料理漫画といえば、お○しんぼが有名だが、もうぐだぐだみたいだね。美味しんぼに関してはここのレビューが秀逸。100冊まとめて振り返るとという、そのエネルギーに脱帽だ。
初期を「山岡アウトロー編」、その次を、栗田との恋愛関係を描いた「恋の鞘当て編」そして「東西新聞の危機編」最後に「もうただなんか食ってるだけ編」といった感じ。
この分析も実にわかりやすい。アウトロー編は楽しかったんだけどなぁ。
それはそうと、料理漫画といえば、これですよ、「築地 魚河岸三代目」。映画化されるみたいだから、人気があるのでしょう。
この漫画の特徴は、しっかりと一次情報に取材をしたうえで、事実をふまえてストーリーを組み立てていることろだろう。たとえば、21巻のハンスさんは実在するし、22巻の海和商店は亀和商店のことだろう。フィクションというよりは、ドキュメンタリーのような感じだ。取材をしないことで有名な某長寿漫画とはえらい違いだな。いろいろと勉強になることは多いんだけど、特に今日紹介する21巻と22巻は絶対に読んでおくべき。
21巻のみどころは、ノルウェー編です。三代目がノルウェーにいって、現地の漁業&サーモンの養殖を見学します。 ノルウェーの漁業を見た後の隠居(二代目)と三代目の会話が実に良い。
隠居 「近代的な捕鯨や遠洋漁業などの水産業は主にノルウェーから学んだのだよ。俺はノルウェーに来て日本の水産業はもう一度、ノルウェーを見習う必要があると思ったんだ。」
隠居 「ノルウェーの水産業がすばらしいのは、官・学・民の協力体制によって行われていることだ。」
隠居 「それは、官も学も民も同じ目的意識を持っているからだと思う。」
三代目 『同じ目的意識・・・』
隠居 「ああ・・・絶対にコモンズの悲劇を起こしてはならないという、強い共通の意志だ。」
俺もノルウェーに行って、ご隠居と同じことを思った。
22巻は「海を守るロゴマーク」の話が良い。MSCの生い立ちや現状がわかりやすく書かれている。俺がこれまで目にしたMSC関連の文章の中で、この漫画が一番わかりやすい。漫画には、漁業の現状を憂える千満四代目(小学生)が登場する。この四代目のストレートな発言が実ににすがすがしい。
四代目「ばかじゃないの?魚を獲るのが仕事なんでしょ!
魚を根こそぎ捕ったら絶滅しちゃうじゃん!
魚のすみかやえさ場まで破壊したりしたら、次からとれなくなっちゃうじゃん。
なんでそんなことがわからないんだよ!!」
四代目「やっぱり僕は無駄だと思うよ。
・・・
生産者側の意識が高くても消費者側の意識が低ければ話にならないんじゃないの?
・・・
そんな日本でMSCが広まると思う方がどうかしているよ・・・・」
まあ、実際その通りなのですが、それをどう変えるかを真剣に考えていかないとね。
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