- 2007-07-24 (火) 12:35
- 日記
自分のコメントがどう使われるかもわからないままで、ドキドキしながら見ました。
Wormらの論文については、俺が紹介した訳じゃないよ。
むしろ、あの論文は解析手法に問題があるから使わない方がよいと止めたんだけどね。
後半は、ノルウェー漁業が厳格な管理をしている雰囲気が伝わったと思う。
IQとオリンピック方式の違いもわかりやすかった。
ただ、日本のABCとTACの乖離について触れなかったのは物足りない。
ノルウェーは生物の持続性を考慮して漁獲枠が設定されているが、
日本の漁獲枠は生物の持続性への考慮が全くない点だ。
日本にIQを導入しても、今のような過剰な漁獲枠なら保護効果は期待できない。
サバに関しては、偶然発生した2004年級群が、たまたま残っているので、
実感がないかもしれないが、今のままとり続ければすぐに元の木阿弥だろう。
オリンピック方式よりも、むしろ過剰な漁獲枠が本質的な問題なのだ。
俺のすぐ前にでてきた漁業会社社員は、たもすくいの関係者で、
彼らが小さいサバを獲っているわけではない。
元々の発言は、「大中巻きの漁業者も、小さい魚を捕らないと自分たちの給料がなくなるから獲らざるをえないのだろう」というような内容だったのだけど、
前後の文脈は完全にスルーで、
「小さい魚を捕らないと自分たちの給料がなくなる」という部分だけ使われてしまった。
あれでは、まるで小さい魚を獲り尽くす漁業者代表みたいに見えてしまう。
番組の構成としてはそういう発言が欲しかったのは理解できるが、
「あの使い方はないだろう」と思った。
俺の発言に関しては、特に問題は無い。
「儲かる獲り方が出来るような規制が必要」というのは、いつも言っていることだ。
スタジオは松田さんだったが、ちょっと緊張気味?
自分の研究室でカメラに向かって話すのも緊張をしたけど、
スタジオで生放送だったら、どうなんだろうな。
とても想像もつかないです。
今回の番組については、問題点がわかりやすくまとまっていると思った。
あの長さでよくあれだけ盛り込んだものだ。
漁業会社社員のコメントの使われ方とか、残念な点もあったが、
全体としては、良い番組だったと思う。
少なくとも、ウナギが値上がりをする心配しかしない他の報道とは、
一線を画す内容だっただろう。
今回の番組への取材協力は大変だった。
データをまとめたり、質問に答えたり、いろいろと時間も労力もをとられました。
取材協力費なんて何もないし、撮影への交通費すら自前ですよ。
あの番組が漁業を良くする追い風になれば良いのですが・・・
- Newer: やっと終わった~!
- Older: 今日のクローズアップ現代は必見
Comments:8
- david 07-07-24 (火) 12:52
-
昨日、たまたまブログを拝見させていただいた時に、番組の放送についてのコメントを見たので、携帯で番組を録音して帰りの電車で見ました。番組作成は本当に大変そうですが、ありがとうございました。こういう話題がNHKで取り上げられるのはいいことですね。
- 勝川 07-07-24 (火) 13:37
-
davidさん
殆ど知識がないところから、情報を収集して、
短期的にあれだけのものをつくるのだから、番組スタッフは凄いですね。
民放は魚の値上がりの心配しかしませんから、
NHKのような放送局は貴重ですね。 - ある水産関係者 07-07-25 (水) 20:29
-
マイワシTACの期中改訂に関する水産庁(大本営)発表は不親切、を通り越して読者無視の単なるお役所の自己満足。こんなお粗末な情報公開なら日本の恥曝しだし税金の無駄遣いだから最初からやめるべき。この国では、この程度の情報ですらこの有様だから、他の情報については推して知るべきでしょう。
問題の情報は、水産庁のHP(http://www.jfa.maff.go.jp/release/19/070301.pdf)にありました。そこには、「諮問第128号 ・・・・・・」について、諮問の通り実施されることが決まりました、とあるが、マイワシの「マ」の字、TACの「T」の字すら見当たらない。これでは、資源学者でなくても決定の中味どころか、この諮問事項の中にマイワシの期中改訂の話が含まれていることすら、想像もつかないでしょう。これでは伝えるべき情報が伝わらないこと位、小学生でも判るのに・・・、それともホントは伝えたくないのかも? 官報に掲載されたかどうか知らないけど、こんな重要な情報はそれだけで良いわけないでしょう。
さて、こんな時に頼りになるのが水経新聞ということで、何と7月4日付けの1面に「サンマ31万6000トンに、TAC3万トン追加、マイワシは6万トンに」とちゃんとありました。マイワシのTACについても、「昨年暮れの段階で、一昨年の漁獲データをもとにABC2.6万トン、TAC3.5万トンと枠を決めた。しかし昨年、また今年1-3月も全国的にマイワシが獲れていることから、これらの漁獲データをもとに資源評価を見直し、暫定的にABC4.1万トン、TAC6万トンに変更。TACを昨年同様とすることを諮問した。マイワシは17年級群が卓越に近いとの報告もあり、徐々に資源回復が見られている。」だそうです。
報道内容の真偽については専門家の勝川さんに解説をお願いするとして、ドー素人の私が見ても「えっ、ホント!?」と首を傾げてしまいます。水産庁のプレスリリースについては、そのような発表が堂々とまかり通る自体、日本の資源管理を担う行政組織が機能不全に陥り、さらに、水産資源に対する国民の関心度も、生活に手一杯で関心を向ける余裕など無い、ことを如実に物語っていると思います。政府は、国民の無関心を良いことに、自分たちに都合の良い施策をやりたい放題進めている、と言うのが実態かも。今週末の選挙では、漁業者代表なる候補者も立候補しているようですし、結果について興味深く見守りたいと思います。先日、NHKで報道していた水産物エコマーク(エコラベルでしたっけ?)なんて、当分は情報公開&資源管理後進国たる日本にとって無縁の話に見えます。
