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余はいかにしてITQ推進論者になりしか

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日本の現状→無管理・乱獲放置状態

今の日本では、資源管理は行われていないに等しい状態である。
資源回復計画は、補助金をばらまくだけで、資源を保護する効果は期待できない。
TAC制度も生物生産を大きく上回る漁獲枠が慢性的に設定されているので、全く機能していない。
現に、TAC制度で管理されている資源も総じて減少傾向にある。
TAC制度が始まって10年が経過したが、TAC制度の対象はたったの7魚種であり、
TAC対象魚種が増える気配はない。

これらを総合すると、日本は国として資源管理をしていないと言っても良いだろう。
TAC制度によって、資源管理の枠組みは導入したが、
運用の段階で乱獲を許容して、管理を放棄しているのである。

今後も漁業を続けるつもりならば、生物の生産力と釣り合った水準まで漁獲量を下げる必要がある。
しかし、現在の制度で厳しい漁獲枠を設定すれば、問題が解決するわけではない。
現在の日本のTAC制度は、ダービー方式(オリンピック方式)と呼ばれる運用方法を採用している。
今の管理制度で漁獲枠を絞れば、少ない魚を巡る競争が激化して、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されるだろう。
ダービー方式で乱獲を回避しようと言うのは、麻酔なしで外科手術をするようなものであり、
乱獲回避に成功しても、漁業が産業としてはショック死する可能性もある。
(まあ、資源さえ無事なら、産業は幾らでも復活するので、管理をしないよりはマシだろう)

日本は資源管理を放棄しているから、ダービー方式の危険性は表面化していないが、
まじめに資源管理をしようと思ったら、漁獲枠の配分方法が必ず問題になる。
漁獲枠を適正な水準まで下げたときに何が起こるかまで考えると、
漁獲枠の配分方法を変更が必要なことは明白なのだ。
乱獲を抑制するにしても、痛みの少ない管理方法は存在する。
現状で、漁獲枠を制限したときに、最も痛みが少ない配分方法がITQなのだ。
そこで、高木委員提言など様々な場所で、ITQの導入を求める声が挙がりつつある。

今後、資源管理をどのように進めていくかを議論する基礎的な情報として、
それぞれの漁獲枠配分方式が漁業者にどのような行動をとらせて、
その結果、漁業はどうなるかを分析しよう。

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