- 2007-05-25 (金) 15:55
- 研究
まず、下の図を見て欲しい。
これは水産白書ダイジェスト版の12ページより引用したものだ。
魚離れ、魚離れと業界もマスコミも連呼しているから、
てっきり消費が激しく落ち込んでいると思ったら、そんなことはないじゃないか!!
どう見ても、魚の消費量は増加傾向だ。
上の図では、減っているという印象を植え付けるために、
放物線を描いたりしているが、どう見ても減ってないよ。
将来的には減るかもしれないが、国内漁業が傾くような減少は見られない。
怪しいと思ったら、元データに当たってみよう。
食料需給表
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htmhttp://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/search/sear-manual.htm
から、ダウンロードできるエクセルマクロは実に便利。担当者はグッジョブ。
さて、上のURLからダウンロードしたデータをもとに話を進めていこう
上の図は、国内消費(一人あたりKg年間)
青線が家庭に購入された量で、赤線が実際に胃袋に入った量。
この差がゴミなどで捨てられた部分だ。結構無駄が多いことがわかる。
水産白書では、赤線の方を使っているんだけど、どう見ても増えている。
直線回帰をしてみると灰色のようになる。
傾きの下限95%が0.495なので、統計学的に増えていることになる。
魚離れが文化的な現象なら、数十年というスケールで徐々に起こるはずである。
そのような傾向は全く見られない。
自分も今までと変わらずに魚を食べているし、子供たちも魚は大好きだ。
「魚離れ」ってどこの国の話なのだろう?
面白いのが歩留まり。
歩留まりは、家庭に購入された魚介類のうち、実際に胃袋に入ったか割合を示す。
この値が低いほど、無駄が多かったことになる。
これは見事なV字を描いている。
日本人は、バブルの崩壊を期に、
高度経済成長期以降に失われていた「もったいない精神」を取り戻したのだ。
良い話じゃないか。消費者、グッジョブ!
さて、こちらが国内生産と輸入量
国内生産は激しく落ち込んでいる。
需要よりも供給に問題があることは明白だろう。
消費者が魚を食べなくなったのではなく、
乱獲で国内資源が枯渇した結果として、満足な漁獲量が確保できていないのだ。
その結果として、安定して供給される肉の消費が伸びるのは自明の理だ。
もし、輸入が途絶えたら、消費者は魚離れをせざるを得ない。
現在の非持続的な漁業を改めない限り、その日は、そう遠くないだろう。
業界も水産庁も、消費者に責任転嫁をする前に、自らを省みてはどうだろうか。
今大切なことは、食育よりも、乱獲抑制だ。
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Comments:8
- M1前田 07-05-25 (金) 17:24
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僕も魚大好きです!
- M1 三股 07-05-25 (金) 17:26
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私も、魚大好きです!!
- M1Mた 07-05-25 (金) 17:27
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僕も魚が大好きです。
消費量を増やすため、寿司食いに行きましょう!! - kato 07-05-25 (金) 17:54
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スルーしていましたが、確かに不自然なグラフですね。
私もこれは増加傾向のように見えます。歩留まりが高くなったのは切身流通が増えた影響ではないでしょうか。
特に輸入魚ではラウンド形態が少ないはずなので、
下の輸入量のグラフと重ねてもその傾向が強いのでは?「魚離れ」というのは思うに質的変化もあるのかなという気もします。
鮭やマグロやブリのような切身・刺身は食べても、焼き魚のようなものは面倒。
結果、魚の消費は増えても限られた種類に偏るというような構造が
あるのかもしれません。 - ある水産関係者 07-05-25 (金) 21:02
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あの放物線はやっぱりおかしいですよね。私も恣意的に「魚離れ」を演出したとしか思えません(そうした方が漁業者向けの予算を獲得しやすくなるのでしょう。いわば予算獲得のための環境整備?)。
もう一点、魚離れの根拠として列挙された家計調査年報や国民健康栄養調査には、近年急増している中食や外食のデータがどの程度反映されているか疑問に思います。特に、前者は「生鮮魚介類」の購入量に限定されており、中食・外食が含まれないのは確実で、近年の消費者の食生活の変化が反映されていないことになるでしょう(中食・外食を加算すれば水産物の摂取量がそんなに減っていないはず?)。また後者についても、仮に反映されているとしても、実際問題として反映させるのは技術的に難しく精度に疑問を感じます。
水産庁は魚の消費量が昭和40年代に逆戻りすることを問題視しているようですが、当時は肉類の消費こそ少なかったものの、水産物の消費量がそんなに少なかったわけではありません。むしろ、糖尿病や通風と言ったカロリー過剰が原因の成人病が少なく、食生活としては塩分の摂取量などを除けば今より健康的だったでしょう。
