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今の日本では、価値競争力では勝負できません

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世界の漁業先進国の目指す方向性とは、
限られた自然の生産力の範囲で経済的な利益を増やすことである。
その観点から言うと、関サバというのは、ほぼ最強。
サバの小売価格が1尾5000円になるなんて、とんでもない話だ。

俺が「見本にせよ」と持ち上げているノルウェーのサバだって、
その20分の1の値段にもならない。
ノルウェーにはサバを1尾5000円で買う人はいないので、
逆立ちしたって関サバには価値では勝てないのだ。
その意味では、日本は恵まれた市場といえるだろう。

漁業で利益を出すためには、価格の安さではなく、
価値の高さで勝負しないといけないということは、ここに書いた。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/02/post_303.html

日本には世界で最高の価値を創造できる漁業がある。
(逆に言えば、最高の金を払う市場がある)
しかし、資源管理をしていない日本では、価値競争力では生き残れない。
同じ資源を値段の安さで勝負する漁業と共有することになれば、
価値で勝負する漁業は確実に負けてしまう。
未成熟個体を獲る巻き網は、価値競争力では最低水準である。
短期的に資源を切り崩してあぶく銭を手に入れるだけで、
長期的に見れば儲からない漁業である。
完全な自由競争の元手は、「儲かる漁業」は「儲からない漁業」に負けてしまう。
その結果、日本では漁業は儲からない産業になってしまった。

日本は乱獲天国である。
獲って、獲って、獲りまくる漁業者の権利ばかり保護して、
高く売れるように工夫をする漁業者の権利は蔑ろだ。
この状況を変えない限り、漁業に未来はない。
限りある自然の生産力を有効利用できる漁業者が
生き残れるような制度を導入しなくてはならない。
そういう制度を導入しているアイスランドや、ノルウェーでは、
漁業者は資源を守りながら、漁業によって豊かな生活を送っている。
日本の漁業が網羅か無いのは、人件費の問題ではない。
ノルウェーの方が人件費が圧倒的に高いからだ。
中国人と同じことをやってたら、中国には絶対に勝てない。
ノルウェー人と同じことをやれば、
人件費は安くて、良い市場をもっている日本人が勝てるのだ。

こんな当たり前のことがなんでわからないのだろうか?

関サバのような素晴らしい魚の生産者が淘汰されるようなことがあってはならない。

Comments:2

匿名甘えヒト 08-03-24 (月) 23:25

水産学会誌に日本版エコラベルが紹介されていましたね。
読んでみて、少し違和感・・・言い訳っぽいトコロも垣間見られたし・・・なんか、ハードルが低く設定されそう???
まさか、そのハードルを越える手助けを現場の試験研究機関か、出先のおとぼけ行政組織が担うなんてコトにはならないでしょうね???

本物のブランドが失われて行くのを尻目に、贋物作りに勤しむ、なんてコトにはならないでしょうね???

妙に心配。。。

勝川 08-04-02 (水) 23:44

差別化すべき違いがあって初めてブランド化は意味を持ちます。
まず最初にブランド名を決めてから、売りを探しているような、
お粗末なブランドも多いようですね。
まあ、資源管理をしていないから、質が高い魚が安定供給できるはずがないので、
よほどの条件が整った資源でない限りブランド化は成功しないでしょう。

日本版エコラベルについては、ここで書いたとおりですね。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/01/post_283.html

それはそうと、先日の北洋シンポでのエコラベルのレビューは
よくまとまっていたのだけど、文書にはなっていないのだろうか。

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