来は資源管理だったはずのTAC制度も、
水産庁が運用すれば乱獲を容認するための免罪符に早変わりする。
こういうところだけは、本当に知恵が回る。
その知恵を、漁業を良くするために使って欲しいものである。

護送船団方式は、産業を傾ける確実な方法である。
生産性が低い、非持続的な経営体を保護する代償として、業界全体が沈んでいく。
味噌もくそもごった混ぜにして、横並びでシールを貼ろうという計画は、
漁業にとって百害あって一利なしである。
こういった愚行を、食い止めるのが専門家の使命であろう。
TAC制度も、ABCとTACの乖離をネチネチと指摘し続けた結果、
徐々にではあるが風向きが変わってきつつある。
日本版エコラベルに関しても、非持続的な漁業に対してシールを貼っていたら
嫁をいびる姑のように、ネチネチと問題にしていきたい。

認証第1号は2008年度半ばになる見通しだ。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200712070039a.nwc

ということで、どんな漁業がでてくるのか、わくわくしながら待つことにします。

エコラベルという新しい試み


消費者には、その魚が持続的に漁獲されたものか、
それとも乱獲されたものかを区別できない。
乱獲された魚と資源管理された魚では、
短期的には乱獲された魚の方が値段が低くなる。
悪貨は良貨を駆逐するということになるわけだ。
これは、まじめに資源管理をしている漁業者にとっても、
将来も魚を食べ続けたいと考える消費者にとっても不幸な事態である。

この状況を変えるための試みとして、
MSCのエコラベルが世界的に広まりつつある。
MSCのエコラベルは持続的に漁獲をされた魚にシールをはる。
意識の高い消費者が持続的な魚を選べるようにする試みだ。
下の青いシールが目印だ。

Image200801201.png

エコラベルの取り組みは、ユニリーバとWWFが初めて、
現在は非営利団体(Marine Stewardship Council)が運営している。

 合計で、およそ70の漁業がMSCの取り組みに携わっており、
24漁業が認証済み、34漁業が審査中、さらに20から30が非公開予備審査を受けている。
これらの漁業を合わせた水産物の年間漁獲量は4 百万トンを超える。
日本の海面漁業生産と同じぐらいだ。
世界の海面漁業生産(中国のぞく)の7%がMSC認証を受けている計算になる。

特にMSC認証率が高いもの
世界の天然サケ漁獲量の42パーセント
世界の主要な白身魚漁獲量の40 パーセント
世界の食用イセエビ漁獲量の18 パーセント

日本では、イオングループがMSC認証の水産物を販売しているものの、
あまり目にする機会はないだろう。
しかし、欧米ではすでに市民権を得たと言っても良い。
たとえば、マクドナルドやウォールマートは、
MSC認証製品以外の水産物は扱わないと宣言している。
07年11月に、MSC認定製品が1000に達した。
最初の製品から500 番目の製品までには7 年もかかりましたが、
それからわずか9 カ月間でその数は倍増したのだ。
持続可能な認証水産物の需要はきわめて高い。
消費者の意識の低い日本ではアレだが、
世界では持続的であることがビジネスチャンスを生むのである。

日本漁業でもMSC認証を目指す動きがある。
京都府機船底曳網漁業連合会(アカガレイ、ズワイガニ漁)、
北海道のホタテとサケが審査中だったかな。
まあ、どこもすんなりとはいかないようですね。
京都のズワイガニはまだ正式に認証されてはいませんが、
すでにフランスから輸入の申し込みがあったりするようです。
小サバの輸出みたいなのは即刻止めるべきだけど、
日本人よりも高く買う国には、輸出を促進すべきだろう。
そのための一つの手段として、エコラベルは重要だ。
ただ、認証には数百万単位で費用がかかるのがネックかな。
まあ、まじめに審査をすればそれぐらいの出費にはなると思う。

意識の高い生産者が、生産現場の情報を消費者に与える。
意識の高い消費者が商品を買うことで、持続的な漁業を支える。
エコラベルは、生産現場と消費者を結びつけることで、漁業を変えようという新しい試みだ。
MSCの今後の発展に期待をしたい。

今度はラジオですよ~


○番組    ラジオあさいちばん(NHKラジオ第1放送)5時~8時30分
○コーナー  ニュースアップ(当番組のメインコーナー)
○放送日時 12月7日(金) 朝7時20分頃からおよそ8分間
○聞き手   木村知義キャスター
○編集    インタビューを約7分に編集して放送

ついにラジオですよ。ラジオは初です。
プレゼンは、視覚情報があるから楽だけど、
ラジオは声だけだから、難しそう。 
しかも7分と言えば、それなりの長さですよ、姉さん。
ということで、ちょっとドキドキしたのだが、無事に収録が終わりました。

収録はNHKのスタジオまで行ってきました。
自転車で15分なので、楽でよいですな。
少し早く着いたので、NHKの側のカフェでちょっと一息。
カプチーノを頼んだら、えらく時間がかかるので、何か思えばラスカルでした。
こういうサービスは嬉しいですね。
07120501.jpg

