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モデルを信じるものは救われない

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今回は匿名でもいいですか?のヒトへのレス

いつまでも匿名で全然構いませんよ。
匿名の方がフランクな意見が書きやすいなら、そっちの方がずっと良いです。

実は,私は,PCで数字をはじき出している研究者の方々をあまり信じていない類の人間でした。
現場の状況,漁業者の実態はもちろんのこと,あなた方が使っているデータがどのように収集されているのか,どこまで分かって解析しているのだろうか,と・・・疑問を持っていたからです。


数理モデルに対する不信感を持っている人は少なくないですね。
そもそも、生物というのは、数式で表現できるほど単純ではありません。
数理モデルで生物の動態を表現するには、大きな限界があるのは当然のことです。
数理モデルを信じないというのは、常識人として正しい姿勢です。
しかし、数理モデルの精度が低いからと言って、
数理モデル自体を否定するのは間違いです。

数理モデルによる資源予測同様に、天気予報もよく外れます。
でも、天気予報不要論は出てこない。
天気予報は外れうるということを知った上で、
情報を使えば充分に役に立つからです。
数理モデルも天気予報と同じで、
信頼度が低いと言うことを理解した上であれば、充分役に立ちます。

モデルを作って、将来予測をすることで、
「なんぼなんでもこれはあり得ないだろう」というシナリオを弾けます。
数理モデルに依存しないTACは、どこまでも漁業者に迎合できる。
漁業者のためと称して、頑張っても獲りきれないような漁獲量を設定できます。
でも数理モデルを使って計算するABCの場合、水増しするにも限界があります。
数理モデルの良いところは、白を黒とは言えないことです。

モデルを使う研究者には2種類います。

  • モデルの正しさを信じて、なんでもモデルで計算して理解したつもりになる研究者
  • モデルが不正確であることを知りつつ、必要な場合には道具として利用する研究者

本当のプロって言うのは、道具の限界を熟知していないといけない。
前者は、モデル愛好家であって、モデルのプロとは言えません。
「モデルで説明できないから、現実が間違えている」とか言い出したりするのです(笑
こういう研究者は、「はいはい、数字遊びは楽しいですね」と放置しておけば良し。
後者としてのモデル利用も放棄することは、合理的な意志決定を放棄することです。
資源評価も、リスク分析も、資源管理も、すべて成り立たたない。

このあたりにも同じようなことを書いてますが、
数理モデルと数理モデル屋は、信じすぎずに上手く利用すれば良いのです。

また,やはり,素人の悲しさからか,はじき出される数値が,どの様に計算されているのか?
『データ → ブラックボックス → 結果』
では,納得できないよぉ~(理解できない・・・オレ頭悪)と,私は思っていました。

なれてない人には敷居が高いでしょうね。
見た目には複雑でも、実際にやっていること自体は単純だと思う。
根底にある考え方を素人にわかりやすく説明できると良いのだけど、
なかなか難しいですね。

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