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ドイツ研究機関続報:「日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響」

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4/2追記 このドイツの研究機関の分析は、放射性物質の漏洩が短期小規模で終わるという日本政府の初期の発表に基づいています。現在は状況が大きく変わったことを留意した上で、読んでください。

ドイツの研究機関Johann Heinrich von Thünen-Institutは,2011年3月22日付で報道発表「日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響(Reaktorunglück in Japan: Folgen für das Ökosystem Meer)」を出しました。慶應義塾大学の三瓶愼一先生に訳していただいた文章をコメント欄より転載します(三瓶先生、ありがとうございます)。

日本の原子炉事故:海洋生態系に与える影響

日本の福島原発事故の状況はさらに今後も危機的なレベルで推移するものと見られる一方で,環境調査における放射性物質の初の測定値が発表された。
海洋環境の領域では,現在,海水中における境界値を超える値について報道が行われている。日本の官庁による公的な測定値はまだ存在しない。日本からの日本の報道発表では,原発施設前100メートルの海域で,ヨウ素131が日本の基準値の126倍,セシウム134とセシウム137が境界値のそれぞれ25倍および16.5倍検出されたという。あいにく境界値の値と種類が公表されていないので,当研究所の研究員が食料品の境界値を基に検討してみると,日本ではヨウ素131については2000Bq/kg,放射性セシウムについては500Bq/kgとなる。
水中では汚染の拡散が速いため,太平洋では魚類に重大な汚染が生じることはないとの見方を変えていない。
この根拠となるのが,定期的にセラフィールド核燃料再処理工場周辺においてモニタリングを行っている英国の研究者のデータである。そこでは1965年から85年にかけて,毎年莫大な量の放射性セシウムが排水とともにアイリッシュ海に放出された。最高値としては1970年代中頃で5000テラベクレル/年(1テラベクレル=1兆ベクレル)が計測された。放出されたセシウムのこの大きな値に対し,アイリッシュ海の魚類に対する影響は極めて小さいと見られる。2008年の最新のデータでは,アイルランド海産のタラ(Kabeljau)の汚染は最大値で10Bq/kgであった。これは,バルト海のタラ (Ostseedorsch)の汚染の最大値と一致するが,その汚染は相変わらずチェルノブイリ原発事故の影響によるものである(チェルノブイリ原発事故により汚染された食料品の境界値はEUにおいては600Bq/kgである)。
太平洋に関しては,当研究所の研究員は,魚類におけるセシウムの値はアイリッシュ海とバルト海の値を明らかに下回るだろうと考えている。現在,原子炉付近の海水中で測定されている値は高いが,当研究所では,原子炉付近の魚類にわずかな汚染があり得るものの,例えばベーリング海におけるアラスカのサケマス漁場や太平洋のその他の場所で事実上汚染は生じないものと考えている。

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