はるばる来ましたNHK。
中にはいるのは初めてだったりする。
07120503.jpg

テレビは長時間録画してほんの一部を使うので、
ラジオもそうかと思いきや収録時間は短かったです。
10分ぐらいだったでしょうか。
とちった部分、空白の部分を抜かせば殆ど全部が放送されそうです。
個人的には、日本独自のエコラベルを痛烈にDISる前に終わってしまって残念でした。

木村知義キャスターと収録後の一コマです。
インタビューを受ける場合、聞き手によって話し易さが違うのですが、
木村さんは抜群に話しやすかったです。人柄と経験のなせる技でしょうか。
07120502.jpg


月曜日にいきなり電話がかかってきて、
MSCと日本の水産の現状について教えて欲しいと言うから、
ブログに書いているようなことを話したのです。
そうしたら、この話題をラジオで話してくれということになりました。
あの電話は、俺がラジオに使えそうかのチェックも兼ねてたんだろうな。

ラジオの日程は凄くタイトです。
月曜日に「放送予定が金曜だから、収録は水曜か木曜でどうでしょう」と依頼されました。
いつもこんなにタイトなスケジュールなんですか?と聞くと、
これは例外的にゆとりがある方で、
前日に収録をするのが普通で、当日生と言うことも良くあるそうです。

質問リストが来たのが、昨日の夜で、
あまりいい加減なことも話せないので、昨晩は遅くまで調べ物でした。
MSCについては、伊沢あらたさんがWWFに着任した当時に話を聞いたきりで、
その後の進展をフォローしていなかったのです。
日本にいるとMSCは対岸の話というような感じだけれど、
欧米ではかなり広まっているようですね。
「世界の水産物の7%がMSC認証を受けている」という話です。
つい最近、MSC認証製品が1000件に達しました。
最初の500件の認証には7年かかったが、
そのあとわずか9ヶ月で倍の1000件に達したというのも驚きですね。
エコラベルは、世界的には大きな動きになっているようです。
ラジオのために調べ物をしたおかげで、いろいろと勉強になりました。
今回調べ物をした内容も近いうちにアップしたいが、OMの話もまだだし、
ノルウェーの話もまだだしで、もう、ぐちゃぐちゃですね。

日本独自のエコラベルだって!?


http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200710240003a.nwc

 水産資源の保護や環境保全に配慮して漁獲したことを認証する日本独自の「海のエコラベル」が動き出す。漁業関連団体などで構成する大日本水産会が12月にも、「マリン・エコラベル(MEL)・ジャパン」を立ち上げ、来年初めから国内の水産物を対象とした認証を始めるもの。

本家の英国MSCは費用がべらぼうにかかる。
それが、「営利目的」と批判され、敬遠される一因になっている。
しかし、ユニリーバがMSCでビジネスをしようと思うなら、
金を積まれたからといっていい加減な漁業にMSC認定はできないので、
悪いことばかりではない。

一方、日本のエコラベルは交通費程度で取得できるらしい。
まあ、たしかに安いに越したことはないけど、
浜までいけばそれで資源が持続的に利用されているかどうかわかるわけではない。
過去のデータをもとに資源の持続性を検証するのは、専門的な知識が必要な作業である。
持続性を検証するには、時間もコストもかかるのである。
そういう作業を一切、抜きにして
審査員「資源管理やってる?」
漁業者「うちは、ちゃんとやってるよ」
審査員「じゃあ、OK! このシールを貼っておいてね」

というようなことをやるのだろうか?

「国内のほとんどの漁業者が、環境に配慮した漁業に取り組んでおり、
地道な取り組みを広く消費者にアピールするのが狙い」というのは笑うところかな?
じゃあ、なんで日本沿岸には魚がこんなにいないのよ?
形式的な、実効性に乏しい自己満足的な取り組みしかやっていないからだ。
非持続的に利用されてる日本のほとんどの魚にシールが貼れるようである。
これじゃあ、何の意味もない。
たとえば、今話題のスケトウダラ日本海だって、
沿岸漁業者は自主的な取り組みを積極的にやっていたよ。
かなり模範的な部類にはいるので、ここだってシールを貼れるわけだ。
資源を崩壊させるような漁業でも、楽々認定されるようなものは、エコラベルではない。

消費者が知りたいことは、
「資源管理の取り組みをなにかしらやっているか」ではなく、「持続的に利用されているか」である。
日本のエコラベルは、前者で資格認定をしておいて、
あたかも後者のようなイメージを植え付けるのであれば、消費者を欺くものである。
俺には、消費者に正しい情報を与えると言うより、
消費者をだまして魚を高く買わせようとしているようにみえる。

エコラベルを作ろうという方向性は良いと思うが、
現状では基本的な方向性が間違えていると思う。
どんな漁業が認定されるのかワクワクしながら待つことにしよう。

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