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無責任発言時代か(岩崎寿男)を読み解く その1

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俺の基本スタンスとして、自分に対する反論は大歓迎だ。議論を通して、論点が明らかになることもあるだろう。ただ、岩崎氏の反論はレベルが低すぎて、議論にも何にもなりゃしない。そもそも無理解や誤解の上に批判を展開しているから、どうしようもないのだ。まあ、水産庁の中枢にいた人間のレベルがよくわかるという点では価値はある。また、改革に反対する勢力のお粗末さもよくわかるだろう。まともな反論はできない上に、勝手に墓穴を掘ってくれる岩崎氏には今後も活躍をしてもらいたいものだ。ただ、残念なことに、この人の文章は、ほとんどの人には理解不能だろう。これではもったいないので、解説を入れることにする。

まずは、4/10日の文章について分析してみよう。

最初の3段は、独善的とか、無責任とか、抽象的に誹謗しているだけで、特に内容はない。「おまえのかあちゃんでべそ」レベルですね。

笑ってしまったが「多くのデータにより普遍的に自分の主張が成立することを実証して論じるという通常の学者のルール」の下りだ。水産庁→北まき理事という都合の悪い過去を隠してる人間が偉そうに何を言う。当事者が第三者を装って自己弁護をするのは、人としてのルールに反していると思うけどな。

4段目はまっとうな内容だと思ったら、俺の文章の要約だった。ABCを超えたら乱獲というのはABCの定義から自明だし、根拠が不明なものより、根拠が明らかな方が信用できるというのも当然だろう。ルールを破る不届きものがいるのだから、何らかの強制力が必要なのは自明だし、現在まったく機能していないTAC制度を改善するのは当然だ。俺の言っていることは、実にわかりやすいじゃないか。

ABC値以上獲ると乱獲は誤り
これは、岩崎氏のABCに対する無理解を示している。ABCとは、そもそもの定義からして、それを超えたら乱獲になる閾値なのだ。「ABCを超えても乱獲ではない」というのはあり得ない。ABCを超えても乱獲ではないなら、それはABCではないわけだ。


資源が減るとか不都合なことが起きているか。起きていない。
では、大中巻き網対象魚種の資源量を見てみよう。マイワシは明らかに減っているし、マサバは増えているとか言い切っているが、対馬系群は明らかに減っている。マサバ太平洋についても、卓越を獲り尽くしただけだ。「乱獲で資源回復の芽を摘んだ」というのが適切な表現だろう。マアジも太平洋は減少傾向だし。まともなのはマアジ対馬ぐらいじゃないか。
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そもそも、北巻きなんて、獲るものが無くてモグラたたきみたいに未成魚が沸くたびに根こそぎ獲っているんだから、不都合があるのは明白だろうに。不都合がないなんて寝言は、休漁補償金を返納してから言ってほしいね。

サンマの漁獲はABCを下回っていたが、ここ数年、資源は下がり気味であり、ABC値は資源管理の基準として不適切である。
魚は自然変動する。歴史的にも希な高水準にあるサンマが、平均的な水準まで自然減少するのは当然だろう。サンマは超高水準から、高水準へと自然減少をしただけで、資源状態は現在も良好だ。資源量と比べて漁獲の規模は小さいから、まだまだ獲れる。出荷調整をしているだけで、まじめに計算すればABCはもっと多い。
岩崎氏は「ABC以下の漁獲なら資源は必ず増える」と勘違いしているようだが、そんなことはない。高水準のサンマは獲らなくても自然に減る。だからといって、ABCをゼロにして、現状を維持するために種苗放流をするべきだろうか。それこそ理不尽だろう。高水準資源については、ABCは漁獲の妨げにならないように設定すべきだし、実際にそうなっているのだ。
サンマや、するめいかは、高水準から、通常の水準へと戻っているだけで、今の資源状態は悪くない。ここ数年は、もっと獲っても問題は無かった。一方、マイワシとかマサバとか超低水準の資源は、一刻も早く回復措置を執る必要がある。特にマイワシは、現状を維持するだけでは危険な水準なので、安全を見て控えめに獲るべきなのだ。ABCは資源の状態を考量した上で、設定されている。「漁獲がABCを超えたら資源が減る」とか、「漁獲がABC以下なら資源が増える」と言ったものではないのだ。まあ、こんな勘違いをするのは岩崎氏ぐらいだろうが。

Comments:2

ある水産関係者 08-05-20 (火) 22:32

毎年のことながら、大本営の自画自賛に明け暮れ、突っ込みどころ満載の「水産白書」が公表されました。↓↓↓
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h19/gaiyou.html

 「◇自給率を向上させ、豊かな海と魚食文化を守るため、我が国周辺の資源が豊富な魚を食べることが重要」など、最初、日本語の意味がよく分かりませんでしたが、ちょっと考えて笑ってしまいました。さすがに資源が豊富な魚の中には「まさば」は含まれていなかったですね。まあ、「まさば」は臣民に食べさせるのではなく、輸出に回して自給率向上に貢献させようという魂胆でしょうか。

 それと今、漁業界を最も震撼させている燃油高騰問題については、はっきり言って迫力不足。今は魚食の問題よりも、そっちの方が大きいだろう、と思いましたが。原油価格の将来見通しを取り入れた産業の将来に関するシミュレーションでもやれば良かったのに・・・、でもそこまで大本営に期待するのは、ABC以下のTAC設定を期待するようなものですね。

勝川 08-05-26 (月) 17:08

水産白書は、トピックスだけ、読みました。
まだ忙しくて、全部は見てません。
一通り目を通してから、ブログでも取り上げる予定です。
「大本営は今年も正常運転だなぁ」というのが率直な印象です。
去年のように「俺たちは正しい」と開き直ってくれると楽しいんだけど、
今年のは総花的で、無難な印象を持ちました。

トピックスのテーマの選び方も実にガードが堅いですよ。
1燃油問題、2IWC(シェパード)、3ワシントン条約は、
「国際問題にがんばって取り組んでます」というアピールはしやすいネタですね。
4「クロマグロ資源の合理的な利用」については、
まだ、管理期間が動き始めたばかりで、管理の生臭いところまで行っていない。
5「マグロ養殖業」にしても、まだ産業として成り立っていないので、将来は極めて不透明です。
6はもろに「新ビジネスの可能性」だし。

国際問題や走り出したばかりのプロジェクトを並べて、
批判されづらいというのは、なかなかしたたかです。
目先の批判をかわす方法としてうまいとは思うけど、読む気が失せますね。
日本の漁業は今年に入って、ますます悪いですね。
加工・流通・小売りも含めて玉突き倒産のような状況です。
こういう状況にも関わらず、大本営の危機感の無さといったらないですよ。

本当の意味でのトピックスというなら、
高木委員提言とか、内閣府の規制改革だとか、
愉快なネタがいろいろあるのにもったいないなぁ。

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