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海に放出された放射性物質の行方を考える

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海に廃棄された放射性物質には、大きく2つの経路が考えられます。

1)外向きの海流に取り込まれて、遠ざかっていく
2)沿岸流に取り込まれ、沿岸沿いをじわじわ広がる

1)外向きの海流

放射性物質を含む海水が、外向きの海流に取り込まれると、太平洋の真ん中へと流されていきます。その過程で周りの海水と混ざって、どんどん薄まっていきます。この外側の流れに相当する部分を、JAMSTECが、30Km沖合で計測しています。30km離れた時点で、すでに排水の基準値を下回っているので、このまま移流・拡散していくと、いずれは生物に影響がない(軽微な)濃度まで薄まるでしょう。それに希釈に要する時間は、拡散係数と初期濃度によって決まります。

2)沿岸流

放射性物質を含む海水が、外側の流れに乗らずに、沿岸を滞留する場合、沿岸をゆっくりと移動します。排水が続けば、放射性物質は、じわじわと周りにしみ出していきます。この場合、沈降した放射性物質が底質にトラップされたり、海草類に取り込まれたりして、汚染が長期化する可能性があります。また、周りの海水と温度が違う水塊を形成した場合には、長期間濃度を維持したまま、移動する可能性もあります。

まとめ

現状では、海の生態系にどの程度の影響があるかは不明です。ます、廃棄された放射性物質の総量がわかりません。また、廃棄された放射性物質のうち、どの程度が沿岸に留まり、どの程度が沖合に流出したかもわかっていません。

まずは、流出を止めることです。流出さえ止まれば、外洋の放射性物質が薄まって、検出できなくなるのは時間の問題でしょう。一方、沿岸域は、汚染が長期化する可能性があります。どの程度の範囲が汚染されたかは現状ではわかりません。

イギリスのセラフィールドの核兵器再生工場から、大量の放射性物質が海に廃棄されました。これらの放射性物質は今も土壌からも、魚や貝からも検出されています。こう言ったことが、福島沿岸でも起こっているかどうかを調べるために、流出が止まった後に、大規模な沿岸生態系の調査が必要です。

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