白書では、魚食と健康の関係を執拗に強調してあるけど、食生活と健康の関係における最大の問題は脂肪分の過剰摂取等によるカロリーの過剰摂取であって、本当に健康のことを考えるなら、今より水産物をたくさん食べるように勧めるよりも、むしろカロリー(脂肪分)の摂取量を減らす食生活を勧めるべきでしょう(アルコールも、かな・・・)。
最後に、もし魚離れが本当に進むとすれば、その原因は、ズバリ、水産物の相対価格の上昇と格差社会の拡大による消費者の購買力の低下(実質可処分所得の減少)につきるでしょう。実際、消費者に購買力があって消費者が魚を食べたいと思っているなら、中食や外食が消費者の欲する魚食を幾らでも提供してくれる環境にありますから、仮に自分で調理できなくても、消費者は迷うことなく魚食を選択することが出来ます。それが出来ないのは、やっぱり魚(魚食)の値段が肉や鶏卵、乳製品と比べて明らかに割高で自分の財布の中身(収入)では躊躇してしまうから、というのが実情ではないでしょうか。「消費者が包丁を使えないから」とか「子供が食べたくないから」と言った理由は、一つの理由ではあっても最大の理由ではなく、「魚離れ」という水産庁に都合の良い結論を導きたいが故の詭弁(情報操作?)としか思えません。
サバの期中改訂ですが、確か今週(若しくは先週)の水経の1面で見ましたよ。 - kato 07-05-26 (土) 6:47
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追記ですが。
この部分に関しては昨年白書の方が正当評価しているのかもしれませんね。
http://www.maff.go.jp/hakusyo/sui/h17/s1_1_1.htm - ある水産加工屋 07-05-27 (日) 16:18
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歩留まりがよくなっているのは、加工品が増えて家庭内処理が減ったからです。価格の高さ、ここ5年くらいに急激に目立っているような感覚を持っています。これは量販店の値入が(売価に対する利益率http://www.jmrlsi.co.jp/menu/yougo/my04/my0409.html)
ここ数年大きくなってきているからです。引用したページには、日本のGMS(総合販売量販店)の値入を20~30%としていますが、今は最低35%、多いところで50%近くでしょう。鮮魚だと3倍~の価格をつけているところが目立つようです。値引き販売を前提にしているからです。それでもGMSで水産品は利益が出ていないようです。また、問屋にリベートを要求するところも増えてきたようです。よって、問屋もマージンが増え15~20%とっていると聞いたことがあります。流通経路は7年前よりも短くなりましたが返って原価率が下がってしまっているのが現状でしょう。また、海外からの輸入水産加工品が増えたため日本の浜の設備と加工施設が貧弱化し、現地で処理ができなくなっているようです。生産地価格が下がり続ける理由はこんなところにもあるのかもしれません。 - 勝川 07-05-28 (月) 12:57
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久々に、コメントの山が!
つたない文章をいつも読んでいただき、ありがとうございます。M1の皆様
>消費量を増やすため、寿司食いに行きましょう!!
今必要なことは、消費を増やすことではなく、
漁獲量を減らして、資源を回復させることです。
マグロの資源量がMSY水準に回復するまで、寿司は禁止。kato様
歩留まりに関するつっこみをありがとうございます。
切り身主体になったということですね。納得です。>「魚離れ」というのは思うに質的変化もあるのかなという気もします。
>鮭やマグロやブリのような切身・刺身は食べても、焼き魚のようなものは面倒。
>結果、魚の消費は増えても限られた種類に偏るというような構造が
>あるのかもしれません。
質的変化は、実感としてあります。
共働きで子供が居ると調理の時間をじゅうぶんに確保できないので、
魚を食べさせようにも、種類や調理法が偏りますね。http://www.maff.go.jp/hakusyo/sui/h17/s1_1_1.htm
は、妥当な分析だと思いました。ある水産関係者様
>あの放物線はやっぱりおかしいですよね。
おかしな図によって「つくられた魚離れ」が、
メディア報道により既成事実化しているように思います。
テレビや新聞にはあの図は出ないだろうから、
一般人は魚離れに疑いを持ちようがないですね。
報道する側はあの図に疑問を持たないのが、実に疑問です。>本当に健康のことを考えるなら、
>今より水産物をたくさん食べるように勧めるよりも、
>むしろカロリー(脂肪分)の摂取量を減らす食生活を勧めるべきでしょう
これは同感ですね。
一番の問題は、カロリーの絶対量が多すぎることでしょう。>サバの期中改訂ですが、確か今週(若しくは先週)の水経の1面で見ましたよ。
情報をありがとうございます。確認しました。
大中まきは、どちらにせよTACを超過しているので、自主休漁を継続しているようですね。ある水産加工屋様
コメントをありがとうございます。勉強になりました。
流通についてはわかっていないので、教えていただけると助かります。
値入率を上げても、利益が出ていないというのは、厳しいですね。>生産地価格が下がり続ける理由はこんなところにもあるのかもしれません。
乱獲による魚体の小型化も、単価下落の一因かと思います。
大型個体の浜値も減少してますか?私の印象はこんな感じ。
● 大型→希少→値段高騰→庶民買えず
● 小型→大量→値段下落→在庫あまり
● 中型は、手頃な価格でコンスタントに入ってくる輸入がメイン