- 2009-07-24 (金) 9:12
- お知らせ
またまた、NZに行って参りました。1週間と短い滞在でしたが、密度が高かった。前回の訪問と、その後のメールのやりとりで、NZサイドも我々の目的を理解してくれたようで、まさに、この人というような人物を紹介してくれた。ありがたいです。あと、今回は、チャタム島にも行ってきた。
チャタム島というのは、NZ本島のはるか東に浮かぶ孤島である。本土から、40人載りの小型飛行機が週に2便でている。約2時間半のフライトである。島の住民は570人。この島の主な産業は漁業と畜産。国から島に出る補助金は全くない。ITQが小規模漁村コミュニティーにダメージを与えるなら、この島が最初に淘汰されただろう。しかし、事態は全く逆なのだ。ITQのおかげで、漁業が利益を生み、島の生活が成り立っているのである。
島の主要な漁業は、アワビ(paua)、ロブスター(crayfish), Blue cod (アイナメ)、Kina(ウニ)である。アワビの漁業者の93%がITQを支持している。ロブスターの漁業者も数人の例外を除いて、ITQを支持している。島の加工場、漁業者組合、漁業者などに聞き取り調査をしたが、異口同音に「QMSが無かったら、漁業は無くなっていたよ」と語ってくれた。漁業者のインタビューもばっちりとってきたので、こうご期待。
チャタム島は面白いところだったよ。島に着いたら、まず、先住民の部族の歓迎セレモニーを受けた。マオリよりも前からいる、モリオリ族に招待されたのだ。セレモニーは女性を先頭にして、訪問するのがルールとのこと。戦争ではなく、平和を求めているという意思表示だそうだ。部族の方も、女性が出迎えてくれる。いざセレモニーになると、それぞれのグループのリーダー(男)が儀式をする。ここでは女性は一歩下がった場所で、発言も許されていないようだ。一通り、儀式的なやりとりが終わった後、鼻と鼻をくっつけて、挨拶をして、セレモニーは終わり。手作りのケーキや、アワビなどで、ウェルカムパーティーをしてもらった。
太平洋の真ん中の離島でも、伝統的なコミュニティーがしっかりと生き残っている。そのコミュニティーを支えているのは、補助金ではなく、漁業だ。コミュニティーは、NZ政府から経済的に独立している。コミュニティー内部では相互援助の精神で、たくましく生活をしている。彼らの生活を支えている漁業を支えているのが水産資源であり、水産資源を支えているのが、資源管理なのだ。チャタム島に関しては、いろいろ、書きたいことだらけです。
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Comments:1
- 田 清治 09-07-31 (金) 10:52
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小生微力ながら、地域の漁業振興に取り組んでいるものです。
東京湾漁業の再生・創生のシンポジウムの書き出しに、「東京湾漁業は高度成長期以降の旺盛な湾域開発によって漁場環境は変貌し、湾内漁業は経済優位な産業に駆逐され衰退の一途を辿っている。加えて、漁業自身の抱える問題-乱獲、魚価の低迷、魚病の発生等-も大きいが、資源の管理・環境保全(生態系サービス)を念頭に置いた漁業は今や高収益の成長産業であることが明らかになってきている。」と記したところ、「高収益の成長産業であることが明らかになってきている」という具体的事例を示せ、という指摘を受けているところです。事例収集、解析等についてご教授くださると幸いです。