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水産物の放射性セシウム汚染の地理的な広がり

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先日、魚のセシウムの汚染が1960年代と比較して桁違いというデータを示しました。高濃度に汚染された魚は福島周辺に集中しています。日本全国の水産物が一律に汚染されているわけではありません。賢く選んで、内部被曝を避けつつ、素敵な魚食ライフをエンジョイするために、産地別の汚染度をまとめてみました。

水産庁のサイトにある海産生物の計測データを県別に分類すると次のようになります。

 

500Bq/kgが国の暫定基準値。その10分の1の50Bq/kgが俺推奨基準値なんだけど、内部被曝を1mSv/yに抑えようとすると、このぐらいが目安になります。福島、茨城を避ければ、国の暫定基準の1/10まで内部被曝のレベルを下げることが出来るということですね。

県ごとの平均と最大値(Bq/kg)をまとめるとこんな感じになります。

平均 最大値 データ数
福島県 878.0 14400 57
茨城県 55.1 1374 191
千葉県 4.4 33 59
宮城県 1.3 5.2 11
神奈川県 1.1 9.3 20
東京都 0.0 0 3

現在、福島県沿岸では操業が行われていません。茨城産の魚だけ食べていても、国の基準値は大幅に下回ります。余所の産地の魚もまぜて食べれば、平均値は50Bq/kgよりも大幅に下げることが可能です。ということで、何も考えずに、魚を食べてもそれほど問題ないと俺は思う。気をつけたいのは、外れ値のような高い汚染の魚を食べないこと。高い値が出ている産地は福島・茨城、魚種は、コウナゴ、シラス、ワカメ、ひじき、アラメなどに、(今のところ)限られている。検査データを横目で見ながら、こういう魚種については、産地を選べば問題ないのかな、と個人的には思っています。海産魚については、捕食魚の値が、これからどう動くかが気がかりです。

海産魚をどう食べるか?(私案)

1)国の暫定基準500Bq/kgを平均で超えなければよい人 → 店にあるものは、迷わず何でも食ってよし

2)内部被曝をICRPの公衆被曝水準程度には抑えたい人 → 福島、茨城を避ければよし

3)保守的にECRRで行くぜ、という人 → 福島、茨城、千葉を避ければ、ドイツ放射線防護協会が提言する乳児、子ども、青少年に対する安全基準(食品・飲料全般)である4Bq/kgは達成できそう

産地を選べば、ECRR基準でも、十分にいけそうですよ!

淡水魚は要注意!

淡水魚は広範囲で高い値が出ていますから、注意が必要です。地上に落ちたセシウムは、雨に流されて、湖や川に行きます。淡水魚は海産魚よりも栄養塩をため込みやすい性質を持っています。チェルノブイリの事故でも、海産魚よりも、淡水魚の汚染が顕著でした。

日本でも下の図の赤い星で示した北塩原村で、セシウムが780Bq/kgのワカサギが見つかっています。群馬大早川先生の地図で青い線の部分ですから、かなり広い範囲で、基準値を上回る淡水魚が存在する可能性があります。

Comments:9

コンタン 11-06-06 (月) 20:47

「淡水魚・淡水水産物中のセシウムの放射能濃度」(googleマップ)http://bit.ly/llglgY
「河川・海洋の底質のセシウムの放射能濃度」(googleマップ)http://bit.ly/mm2SQW

katukawa 11-06-06 (月) 23:18

おお、この地図は凄いですね。早速ツイッターで紹介せねば。

川田きくの 11-06-06 (月) 23:45

ためになります。日本にいる娘におしえます。ツイッターもフォローしはじめました。

うに 11-06-07 (火) 13:32

勝川さん、いつも有益な情報ありがとうございます。

ところで放射性物質以外の化学薬品などによる海の汚染とかはどうなんでしょう?
正直こちらも個人的に気になっています。

今回の津波で、

・各農家などが保有していた農薬など
・スーパーや量販店などで販売されていた薬や薬剤、殺虫剤、洗剤など
・ホームセンターなどにあった化学薬品・化学肥料
・学校の医務室や病院などで保管されていた薬品類
・工場などで製造に使われていた工業系の化学薬品

など様々なものが建物ごと流されて、それらが海に大量に流出してしまいましたよね

放射性物質の場合は福島を中心に汚染を見ればいいのでしょうが、津波による化学薬品の流出については津波にあった県(青森、岩手、宮城、福島、千葉など)それぞれで懸念する必要があるのではないでしょうか?
容器がすぐに壊れたものは即座に拡散されるのでしょうが、スチール缶などに密封されていたものは時限爆弾のようにしばらくタイムラグがあり、腐食で穴があいて薬剤が漏れて周辺の魚、海草、貝などを汚染すると思います。

これらによる魚貝類の汚染と人体への健康被害については特に問題ないレベルなのでしょうか?

