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愛媛新聞社ONLINE 命を食する おいしくいただくのが供養

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愛媛新聞社ONLINE 命を食する おいしくいただくのが供養.

食卓に上がったお魚の目がかわいそうで、食べられない子どもが増えているという。「これは恐ろしいことです」と、青木淳一横浜国立大学名誉教授は嘆く。

まじめで従順な幼少時代。内向的な性格だが、学校では成績優秀。中産階級の家庭で不自由なく育った。その青年がある日、命について考えた。動物には命がある。自分はこれまで、動物の命を食べ、奪ってきた。なんて醜い人間なんだ。彼は肉を食べなくなった。それはそれでよし。食を考える大切な行為。彼は、魚と野菜中心の食生活を始めた。その後、また気付いた。魚にも命があることに。ああ、自分はひどいことをしていたんだ。以降、彼は魚も一切、口にしなくなった。菜食主義者になった青年。悲劇は、その先にあった。ついに彼は、最終的な「結論」に達してしまう。植物にも命がある。がくぜんとする青年。自分はどれほどの命を奪ってきたのか。引きこもり、一切の食物を拒否。両親が説得しても、頑として摂食しない。そしてついに…。精神的に不安定になった彼は、両親の命を奪ってしまう。

そんな子供は、見たこと無いんだけど、本当に増えているんだろうか。たしかに、丸のままの魚と接する機会がなければ、魚の目が苦手になるかもしれない。俺だって、豚シャブの皿に、豚の生首が載ってたら食欲無くなるだろう。

ただ、魚を食べるのが正しいことで、食べたくない子供には教育が必要だとは思わない。欧米ではベジタリアンはごく普通に存在するわけで、肉や魚を食べないこと自体は、べつに大した問題では無い。単なる個人の価値観であり、他人がとやかく言う必要は無い。そもそも、魚はいやがる人間に、無理に食べさせるほど、余っていないんだってば。

しかし、植物も含めて一切食べないというのは、普通の人間の発想ではない。腹が減ったから、両親を殺しちゃうっていのも意味不明。食育とかそうい次元の問題ではないと思うのだが。何で、こんなとんちんかんな例を持ってくるのだろうとおもって、ググると、ダニの分類学の専門家ですね。愛媛新聞社的には、大学の先生であれば、専門分野は何でも良いのだろうか。

食糧需給表には肝心な情報が無い

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日本の食糧需給事情を知るための代表的な統計としては、農水省の食糧需給表がある。ただ、この統計は記載されている情報量が少なくて、肝心なところがよくわからないのだ。

毎年の生産量は次の6つに分類できる。国産魚は、食用・非食用と国内消費・輸出の4つのカテゴリーが存在する。輸入については、食用と非食用の2つのカテゴリーがある。

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この6つの値を追うことで、日本の水産需給事情の全体図が追えるはずである。しかし、食糧需給表には、これらの6つの数字は乗っていないし、どこをどういじってもこれらの数字は出てこないのだ。

食糧需給表の数字と上のA-Fを組み合わせると、下のような6つの式ができる。

1)  A+C=国内消費指向量(総粗食量)
2)  A+B=国内消費指向量(総粗食量)×自給率/100
3)  A+B+D+E=国内生産量
4)  B+E=輸出量
5)  C+F=輸入量
6)  D+F=国内消費指向(餌料用)

未知数6つだから解けるかなと一瞬思ったが、式1+4+6が式3+5と同値になるので、これでは解けない 👿

この動画には、やられた

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何も言わずに、最後まで見てください。研究室で、絶叫してしまったよ。

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北水試だより77 「ヒラメのさいばい漁業の可能性をさぐる」

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北水試だより77 「ヒラメのさいばい漁業の可能性をさぐる」は、なかなかおもしろかった。

ここから、PDFを落とせます。

なぜ、鮭やホタテは事業化できて、ヒラメは事業化できないかというのが、よくわかる。ただ、回収率が損益分岐点を上回っても、自分のところで獲れる確信がないと、事業化は難しいんじゃないかな。まあ、ヒラメは移動性が低いから、大丈夫なのかもしれんが。

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さて、ヒラメは全国で二千五百万尾ほど、放流をされているわけですが、正直なところ、全体の回収率はどのぐらいなんでしょうね。局所的なデータは探せばいろいろあるんだけど、数字がまちまちで全体図が見えてきません。知っている人がいたら教えてください。

