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ストロンチウムについて 追加情報


メールおよびツイッターで、ストロンチウムに関する有益な情報をいただいたので、転載します。医学や化学は私の守備範囲外なので、教えていただけると大変にありがたいです。

いつもブログを読ませてもらっています。医師をしています。放射線科医ではありません。
今日(5月24日)の記事で気になることがあるのでメールさせてもらいます。セシウムとストロンチウムの内部被爆は単に吸収線量だけで比較はできないんじゃないでしょうか。セシウムは体内半減期は約100日といわれていますが、ストロンチウムは約50年ですか??一旦骨に取りこまれると、ほぼ一生そこで放射線を出し続けます。1回食べた吸収線量は少なくても、蓄積されればすごい量になりますよ。また、体内で集積する場所が違います。セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨です。放射線は部位によって危険度が違いますから、これもいっしょくたに議論はできないと思います。骨は骨髄を作る場所ですから、白血病の原因になりますし、圧倒的に肉腫よりも発生頻度が高いわけです。(放射線のリスク評価値というものがあります。http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020804/02.gif)放射線の議論はなかなか一般の人間が扱いにくいもののように思います。放射線の専門家ですら、本当にわかってるの??と思うときもあります。ストロンチウムはなるべく取らないに越したことのない放射性物質です。

骨に取り込まれるのストロンチウムは、避けるにこしたことは無いというご意見です。ごもっともと思います。

内部被曝に関する線量換算係数は、生物学的半減期を考慮しているはずです(http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html)。それでも、セシウムの方が影響が大きくなるのは、セシウムの量が多いからでしょう。ホテルに50泊する客(ストロンチウム)が一人よりも、1泊する客(セシウム)が100人いた方が、売り上げが大きくなるということですね。ただ、ストロンチウムが骨に集まる→骨が集中的にベータ線を浴びることの影響を正確に考慮しているかは疑問です。

また、ツイッターでは、妊産婦の話がでました。

  • ストロンチウムは授乳中の母親が摂取した場合10%吸収されそのうち20%、すなわち2%が母乳として子に移行するし。血中濃度との比較では10倍近い濃縮が起こるんだよ
  • 妊産婦はカルシウム代謝率が上がる

母乳を通した移動や、母体のカルシウム代謝が上がっていることを考えると、妊産婦も気をつけた方が良いという重要な指摘です。こういった可能性についても頭にとどめておくと良いのではないでしょうか。

肝心のストロンチウムを避ける方法ですが、海水のストロンチウムの観測値自体が少ない(地下水と5/8のみ)ので、細かい議論はできません。このまま、水産物のストロンチウムが検査されない可能性があります。2号機のセシウムと一緒に大量に出たはずなので、セシウムが検出される場合はストロンチウムもあると考えられます。また、骨やキチン質など、ストロンチウムを蓄積しやすい部位を避けるのも有効です。

  • セシウムの値が高い水産物は食べない。
  • ストロンチウムが貯まりやすい、エビ・カニの殻、魚の骨、褐藻は安全な海域のもののみを選んで食べる

ストロンチウムについては、チーム中川のブログが参考になります。「特に検出の難しい、“食品や環境中の放射性ストロンチウム”が観測できる体制を直ちに構築しておくことなどは、大変重要と考えます」と4/8の時点で指摘しておられます。

昨日のブログに書いたように、ストロンチウムは量としては限定的ですが、その影響については注意を払っていく必要がありそうです。

Comments:4

三笠山 11-05-25 (水) 22:42

色々検索しても、なかなかSrの生物学的半減期が50年だという原典に行き着きません。Caは生物学的半減期が8年位のようなのですが、そうすると人間の骨というのは経年でSrの蓄積量が多くなると言うことなのでしょうか?骨代謝の学会HPを見ると、骨は常にスクラップアンドビルトで、故にカルシウムを摂取し続けなければならないと言っています。そういえば、子供の頃から「牛乳を飲め」と言われ続けました。何とも、すっきりしません。
 90-Srを測定するとき、共存するカルシウムによる計測値の誤差が大きいので苦労します。水酸化物を作って分離したり、クラウンエーテルを使った分離膜を使ったりの工夫が必要です。要は、カルシウムが90-Srのβ線の遮蔽になっている訳ですね。カルシウムの共存が高くなるほど、計測値が真値からマイナスの誤差となります(発せられるβ線が検出器に届かなくなる)。化学屋の感覚ですから、全く当てになりませんが、カルシウムリッチな食生活をしていると、相対的に90-Srは吸収されないように思われます。便秘しそうですが……

katukawa 11-05-26 (木) 11:22

次のpdfにストロンチウムの摂取および生物学的半減期に関する記述があります。

http://www.stoller-eser.com/FactSheet/Strontium.pdf

このドキュメントによると、生物学的半減期は約30年。カルシウムが不足している場合、乳幼児、成長期は、ストロンチウムの吸収率も高いみたいですね。

What Happens to It in the Body?
Strontium can be taken into the body by eating food, drinking water, or breathing air. Gastrointestinal absorption from food or water is the principal source of internally deposited strontium in the general population. On average, 30 to 40% of ingested strontium is absorbed into the bloodstream. Absorption is higher (about 60%) in children in their first year of life. Adults on fasting and low-calcium diets can also increase intestinal absorption to these levels, as the body views strontium as a replacement for calcium. Strontium behaves similarly to calcium (but is not homeostatically controlled, i.e., where the body actively regulates levels within the cells), but living organisms generally use and retain it less effectively. About 15% of what enters the bloodstream is deposited in bone; the remainder goes to soft tissue (mainly the kidney) and plasma extracellular fluid and is excreted in urine. The biological half-life of strontium remaining in the body is about 30 years.

三笠山 11-05-27 (金) 1:30

ありがとうございます。合わせて15年ぐらいですか。やはり長いことには変わりません。しかし、子供にカルシウム豊富な食生活を保たせることには意義がありそうですね。
私も、仕事の合間に検索を続けていたら次の文献に当たりました。
http://www.clinchem.org/cgi/content/full/44/3/437#R5
これは、生物学的半減期が10年くらいとのこと。んー、結局精確な値はわからないのでしょうね。骨粗鬆症の研究などでCaトレーサーを用いる内容の論文が散見されます。ヨウ素のように特定の部位に集中されるかどうか不明なので、議論に幅が出てしまうのは致し方無しですか。90-Srの濃度がわかっても、これからの影響は予測困難ですが、次の世代には情報を渡せるのかなー。測定の仕事が回ってきたときは、がんばりたいと思います。重ねて感謝です。

アサキジ 11-05-28 (土) 1:43

ホタテの殻を粉末してある野菜洗浄剤が使用してます。水を張った桶に野菜を入れ、洗浄剤を2ー3振りして10分から20分つけておきます。ホタテの貝殻はストロンチウムに汚染されているのでしょうね?この商品をこれから買うかどうか迷っています。

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