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アイスランド漁業の歴史に関するメモ

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アイスランドの資源管理の年表

1976より前 禁漁、禁漁区、禁漁期、漁具規制など、様々な規制の併用
1976 ニシン漁業に船別漁獲枠を導入(IQs)
1979 ニシンの船別漁獲枠が譲渡可能に(ITQs)
1980 カペリン(カラフトシシャモ)漁業に船別漁獲枠を導入(IQs)
1984 底魚漁業にITQが導入される。小型船(<6brl)は、ITQの適用除外。
1985 底魚漁業に努力量クオータ(effort quota option)が導入される
1986 カペリンの船別漁獲枠が譲渡可能に(ITQs)
1991 漁業全体が単一のITQシステムで統一される。小型船への適用除外は継続
1991-04 小型船への厳格な努力量規制が導入される
2004 小型船向けの独自のITQ制度が導入される

1976年より前は、今の日本と同じような状態であった。まず、大型船の主要漁業からIQを導入。それを譲渡可能にした。最初から、譲渡の自由度は極めて高かった。1984年に、全ての底魚にITQが導入された。底魚は、アイスランドの漁業生産の2/3を占めている。これによって、アイスランドの主要な漁業は網羅されたことになる。1991年には全ての大規模漁業の制度を統一した。

小型船へはITQの適用除外を行ってきたが、結果として小型船の漁獲能力が急増した。91-04年の間、非常に厳格な努力量規制を行ったが、過剰漁獲を抑えきれず、04年に小型船にもITQが導入された。

資源状態は良好で、漁業は利益を生んでいる。アイスランド人は、日本人以上に水産物を消費するのだが、水産物の自給率2500%である。

アイスランドの漁業制度についてしばしば批判されるのは、寡占化の問題である。これは、ほぼ無規制の売買を認めた結果である。社会的公平性の観点から、現在もITQを続けるかどうかについては議論が続いている。アイスランドの公平性の議論は、日本には当てはまらない。日本では漁業組合が沿岸の排他的独裁権を有しており、そもそも社会的な公平性が存在しないのである。

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