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マサバ太平洋系群終了のお知らせ

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500g前後の個体の水揚げが落ちてきました。
どうやら、04年級群をほぼ獲り尽くしたようです。
みなと新聞の12月3日版の5面に「サバは11月中旬からペースダウンし、
散発的になっています」という記述があります。

1歳魚(06年級)、2歳魚(05年級)が殆ど居ないことは確定的なので、
来年、再来年のサバ供給は、輸入に頼ることになりそうです。
来年、再来年の産卵量は近年最低水準になると考えられるので、
08年級、09年級は期待薄ですな。

こうなると、唯一の好材料の07年級群も風前の灯火だろう。
期中改定で大盤振る舞いした漁獲枠は、0歳魚で消化されることになる。
虎の子の07年級もローソクで中国にたたき売られて終了の見通しです。
こういうときこそ、期中改定で漁獲枠を下げるべきなんだが、
大本営がそんなことをするはずがないですね。

年級群のまとめ
3歳(04年生まれ):多かったけど、ほぼ終了ようだ
2歳(05年生まれ):ほとんどいない
1歳(06年生まれ):ほとんどいない
0歳(07年生まれ):多いようだが、0歳から獲られて終了しそう

「07年級が成熟する2年後まで04年級で凌がなくてはならない」と、
ことあるごとに言い続けたのだが、
漁業者は、毎日1000トンとか水揚げして、値崩れさせて、獲り尽くすし、
大本営は、ほいほい期中改定して漁獲枠を激増するしで、終わってるよ。
先のことなんて何も考えていない。
ただ目先の収益が確保できれば満足なのだろう。
明らかに非持続的・非合理的な漁業が野放しな時点で、
日本の漁業にとって資源評価の不確実性が本質的な問題でないことは明白だろう。

脂ののった日本のサバを食べたいのだが、
芽が出た端から摘むような漁業を続ける限り、マサバ資源の復活は無いだろう。

Comments:4

臼井 泰文 07-12-10 (月) 16:52

初めて投稿します私は鯖を仕入れして選別冷凍加工をしている業者です。最近の鯖の漁獲の状態をみると鹿島から小名浜にかけての漁場は100%、07年生まれのス-パ-ジャミ100g前後の鯖です。今将来の鯖の資源が危機的状態と叫ばれている中、どうしてわざわざ期中改定までしてこのジャミを取らなければいけないのか、甚だ疑問に感じている今日この頃です。
多分今晩も、巻き網船が出漁したのでまたもや、大量のス-パ-ジャミが水揚げされるのでしょう?
先生の心配されている状況が、まさに現実なってきております。
将来の日本のために,もう一頑張りお願い申し上げます。

業界紙速報 07-12-11 (火) 13:35

昨日のみなとですから、やっぱり速報という旗を降ろさなくてはなりませんか。
一面に、銚子、波崎でサバまとまるという記事。
今月上旬は二港合計で1日当り4ケタ水揚げが続く。水揚げ組成は9割以上が1尾100~200グラムのジャミ。11月上旬までは400~600グラムの大型サイズが主体だったが、今月上旬は9割以上をジャミが占める。今後は「天候が悪化しない限り、当分はコンスタントな水揚げが続く」(市場関係者)と予想。
ただ、記事の最後は;「水揚げはジャミ主体の上、魚体が不ぞろい。時折アジも混ざる。価格も大型主体時に比べ安く、漁獲枠を考えると決して良い状態とは言えない」(流通業者9と、先行きを不安視する声もある。と、結んでいます。
記事中、銚子漁港の大型サバの価格はキロ200~150円、ジャミは前年より3~4割高くキロ70~60円となっています。餌料用需要があるということなんでしょうけど、04年級群がいなくなって07年級群をこの時期漁獲してしまうことに、経済的損失はないと考えるものなんでしょうか?

勝川 07-12-12 (水) 12:13

臼井様

初めまして。今後も情報提供をお願いします。
サバに関しては、3歳魚はほぼ獲り尽くされたようで、
現状では0歳魚以外にまとまった漁獲は無理でしょう。
また、毎日1000~2000トンも水揚げしているようでは、
0歳ギョが居なくなるのも時間の問題でしょう。
90年代に回復傾向にあった資源をつぶしたときと全く同じです。

水研の研究者は、漁獲枠の増加に強硬に反対しましたが、
水産庁が北巻から言われるままに、ほいほいと枠を増やしました。
その結果、マサバ資源の回復の芽を摘むことは確実な情勢です。
こんな無茶な増枠を素通しする水産政策審議会にも呆れてしまいます。

この手のことは、今までさんざん言ってきました。
北巻も、水産庁も、非持続的であること100も承知で、
未成魚の乱獲を続けています。
研究者が何を言っても、都合が悪ければ無視されて終わりです。

私に出来るのは、情報をメディア経由で流すことのみであり、
それに対して、消費者や流通業者が声を上げてくれなければ、
そこまでです。無責任漁業はどこまでも続くでしょう。

業界紙速報さん、

いつもありがとうございます。

経済的損失はあるに決まってますよ。
0歳魚の約3割が3歳まで生き残ります。
その時の体重は5倍に成るのだから、重量は5割増し。
また、単価が3倍になります。
つまり、あと3年待てば4.5倍は儲かるわけです。
そして、3歳になれば少なくとも1回は産卵をしているので、
次世代の回復にも役立ちます。

特定漁業者の目先の利益のために、漁業が荒廃していく、
まさにその瞬間に立ち会っているわけです。

資源回復以前に、資源の存続が危なくなってきました。
このペースで0歳魚を漁獲すると、あっという間に居なくなります。
こんな無茶な獲り方をしても、マサバ資源が何とかなってきたのは、
餌であるカタクチイワシが豊富にあったからです。
現在、カタクチイワシが減少傾向にあります。
カタクチイワシが減ってしまえば、マサバの生産力が落ちて、
一気に資源が枯渇する可能性があります。
期中改定で漁獲枠を削減して、0歳魚を保護しないと、
太平洋のマサバは大変なことになるでしょう。

業界紙速報 07-12-21 (金) 14:37

みなと新聞の産地水揚げ市況

概ね、最後のページに全国の主な水揚港の市況が載っています。12月の太平洋系群のまき網による漁獲を見ると、1日波崎・銚子合計で1,300トン余、4日銚子で1,100トン、10日波崎・銚子で1,700トン弱、12日波崎・銚子4,700トン余、19日銚子で2,000トン余、そして本日も銚子で1,000トン余となっています。どの水揚げもジャミ混となっています。(日付は新聞の発行日で、水揚げは、ほぼその前日。)

臼井さんが出港をご覧になった船は、まさに4,700トンのうちの幾許かを水揚げしているのであろうと思われます。市況は、波崎(1,540トン、ジャミ・ゴマ込み)で52-46円、銚子(3,225トン、ジャミ他混じり)で150-47円でした。悲しいを通り越して、脱力感に襲われます。

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