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日本の食は安すぎる

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日本の「食」は安すぎる―「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない (講談社+α新書 390-1C)
山本 謙治
講談社
売り上げランキング: 1048
おすすめ度の平均: 3.0

1 だんだんむかついてくる
3 突っ込み不足の感
4 安いのはいいことですけど
5 勉強すべきは消費者であるという強いメッセージを認識すべし。

実に読み応えがあった。本書は、ありがちな告発本ではない。
生産者の視点から、日本の消費者が食材とつきあう方法を根本から問い直している。

まず最初に、ミートホープの問題から入り、食料生産者がおかれている厳しい状況について説明をする。

その後は、「日本の・・・は安すぎる」という章が続く。
それぞれの章は独立しており、似たような構成になっている。まず、前半部分で、安売り品がどのようにコストカットをし、その結果本来の味が失われたかを説明する。そして、後半部分では本来の味を大切にする良質な生産者を紹介する。良質な生産者の製品はかなり割高になるが、中身を考えれば適正な価格であるというのが筆者の主張だ。紹介される食品は、漬け物、豆腐、納豆伝統野菜、ネギ、牛肉、豚肉、ハム、卵、牛乳、ラーメン、ハンバーガー、山菜そば、椎茸、お酢と多岐にわたる。ここまで多くの農作物の生産現場を紹介できるのは、筆者の職業が農作物流コンサルタントだからだろう。普通の農家にはこの本は書けない。

最終章では消費者が行動を変えることの重要性を説いている。

筆者の主張を要約するとこんな感じ
生産者:自然な味の安全な食品を、コストに見合った適正な価格で販売する。
消費者:製造工程を理解した上で、適正価格を判断する
実に考えさせられる内容だったし、全体として賛同できる。

この本を読んでいて、農業と漁業の違いも実感した。自分の畑は自分の物だから、こだわり農産物を生産しても、顧客が着けば商売として成り立つ。一方、漁業は資源を共有しないといけない。IQ(個別漁獲量割り当て)のような資源管理を徹底しない限り、農業と同じ土俵にたてないのだ。

Comments:3

海が好き 08-04-29 (火) 0:02

直売所だったり、養殖業だったり、水産業でも顧客がつく商売が成立してきていて、一概に、水産業と農業は違うという整理だけではないと実感してます。

ユウラ 08-05-01 (木) 10:37

これは楽しそうな本ですね。
ラストの消費者の意識を変える重要性ってのは実にそのとおりだと思います。
結局は国民が動かないと国は何もしないのでしょうから。

・・・あっ、選挙行こうww

勝川 08-05-12 (月) 16:02

海が好きさん
農業と漁業で重なる部分が皆無だとは言いませんが、やはり違うと思います。
適切な大きさになるまで待っていたら、
他人が先に収穫してしまうということは、農業ではないですよね?
顧客をつけるには、質量ともに安定した供給が必要です。
養殖はある程度可能でしょうが、天然物は資源管理をしないと難しいでしょう。
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2008/03/post_313.html

ユウラさん
我々、専門家のすべきことは、
一般人が漁業の問題を理解する手助けをすることでしょう。
業界に都合が悪い情報も含めて、公開していくことで、
問題解決に向けて世論の後押しが得られるはずです。

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