栽培漁業はもともと埋め立ての補償事業として、採算度外視で始められた。その後も、採算が問われずに、今まできてしまった。今の世の中、存在意義をしっかりと示していかないと生き残れないわけで、鮭、ホタテ、昆布のようにドル箱になっているものはさておき、それ以外の事業は大変ですね。

アクセスカウンターを直してみた

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最近、アクセスが急増したので、「すわ、当サイトもブレイクか?」と思ったら、なぜか画像ファイルまでカウントされていただけで、アクセス自体は変わってませんでした 😐

WordPressのプラグインCounterize IIを使っているんだけど、元々は画像ファイルまでカウントするような仕様じゃなかった。最近、アップデートしてから、様子がおかしい。ということで、画像ファイルをカウントしないようにファイルを直してみた。phpなら簡単だねっ!

Counterize II ver 2.4.1 です。

counterize.phpの拡張子をチェックしているのはこのあたり。

Image0909202

画像拡張しを判定するルーチンの括弧がおかしなことになっているので、下記のように修正してみた。

Image0909201

画像ファイルはパスされるようになりました 😛


アラル海が消えた…20世紀最大と言われる環境破壊

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らばQ:アラル海が消えた…20世紀最大と言われる環境破壊.

これはひどい。画像で見るとよくわかるね。

マグロの国際規制に関する予習資料

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マグロの輸出規制は、1992年からの歴史的経緯を追っていくと、「ああ、ついにきちゃったね」ということになるんだけど、国内ではそういう歴史を追えるような情報がない。マグロ保全問題について知りたければ、とりあえず読んでおくべき本をまとめておこう。


マグロは絶滅危惧種か (ベルソーブックス)

まずは、遠洋水研の魚住さんの本。この本に目を通すと、大体の状況と、日本の業界サイドの言い分がわかる。ただ、この本が出てから状況はだいぶ動いていることには注意が必要。


飽食の海―世界からSUSHIが消える日

逆の視点から理解するには、この本がおすすめ。日本ではさっぱりだったけど、原著『 The end of the line』は、欧米で大ヒットし、世論に大きな影響力を与えた。賛成する、しないは、べつとして、こういう本が受け入れられて、世の中を動かしつつあると いう現実は知っておくべきだろう。

飽食の海の212ページから、IUCNマグロ問題に関する記述がある。

日本は、会合の場でこそ抗議しなかったが、国に帰るや否や、猛攻を開始した。”漁業”は世界的な産業だから、それに悪影響を及ぼすようなことなど認められないのだった

最初のセッションで日本が立ち上がり、マグロについて抗議した。総じて参加国には悪い態度が目立ちったが、いくつかの漁業国は「極端に欺瞞的だった」ことを覚えている、と博士は言う。

と、日本に手厳しいです。日本人は、消費者としての責任を問われている。


IUCNの日本代表の松田裕之さん(横浜国立大学教授)は、本書を「一貫性を欠く非理論的主張」と一刀両断。こちらも必読です。

漁業と魚食を批判する欧米世論 : チャールズ・クローバー「飽食の海」を読んで
日本水産学会誌 72(5)  pp.995-998 2006
http://ci.nii.ac.jp/Detail/detail.do?LOCALID=ART0007920925&lang=ja


それから、俺もちょっと書いているんだが、こんな本もあります。IUCNの基準や計算方法など、詳しいことも書いてあります。残念ながら、非売品。

ワシントン条約附属書掲載基準と水産資源の持続可能な利用
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2004/CITESbook.html

まだ、余部があるので、欲しい人にはあげます。ただし、三重大まで取りに来れる人限定(笑
三重まで来るのが面倒な人は、発行元の自然保護協会に問い合わせてみると良いでしょう。

三重大の図書館には、びっくりだ

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e-journalになっていない古い雑誌を借りにいったのですよ。図書館まで。そうしたら、全ての雑誌は、1晩しか借りられないとのこと。古い文献から、データを拾うのが目的だから、調べ物をする間だけでも手元に置いておきたかったんだけど無理みたい。最新号だったらまだしも、もう何十年も前のマイナーな雑誌だから、1週間貸してくれても、誰も困らないと思うんだが・・・

三重大には、雑誌を借りて、じっくり調べるという需要がないのだろうか???

