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ウナギをどう看取るか?

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某生協から、「ウナギの消費について、俺の意見をききたい」という依頼があった。ウナギを取り扱うかどうかで、内部で議論をしたが、話がまとまらなかったので、俺の意見を参考にしたいというのだ。そのときに話した内容を簡単にまとめてみた。ウナギを食べるかどうかは、なかなか難しい問題だ。こうすべきという正解があるわけではない。そのことを踏まえた上で、一つの意見として読んでもらえれば幸いだ。

ウナギ問題を考える出発点として、日本のウナギ消費がどのような状態であったかを、把握する必要がある。ウナギについては、こちらのサイトが詳しいので、まず読んでほしい。このサイトに目を通したことを前提で、話を進める。

http://nationalgeographic.jp/nng/article/20120710/315508/

我々のウナギ消費の歴史を振り返るとこんな感じ

  • 60年台から、ニホンウナギの漁獲量は減少の一途をたどっていた
  • 今に至るまで、資源保護のための措置はとられていない。
  • 国産が減れば、北米+欧州から輸入
  • 資源は減っているのに、供給量は増えて、値段が下がるという異常な状態
  • 北米・欧州の資源が激減し、ほぼ禁漁に
  • 自国の資源のみに依存せざるを得なくなる
  • 価格の高騰→漁獲圧が強まる→4年連続でほぼシラスが獲れない状況

ウナギ漁業の現状

  • 減少要因が特定できない(河川開発とシラス漁の複合要因)
  • 国内の漁獲量すら把握できていない
  • 密漁の蔓延化
  • 中国・台湾との共同管理の難しさ

結論からいうと、ウナギは、もう詰んでいる。中国や台湾にも生息する広域分布種であり、共同して管理をする必要があるのだが、中国・台湾とは、会話のテーブルを準備したというような段階。実務レベルの協議が出来る状態にはほど遠い。日本単独で見たとしても、未だにシラスウナギの漁獲量すら把握できていない状況である(現在の漁獲量は報告された量を合計しただけで、シラスウナギの漁獲は、報告されないケースがかなりある)。日中台が協力して、これから禁漁したとしても資源が回復するかは微妙な情勢ではあるが、禁漁に近い措置を獲れる可能性はほぼ無い。

10年前なら、ニホンウナギを持続的に利用するという選択肢はあったかもしれないが、もうそういう段階ではない。「ニホンウナギの最後をどう看取るか」という段階である。今、我々がやるべきこと(できること)は、ウナギを反面教師にして、第二・第三のウナギを無くすことだ。水産物を持続的に消費するシステムを確立して、将来の水産物の消滅を食い止めることが重要である。

海の幸を少しでも良い状態で残していく。そのために何が出来るかをしっかりと考え、行動すること。それが、ウナギを食べ尽くしてしまった我々の、未来の世代に対する責任だと思う。

Comments:1

谷口 忠史 13-12-22 (日) 23:10

とりあえず今年は過去三年に比べればシラスウナギは豊漁のようです。
買取価格もどんどん下がっていってます。

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