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魚の小売り価格は、肉が決めている

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情報の分断に小売りが果たす役割は大きい。
小売りは徹底的な情報規制をする。
「大丈夫。店に並んでいる物はすべて安全です。
皆さんは値札だけをみて、好きな物を選んでください。」
その結果、消費者はどんどん買いたたく。

では、小売りが一人勝ちかというと、そうでも無さそうである。
小売りは小売りで、厳しい競争に晒されており、
自分たちで好きな値段をつけられるわけではないのである。

生鮮食料品(肉・魚)の価格の変化を消費者サイドから見てみよう。
内務省統計局の家計調査(二人以上の世帯
http://www.stat.go.jp/data/kakei/2006np/02f.htm)から、
家計が購入した生鮮魚介と生鮮肉の平均単価を抽出した。

image08011801.png

70年代、80年代を通して、魚の単価は安定的に上昇し、1990年代前半に肉の単価に追いついた。
その後は、同じようなトレンドで推移している。
1991年の牛肉自由化によって、肉の単価が下落すると、魚の単価も同じように下落した。
2003年12月に米国でBSE感染牛が発見されると肉単価の上昇した。
その後、魚の単価も引きずられて上がっている。
肉と魚は競合関係にあり、その価格には強い相関がある。。
魚の末端価格を決定するのは、肉の値段であり、
肉の値段は様々な国際情勢に左右される。

一部の生産・加工業者は、安売りをする小売りが諸悪の根源のように言うのだが、
それは違うだろう。
魚の値段を決めているのは小売りではなく、肉を巡る国際情勢である。
小売りは小売りで、与えられた条件の中で厳しい競争を繰り広げている。

ただ、競争の結果のひずみが弱いところに集中している現状はある。
獲った魚を並べて、「値段はそっちでつけてくれ」というスタンスの漁業者が最も弱い。
漁業者もブランド化などの努力をしているが、
現在のように生産現場と消費者が分断された状態では限界があるだろう。

Comments:5

kato 08-01-18 (金) 14:40

うーん…この分析はかなり微妙ですね。他のからくり(背景)の影響も大きそうですが。

70~80年前半はまだ切身でなく丸の販売もそれなりにあったでしょうし(可食部ベースでの比較はどうなのでしょう?)、91年(H3)ピークというとバブルの影響も大きいだろうし。確かに肉魚の比較には意味があるだろうけど、そう単純な話ではないのでは?

si 08-01-18 (金) 20:58

生活実感からみて、かなり違和感があります。
店頭価格で肉と魚の比較をしてみようかと値段を調べてみたことがありますが、店、肉の種類や部位によって値段がかなり変わります。
もちろん、魚の値段も種類や切り身か丸かでぜんぜん違います。
結局、まともな比較は無理だと判断しました。

可食部の多さや使い勝手、野菜などとの組み合わせによる満足感の得やすさから、相対的に肉の方が割安に感じます。
確かに、同じ蛋白源として一つの店舗内で売っていることから、魚の値段が肉の値段にまったく影響を受けないということはないでしょうが。

量を獲って(作って)量を売るという経済モデルは、自ずと生産と消費を引き離してしまいますね。
ブランドが信用できるのであれば、それを買い支えてくれる消費者はいます。
ただ、最近は、生産・加工・小売りのどこでも偽装が横行している状況なので、何も信用できなくなってしまっていますね。
こんな状況では、消費者に「もっと考えろ」といっても、考える材料(表示も値段も現物さえ)がウソばかりではどうにも困ってしまいます。

ある水産関係者 08-01-18 (金) 23:25

消費者は小売店で肉や魚の価格を見て、高いと思えば買わないし、安いと思えば買います。たくさん売らなければならない時(供給量が多い時)は当然値段が安くなりますが、少ない時は高くなります。このように、肉や魚も需給バランスで価格が決まるというのが正しい見方でしょう。

一方、家計調査の数字は注意してみる必要があります。それは、単価を計算する対象となる生鮮魚介や生鮮肉の構成が毎年一定ではないからです。例えば、魚については、昔は大衆魚が多く、また肉については鶏肉・豚肉が多かったものが、最近では、各々、高級魚や牛肉の比率が多くなっています。家計調査の数字は、それらを単に加重平均した指標に過ぎず、それをもって魚の値段が肉の値段に引っ張られると結論するのは論理的に成立しないと思います。ただし、魚の価格と肉の価格が動物蛋白源として競合するのは事実です。両者の価格が近接しているのは、それ故、消費者が各々の中味(鰯か鮪か、挽肉か牛ステーキか、など)を選びながら購入量を調節してきた結果と考えます。

確かに、日本の漁業者は「獲るだけとって」売る方の苦労は他人任せが実態です。これでは高く売れるはずがないし、小売りを非難するのは逆ギレに等しい横暴でしょう。少しづつ意識が変わりつつあると言うけど、「獲れるものは全て獲る」と言うのが普通の日本の漁船漁業の漁師の姿ですから、IQやITQを議論する以前のエモーショナルな部分から改めないとダメですね。

same 08-01-19 (土) 11:44

う~ん・・・

あまりにも大まかな分析すぎるような・・気がしますが・・・

「全国の加工特産品の開発や販売の活動」をしていらっしゃる鳥巣研二さんのブログ
http://keystaff.seesaa.net/
があります。

中小零細生産者たちがなにに苦しみ何に取り組もうとしているか現場の一端を知ることができます。

勝川 08-01-24 (木) 3:39

katoさん、siさん、sameさん
最初におおざっぱなところから見ていくのは、
ごく当たり前のアプローチだと思います。
それですべてが説明できるわけではないですが、
最初から、細かいことまで考えていたら、何も見えてきません。
まあ、価格形成は複雑だからよくわからないと
言ってしまえばそれまでですが・・・

ある水産関係者さん
>ただし、魚の価格と肉の価格が動物蛋白源として競合するのは事実です。
>両者の価格が近接しているのは、
>それ故、消費者が各々の中味(鰯か鮪か、挽肉か牛ステーキか、など)を
>選びながら購入量を調節してきた結果と考えます。

私の考えはこんな感じです。
家庭によって、必要なタンパク質の量とそれに出せる金額は決まっています。
その家庭の重量・金額比に該当する肉と魚のなかで、ベストなものを選びます。
食費を絞る家庭では、鰯か挽肉かで迷うだろうし、
食費が潤沢な家庭では、鮪か牛ステーキで迷うでしょう。
同じ価格帯では競合関係にあると思います。
ほとんどのスーパーで、精肉と鮮魚は近くにあります。
売れ残ったものは半額セールで裁くことになるので、
それぞれの価格帯での肉と魚の値段が拮抗するのだと思います。

>IQやITQを議論する以前のエモーショナルな
>部分から改めないとダメですね。

それは日々痛感します。
漁師の漁獲重量至上主義につける薬はないですね。
我々にできることは外部から、
意識を変えるように働きかけることだけです。
世代交代が進めば、少しはマシになると思いますが、
道のりは遠いですね。

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