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ミナミマグロにこだわる理由

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国内の動きを見ていると、責任の所在を曖昧にしたまま、
不正漁獲問題を過去のものにしたいようだ。
「同じ日本人なのに漁業者をいじめたら可哀想」
「他の国だってやっていることで日本だけが悪いわけではない」
「今回の漁獲枠削減は懲罰ではなく、日本が進んで範を示したのだ」
こういった発言ばかり繰り返されている。
苦い過去をうやむやにすることが真の意味で漁業のためになるはずがない。

ミナミマグロ不正漁獲は、すでに国際問題に発展している。
国内世論さえごまかせればそれで良いというレベルではない。
特に痛いのが、世界の研究者からの信用を失ったことだ。
国際交渉の場では、サイエンスという土俵で国益をかけた戦争が行われている。
ミナミマグロの管理を巡っては日本とオーストラリアが泥仕合になってしまったので、
中立な研究者(凄いメンツだよ!)を呼んで調停をしてもらっていたという経緯がある。
2国間の戦争が泥沼になったので、多国籍軍にPKOをしてもらっていた感じだ。
中立な研究者達が日豪の間を取り持って、
5年もかけて管理の枠組みをようやく完成させたと思ったら、
その基礎となったデータがねつ造だったいうのだから、しゃれにならない。
今回の不正行為は、多国籍軍の陣地にタマを撃ち込んだようなものだ。
また、国益のために最前線で頑張っていた日本の研究者の多くは、
可哀想に不正漁獲の事は知らなかったらしい。
彼らにしてみても、ヤリキレナイ川だろう。
敵に塩を送り、味方の戦意を失わせ、中立軍を敵に回す。
この愚行は、ミナミマグロ戦線が壊滅しただけではなく、
他の国際資源の戦線を著しく後退させる可能性がある。
ハッキリとした因果関係は見えないかも知れないが、
国際的な信用の低下が大きな損失であることは疑いの余地がない。

ミナミマグロ漁業に関しては、漁獲枠を失った、国際的な信用も失った。
漁業としては失うものはもう無いだろう。
だからこそ、この事例を糸口に日本漁業の構造的な問題に向き合うべきなのだ。
● なぜ、不正漁獲をしてしまったのか?
● どうしていれば不正漁獲は防げたのか?
これらの2点を整理して、再発を防がないといけない。
このブログでミナミマグロ問題を扱っているのは、
別に漁業者バッシングをしたいわけではない。
むしろ、犯罪者扱いをされて漁獲枠を取り上げられる漁業者を少なくしたいのだ。
そのために、問題の所在を明らかにした上で必要なサポートを明らかにする。
それが漁業を良くするためには必要な作業だろう。
この一件をうやむやにしていたら、同じようなことが繰り返されるだろう。
こういう事を繰り返していたら、
世界中の漁場から日本漁船が閉め出されても文句は言えない。
そういう状況だけは防がないといけない。

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from 18 Mar. 2009

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