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世界の水産物消費の動向 その1

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さいきん、こんな本を購入した。

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
文藝春秋 2009-03-26
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おすすめ平均 star
starタイトルは、くだけているが
star動的な価格の分析も欲しかったです!
star「食糧危機」なんてこない方が気が楽だけど・・・

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本書によると、魚は余っており、日本が輸入できなくなることはないらしい。筆者の主張を要約すると、こんな感じ。

1)日本の購買力は世界一で、買い負けは一般的な現象ではない。
2)マグロが中国に競り負けるのは、中国人が相場を知らないだけ
3)先進国の魚食ブームは、一過性のブームに過ぎない
4)魚は貧者のタンパク源であり、豊かになった国は、魚から、肉に切り替わる
5)現に、筆者の留学した英国では、魚の消費が右肩下がりである

うーん(苦笑
かなり事実誤認のある、問題の多い本だと思った。せっかくだから、新しいSofiaを使って、世界の水産物の消費動向を整理した上で、どこがどうおかしいかを検証してみよう。

世界的の水産物はどこからどこへ流れているか

Sofia2008(P66)から、水産物の輸入国のランキングを抜粋してみよう。
image1
日本の最大のライバルは、年間6%という凄い勢いで輸入を増やしている米国だ。また、スペイン、フランス、イタリア、ドイツ、英国、デンマークなどのヨーロッパ勢の輸入も順調にのびている。近年、輸入を飛躍的伸ばしていた韓国は、ウォン安でしばらくは瀕死だろう。中国は輸入も多いけど、輸出はもっと多いから、水産物に関しては輸出国なんだよね。

大陸別に、輸出額と輸入額をみるとこんな感じになる。
image7

世界の水産物生産量は、90年以降ほぼ一定なのに、貿易額は急速にのびている。水産物国際化は着実に進んでいるのだ。特に、欧州と北米の増加は驚異的である。輸入超過は、アジア(中国以外)、欧州、北米なのだが、アジアの輸入の大半は日本と韓国の2国で占められている。そして、輸出超過は、アフリカ、中国、南米、オセアニアである。途上国の魚を先進国が奪い合っているという構図が浮かんでくる。
image8

輸入超過:日本、韓国、欧州、米国
輸出超過:アジア(日本、韓国以外)、南米、アフリカ、オセアニア

輸出国の生産は今度どうなる?

現在輸出をしている地域の生産トレンドをおおざっぱに予測してみよう。

アフリカ:
欧州漁業の草刈り場となっており、かなり乱獲が進行しているようである。しかし、情報がない!

中国:
内陸の淡水養殖が主なんだけど、この増加率を維持できるとは思えないし、環境負荷も心配だ。正直、予測は難しいです。

南米:
玉石混淆かな。ペルーやチリは、変動が大きな浮魚主体ではあるが、しっかりとした管理をしているので、安定した生産が期待できる。

オセアニア:
豪州、NZを軸に安定した生産が期待できる反面、管理が厳密なので、漁獲量が劇的に増える可能性は低い。

これらの状況を考慮すると、輸入できる魚は、非常に限られているということはわかると思う。輸出国の中で、資源管理をしていない漁業が廃れるのは時間の問題である、一方、資源管理をしている漁業では、劇的に生産量がふえることはない。全体として、減少傾向か、よくても現状維持が精一杯だろう。

Comments:1

大は小を飲み込む 09-04-23 (木) 10:10

ちょうど勝川先生のことを思いながら、この本を読んでいました。専門家でない小生は、この本の主張を判断できる立場にはないことから、専門家である勝川先生のご感想が気になっていました。ところで、この手の本は、やたら文章の切れが良く、論旨明快で読みやすい! たとえはヘンですが、外国語で言うと、ネイティブに近い発音でしゃべることから、内容にかかわらず、相手の語学力が本当の実力以上に素晴らしく思えてしまう、とりあえずその場では圧倒される、という感じに似てるような気もするのですが・・・・・。帯の文句(「それはウソだ! 云々」)もそんな感じでキレ味良し、といった具合ですね。とりあえず、さまざまな議論が表に出れば、真実も浮かび上がってくるのでしょう。

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