俺メモ:クリーンインストール

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ノートの調子が悪いので、再インストール中。
とりあえず、当面必要なものの一覧。firefoxの拡張が面倒だなぁ。

altime
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se027730.html

秀丸
http://hide.maruo.co.jp/software/hidemaru.html

R
http://www.okada.jp.org/RWiki/?R%20%A4%CE%A5%A4%A5%F3%A5%B9%A5%C8%A1%BC%A5%EB#h4666b84

Capture STAFF- Light
http://hp.vector.co.jp/authors/VA017297/

Firefox
Portforwarder
xyzzy
VNC
MPC
DDWIN
VIX
Foobar2000
Dropbox

市販は、
ATOK
Acronis True Image
iMindMap
AdobeCS3
Acrobat
Endnote
Vegas
MS-Office
ぐらい?

Rebuilding Global Fisheries 要約

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サイエンスに重要な論文が掲載されたので紹介しよう。

Worm B, Hilborn R, Baum JK, Branch TA, Collie JS, Costello C, Fogarty MJ, Fulton EA, Hutchings JA, Jennings S, Jensen OP, Lotze HK, Mace PM, McClanahan TR, Minto C, Palumbi SR, Parma AM, Ricard D, Rosenberg AA, Watson R, Zeller D (2009) Rebuilding Global Fisheries. Science 325: 578-585.

背景

この論文の背景から少し説明をしよう。まず、Wormらが次の論文で、「このままだと世界の漁業は2048年に消滅する」と述べ、世界中のメディアにこぞって取り上げられた。

Worm B, Barbier EB, Beaumont N, Duffy JE, Folke C, Halpern BS, Jackson JBC, Lotze HK, Micheli F, Palumbi SR, Sala E, Selkoe KA, Stachowicz JJ, Watson R (2006) Impacts of biodiversity loss on ocean ecosystem services. Science 314: 787-790.

それに対して、俺たちのHilborn先生が、「ちゃんと管理されている漁業は、大丈夫」と主張したのがこれ。さらに、「NatureやScienceの査読者は、漁業が破滅に向かっているという先入観に基づき、研究の質ではなく話題性で論文を選んでいる」と痛烈に批判をしたのだ。

Hilborn R (2006) Faith-based fisheries. Fisheries 31: 554-555.


「で、本当のところどうなのよ?」というのが、みんなの関心があるところだと思う。そこで、WormとHilbornを中心に、21人の大御所が集まって、出してきた結論が、この”Rebuilding Global Fisheries”という論文なのだ。おもしろそうでしょ?いろいろと議論をしても、最後は、データに基づいて、白黒つけようという姿勢が素晴らしい。

適当に、要約をしてみたのだけど、興味がある人は、原文を読んで欲しい。そんな長い論文じゃないし、さくっと読めるはずだ。


イントロ

乱獲が、海洋における最大の環境・社会経済問題と考えられている。漁業が、種の多様性と生態系機能に悪影響を与えてきたことに疑問の余地はない。しかし、現在も乱獲が進行しているかについては、議論が分かれている。本研究では、世界中の資源評価研究(生態系モデル、資源評価、調査漁獲)の結果をまとめて、世界の水産資源・生態系が回復に向かっているかを議論する。

資源評価

世界の166の資源評価結果を集計したところ、63%の資源量がMSY水準を下回っていた。(俺注:MSY水準というのは、持続的な生産量を最大にするような資源量のこと。MSY水準を下回ると「資源が健全ではない」→「回復が必要」ということになる)そのうち約半分(全体の28%)の資源は、最近、漁獲圧が減少傾向にあり、資源はMSY水準に向かっている。残り(全体の35%)は、現在も乱獲行為が継続している。

資源量の推定値が得られた144例について、1977年と2007年の資源量を比較すると、全体のバイオマスは11%減少していた。この減少は、主に中層の浮魚類の減少に起因する。北大西洋の底魚の減少は、北太平洋の底魚の増加によって相殺され、底魚バイオマスは全体としては安定だった。

 

トロール調査(俺注:主に底に住む魚を漁獲する)

タラとサメ・エイが顕著に減少していた。全体のバイオマスは32%減少。大型底魚(最大体長90cm以上)は56%減少、中型底魚(30~90cm)は8%減少、小型底魚は1%減少していた。一方、無脊椎動物は23%増加、浮き魚は143%増加していた。底魚が減少したことによって、余った餌を消費して、増えたのだろう。また、1959年と比較して、最大体長は22%減少していた。