- si 07-07-26 (木) 9:59
-
TV見ました。アナウンサーがかみかみでしたね。番組内容よりもそっちが気になって気になって。
それに比べれば、勝川さんは非常に上手く話されていたかと。ノルウェーの話は面白かったんですが、沿岸漁業はどうなってるんでしょうね。
30分番組にしては、ずいぶん盛りだくさんだった気がします。次はNHKスペシャルとかで、遠洋漁業から沿岸漁業、養殖、輸入まで全般的にやって欲しいですね。交通費も出ないというのには驚きでした。
出張してもらっても何もお礼とかないんですね。
制作費はいったいどこに使われてるんでしょう。
ノルウェーの出張費かな。 - same 07-07-26 (木) 17:24
-
http://kokushi.job.affrc.go.jp/H16genkyou/H16syousai/37L.pdf
資源管理の視点からいうと、自分の扱っているアブラツノザメは低位なのです・・獲るのをやめると自分の仕事がなくなりますが、仕方がないかと考えてきています。ワシントン条約対象魚に毎年取り上げられていますしね。ただ気になるのは上に紹介したページの漁獲量についてで、昨年度うちで扱ったアブラツノサメが400トンくらいです。うちばかり扱っているわけがないのでもう少し(多分最低でも5倍以上)資源はあるような気がします。しかし妊娠期間が22ヶ月、成魚になるまでメス23年オス14年かかるとするとやはり厳しいか。
本題とは関係がないコメントですみません。
資源があるものを年間順繰り使って商売にしないといけないですね。腹くくらないと・・・ - 勝川 07-08-01 (水) 15:45
-
ある水産関係者さん
大本営は、不利な情報は隠せばよいと言う姿勢がますます顕著ですね。
何かあったのかな?マイワシに関して、漏れ聞こえてくる情報をまとめてみます。
今年は1月~3月に銚子と波崎で例年以上に水揚げがあったので、
4月から翌3月に区切って、資源評価をやり直したようです。
その結果、abcが増えたので、tacも増やしましたということですね。「ちょっと獲れたら、都合良く資源評価をやり直す」というのは論外です。
さらに、やり直したものは、公開しないのだから、終わってますね。1-3月にマイワシの漁獲量が増えましたが、
獲れている海域が限られているので、資源としての底上げがされているかは不明です。
銚子沖で0歳魚の群れをガンガン巻いているだけという可能性もあります。
「ふたを開けてみたら残っていなかった」といういつものパターンになりそうです。もう少し待って、17年生まれの評価が固まってから獲ればよいのに・・・
そっちの方が全体としては儲かるはずなのですが、
早い者勝ちだから、そうも言えないのでしょう。siさん
インタビュー自体はメロメロでした。
結構長く話した中で、使えそうなところを選んでくれたのです。
録画で良かった。>交通費も出ないというのには驚きでした。
>出張してもらっても何もお礼とかないんですね。
>制作費はいったいどこに使われてるんでしょう。
>ノルウェーの出張費かな。昨日、交通費と謝金を払いますというメールが来ました。
ここに書いたからかな(笑
謝金は次の番組制作につかってもらうとして、
交通費はありがたくもらっておきます。sameさん
>昨年度うちで扱ったアブラツノサメが400トンくらいです。
>うちばかり扱っているわけがないのでもう少し(多分最低でも5倍以上)
>資源はあるような気がします。確かにそれはおかしいですね。
評価票だと、沖底の漁獲量が100トンぐらいになってます。
実際には2000トンぐらい流通していると言うことでしょうか?図1からすると、漁獲の減少傾向は明らかだと思うのですが、
実際に流通量も減っていますか?>しかし妊娠期間が22ヶ月、成魚になるまでメス23年
>オス14年かかるとするとやはり厳しいか。
逆に言えば、生産性は低くても、生産量は安定しているはずです。
資源管理をすれば、安定的に利用できる種かもしれません。
まあ、資源回復に多大な時間がかかりそうですが・・・ - same 07-08-02 (木) 10:12
-
>実際には2000トンぐらい流通していると言うことでしょうか?
多分それ以上あると思います。流通量は鮮魚専門店の減少によって減っています。うちの場合物はあるので鮮魚以外の製品原料にまわしているという状態です。
この間ある商社の方が見えて、海外品を流通させることはできないか相談にきました。 - 勝川 07-08-06 (月) 17:43
-
それはちょっと信じられない乖離ですね。
いったいどうしたことでしょう。統計システムに穴でもあるのかな。情報が少ない種では、漁獲量のトレンドに頼らざるを得ないのが現状です。
伐採量から森林の量を推定するようなな無茶をせざるを得ないのです。
ここで、漁獲量の統計がこんなにずれると、アセスメントは機能しないでしょう。
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=314
- Listed below are links to weblogs that reference
- クローズアップ現代「魚が消える?持続可能な漁業を目指せ」 from 勝川俊雄公式サイト