にゃんぱらり 11-06-08 (水) 17:55

大変参考になります。

ところで、ヨウ素とセシウム以外、例えばプルトニウムやストロンチウムは計測そのものが為されていませんが、その分のリスクは私案に織り込まれているのでしょうか?

みん 11-06-21 (火) 17:11

小さな子供を持つ東京在住のママです。こちらのような情報を探していました。ありがとうございます。勉強不足な質問かもしれないのですが・・・。ヨウ素を沢山取り入れるのがいいと聞いて、のり、わかめなどを積極的に子供に食べさせておりました。先生のおっしゃっている汚染の進み方が2つあるうち、沿岸をゆるやかに進む場合は、汚染はそのまま沿岸部を南下していく可能性もあるということになりますか?海藻への汚染がとても心配です。どのあたりのものが安全であるか、何を指標にしていいのかわからず、こちらに質問させていただきました。よろしくお願いします。

みしょ 11-07-01 (金) 20:53

東京在住の保育園に子供を通わせております。いつも分かりやすく有益な情報をありがとうございます。子どもの通う保育園では5月にワカサギが2度出ました。献立は区で立てるそうですが、こういう事態に対処するノウハウなど栄養士の方も普通は持っていないと思います。ならば、やはり、適切な基準と測定体制ができあがり、同時に、対処ノウハウが行きわたるまでは、基本、「遠い」産地の食材中心にすべきだと思いました。

Endangered 11-07-15 (金) 9:45

  浅川町(原発から70km南西)の畜産農家が餌として与えていた稲わらから放射性セシウムが1キロ当たり最高で9万7000ベクレル検出され、現在飼育中の牛の尿からも同530ベクレル検出された。南相馬市のケースで稲わらから検出されたのは1キロ当たり7万5000ベクレルだった。
 この農家から12日に「4月に稲わらを搬入してもらったが心配」と連絡があり、県が調査した。稲わらは、同県白河市の業者が原発事故後の3月15~20日ごろに商品としてロール化し、4戸に販売されたが、他3戸は出荷前の牛には与えていないとしているという。(毎日7/15)
            ↑
 いよいよ放射能汚染は県全域に拡大してきた。つまり当初の米の80k避難と経産省係官が1w現場から逃走したり、枝野の飯館村視察の重装備が正しかったことになる。いまや一帯住民の内部被爆は民主党政府下の情報隠蔽による人災と判明してきた。

やっぱりわからん 11-09-08 (木) 15:48

TBSラジオでの4月時点での御提言(被災していない地域の中古船売買を東北地域漁業者に斡旋するなどの措置も含めて東北漁業を総合的に支え、6次産業化してゆくべし、と言うような趣旨?)は、情報が集まってきた今の段階ではもはや無効、という風にお考えでしょうか。

TBSラジオ「麻木久仁子のニッポン政策研究所」のポッドキャストで今でも配信されています。

ところで、中学1年生用の国語教科書(光村図書)に「魚を育てる森」という文章がありました。
2005(平成17)年度まで、全国で使われたもので、要旨は、腐葉土の滋養が毎年毎年恒常的に海に注ぎ込まれることによって、漁獲量が大きく変化する、というようなものでした。

この文章そのものの科学的、水産資源学的見地からの当否判断は素人にはわかりません。

ただ、もし、このリクツをそのまま今般の事件に当てはめて言えば、山間の谷間に埋め立てられた(放射性物質を多量に含んだ)瓦礫類の害毒毎年毎年恒常的に海に注ぎ込まれることによって…となるのではないか、と不安です。

秋刀魚、喰いたいなぁ。
ノルウェーやチリやモロッコで、秋刀魚は採れるのかなぁ。

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