- 2007-11-15 (木) 14:41
- その他
レジームシフトに関する本が出たので、忘れる前に紹介しておこう。
レジームシフトに関して、物理現象→プランクトン→魚という具合にレビューしていき、
最後に管理の話もします。
俺もIII-6章で、魚種交替資源の管理理論について書いています。
この本は、執筆者が豪華です。
特に、桜井先生のイカ、帰山先生のサケ、渡邊先生のイワシは、
それぞれの生物の第一人者だけに、内容が濃厚で読み応えがありました。
生態に関しては興味深い知見が蓄積されています。
その一方で、利用・管理に関しては、殆ど何も進展がない。
生態の部分との落差に注目をして読んで欲しい。
「自然変動するから、管理の必要なし」という論調が基本にある。
それが良くあらわれているのが、P194のこの部分。
レジームシフトを前提に置く限り、マイワシにしても、サバ類にしても、資源量が現在の水準から膨大に増加することがある得るということを前提に漁船・漁具等の設備投資を考えなければならない。
減少期にも増えた場合に備えて、設備を整えておけって、過激な意見だな。
設備の減価償却のために小サバまで獲らないと首が回らない現状をどう考えるんだろう。
過剰努力量を整理しない限り、獲り切れないほど増えて増えて困っちゃう心配は無用です。
むしろ、根こそぎ獲ってしまう心配をしないとダメでしょうに。
変動資源の利用・管理に対する議論は、まだ始まってもいない段階ですね。
成山堂書店 (2007/10)
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- 「レジーム・シフト―気候変動と生物資源管理」という本が出ました from 勝川俊雄公式サイト