漁獲量

1950年から4倍に増加した。80年代終盤に、8千万トンに達した後、安定的に推移している。大型底魚類が漁獲に占める割合は、1950年の23%から、現在は10%へと減少した。

種の崩壊

バイオマスが、漁獲がない場合の1割以下に減少すると「崩壊状態」と定義をする。資源評価で得られたバイオマスに着目すると、全体の14%の資源が崩壊状態であった。ベーリング海は崩壊率がほぼゼロなのに対し、カナダ東海岸では、6割が崩壊、米国の北東は25%が崩壊状態であった。

情報が得られている10の生態系のうち、7つの生態系で、近年、漁獲圧が減少していた。しかし、個々の資源は十分に回復していない。全体の漁獲圧の削減は、漁業の影響を受けやすい種にとっては、まだ不十分なのだろう。漁獲の影響を受けやすい種については、さらに取り組みを強化する必要があるだろう。

小規模漁業

この研究では、117の科学的資源評価と、1309のトロール調査の結果を解析した。これらの調査が行われているのは、主に先進国である。先進国の50万人の大規模漁業者にたいして、1200万人の小規模漁業者が存在する。これらの小規模伝統漁業の漁獲量は、2000年に2100万トンと推定されているが、漁獲統計が取られていない場合も多く、よくわかっていないのが現状である。小規模漁業は、データが少なく、地理的にも分散している。そして、漁業者は、漁業以外の食糧源や雇用を持たない場合が多く、これらの管理は難航している。

回復の手段

乱獲を抑制した生態系はどのような手法が使われていたか。重要性を含めて加点をすると次のようになる。

TAC 18
禁漁区 15
漁具規制 14
個別枠 13
漁獲能力削減 10
コミュニティーベース 8
努力量削減 5

それぞれの方法の効果は、漁業、生態系、行政システムの特性によって、大きく異なる。

魚が激減し、乱獲が明白になってから、資源回復の試みが始まる場合が多い。漁業の不確実性を考えると、そうなる前に毅然とした対応をとる必要がある。特に地球規模での海洋変動を考慮すると、早い行動が必要になる。

回復の問題点

漁業を回復さえるための短期的なコストが問題になる。乱獲状態からの回復には、10年から数十年かかることも少なくない。その期間は、漁獲量を低く抑えることになる。

世界規模で見ると、先進国から、途上国への漁獲努力量の移動が問題である。先進国の船が、途上国で漁獲を行っている。これらの外国船によって、漁獲される魚のほぼ全てが先進国で消費される。漁獲の南北問題が、途上国の食糧安全、生物多様性への脅威と成っている。

結論

海洋生態系が、直面している漁獲圧は、場所によって大きく異なる。漁業資源・生態系も、安定、減少、崩壊、回復など様々な状態が入り交じっている。資源管理によって、漁獲圧が削減された場所もあるが、現状のままでは、多くの資源が枯渇へと向かうだろう。

この論文は、漁業が比較的管理されているエリアのみを扱った。これは、海全体の25%をカバーしているに過ぎない。しかし、漁獲規制を行ったいくつかの生態系で、回復が観察されたことから、漁獲圧を十分に下げれば、他の海域でも生態系が回復すると考えることが出来る。水産学研究者の間では、MSYを実現する漁獲圧を、管理目標ではなく、上限にすべきだというコンセンサスが広がっている。他の管理手法も併用しつつ、大幅に漁獲圧を下げる必要があるだろう。

また、水産学の研究者と、保全生態学の研究者が、データを共有し、異なる学問領域の橋渡しをすることで、生態系の管理を発展することができる。生態系の回復は、短期的なコストを必要とする、険しい道のりである。しかし、それ以外に、漁業と海洋生態系の衰退を食い止める方法は無いのである。


資源研究不毛の地の研究者の独り言

この論文で注目して欲しいのは、図1の調査・研究を行った場所の分布。

北米東海岸 16
欧州 15
北米西海岸 14
オセアニア 8
中南米 5
アフリカ 3
東南アジア 2
東アジア 0

 

日本周辺は全くの空白地帯。この論文に使われた調査・研究がゼロです。漁業大国、ニッポンを擁する東アジアが、アフリカよりも、東南アジアよりも、資源研究で遅れているのです。

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from 18 Mar. 2009

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