- 2010-06-02 (水) 14:26
- クロマグロ
日本海の巻き網のクロマグロ操業が6/1からスタートした。ことしも、胃が痛む、憂鬱なシーズンが幕開けだ。
西日本有数の漁業基地・鳥取県境港市の境漁港に1日、今季初めてクロマグロが水揚げされた。境港の水産業は景気低迷に伴う魚価安で苦境にあるが、例年より一足早いマグロシーズンの到来に浜は久々に活気付いた。
http://www.nnn.co.jp/news/100602/20100602039.html
大洋A&F(東京)所属の「第21たいよう丸」が能登半島沖で捕獲したクロマグロ約30トン。現地レポートによると、1200本で30tとのこと。平均重要は25kgで、もちろん、未成魚だ。この1200本を、今すぐに獲らずに、7歳まで待って、1本釣りで獲るとどうなるか試算すると次のようになる。
計算の詳細
たいよう丸の利益は次のように計算できる。
1500円×25kg×1200本=4500万円
7歳魚は、体重が97kgで 1kg当たりの単価が5000円。25Kgは3歳魚と思われる。3歳から7歳までの歩留まり(天然環境での生き残り)は57%。4年後に獲った場合の利益はつぎのようになる。
500円×97kg×(1200×0.57)本=33174万円
たいよう丸が、目先の4500万円を得た代償として、未来の漁業全体の利益が2億9千万円、失われたわけです。また、4歳から成熟をするので、7歳までに4回産卵できました。資源の再生産に大きく寄与したはずです。また、大きくしてから獲れば、漁獲量も30トンから、66トンに増えるので、消費者にも利益があります。
成長乱獲
このように、水産資源が成長するまえの、非経済な状態で漁獲することを、成長乱獲と呼んでいます。紛う方無き乱獲なのです。成長乱獲で、漁業の経済規模を小さくすることで、流通業者は大打撃です。市場の手数料は5%です。4500万円の手数料はたったの225万円です。大きくしてから獲れば、手数料は1659万円です。こういう魚を右から左に流していれば、市場が廃れていくのも時間の問題でしょう。未成魚を獲って、獲って、獲りまくる漁業をしていれば、漁業の雇用が無くなるのは当然でしょう。
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Comments:3
- さかなやオヤジ 10-06-03 (木) 15:28
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能登沖で巻いた魚を、なんで境港まで持って行く必要があるのでしょうか。
それで「境港マグロ祭り」ってありなんでしょうかね。 - 勝川 10-06-05 (土) 6:34
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>能登沖で巻いた魚を、なんで境港まで持って行く必要があるのでしょうか。
まず、能登沖というのは、おそらくウソです。
まき網漁業者は、水揚げ場所を必ずごまかします。
他の船が獲れていないことから、
たいよう丸のホームの新潟沖あたりと推測しています。
佐渡や粟島の定置に、かなり入っていますし。で、なぜ、境港にもってくるかというと、動員数の問題ですね。
1000本単位で水揚げをすると、解体に人手が必要です。
漁獲をしてから、1昼夜で、水揚げです。
短期的に、200人規模の熟練労働者を集められるのは、
日本海では境港だけです。近いからと行って、
能登や輪島にあげると、処理の間に焼けて、結果として品質が落ちます。今、マグロを捕っている大中まきは、
もともと、アジサバイワシの船なので、冷蔵設備が貧弱です。
貧弱な冷蔵で、時間をかけて運ぶのだから、
品質が劣るのは当たり前です。>それで「境港マグロ祭り」ってありなんでしょうかね。
未だに、「たくさん水揚げをしている」と町おこしをしているのには、
あきれてしまいますね。 - シラスウナギ 13-07-27 (土) 18:17
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大洋エーアンドエフ株式会社は2013年になっても同じことを続けてるのかな?
ウナギの次はマグロが消える、って記事を読んでここに来ました。
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