- 2007-09-27 (木) 12:23
- 研究
文芸社 (2007/04)
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実に面白い本だった。現在の農業の全体図が俯瞰できる良書。
補助金漬けなはずなのに、米作は儲かっていないと言う。
儲けが出なくても田んぼをつづけるのは、どういうわけかというと、
結局は、農村オヤジのアイデンティティーなんだな。
それを支えるために、税金とセガレの給料がつぎ込まれる。
田んぼが空かないのだから、跡継ぎなど出来るはずがない。
農業をサポートするという役割を放棄して、
総合商社化した農協の実態も紹介されている。
スイシンとかって、まるで、ア○ウェイじゃないか。
にわかには信じがたいほど、悲惨すぎ・・・
ここに書かれている農業の惨状は、かなりの部分漁業にも当てはまる。
この本の著者には、是非、漁の戦犯についても書いて欲しいと思った。
漁村文化の研究者は山ほどいるけど、彼らの文章は読む気にならない。
「古き良き日本の漁村万歳!!」という結論が最初にありきなんだよな。
どんなに非効率な農業をしても、田んぼは残る。
作り手が変われば農業の立て直しは可能だろう。
非効率きわまりない漁業の結果として、資源が枯渇しつつある。
資源を減らしすぎると、元の水準まで戻らなくなることが知られている。
農業も悲惨だが、漁業の方がずっと厳しいな。
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Comments:2
- 前園 07-10-21 (日) 11:13
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勝川様
著者本人でございます。
過分なるお褒めのお言葉ありがとうございます。
たまに拙著名でネット検索をしているのですが、昨日およそ2ヶ月ぶりに検索しこちらのサイトを知りました。漁業も第一次産業で農業と共通した「業界模様」があり、従事しておられる方の真の実態が国民に正しく伝えられていないではないのでしょうか?
農業も一般にマスコミにより流布されているのは年老いた農夫が国民のために汗水たらし重労働に励んでいる、先祖伝来の地を無くしてはならないと・・・の図。
特にNHKなどは無理にこの方向に持っていこうとの番組編集意図がうかがえます。実態はコメ作りをやめてもほとんど家計に影響がないのに、高齢オヤジが生きがい趣味で農業をやっているのであり、使命感などもっている人などいません。
コメ作りで重労働、汗水たらしてなんて作業はありません。野菜や果樹、花に比べて非常に楽です、暇が十分あります。
だから75歳のオヤジでもできるのです。
内心はどこのオヤジもできれば安くてもいいから田んぼが売れてくれないかと考えています。
山間地以外ならば、田んぼを借りて増やしたい農家はたくさんいます。
また農村の50歳以下の人たちは地域文化がなくなることを懸念していません。そんなものは高齢者が自分の居場所がなくなるから声高に叫んでいるんです。どうもたいへん長くなり失礼いたしました。
- 勝川 07-10-27 (土) 7:28
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前園様、こんにちは。
著者本人様ですか!
こういう直接的な接点ができるところがインターネットの醍醐味ですね>漁業も第一次産業で農業と共通した「業界模様」があり、
>従事しておられる方の真の実態が国民に
>正しく伝えられていないではないのでしょうか?全くその通りだとおもいます。
業界に都合がよい情報しかメディアには流れていません。
厚化粧でごまかしているものの、
内実はひどいものです。>農業も一般にマスコミにより流布されているのは年老いた農夫が
>国民のために汗水たらし重労働に励んでいる、
>先祖伝来の地を無くしてはならないと・・・の図。
>特にNHKなどは無理にこの方向に持っていこうとの番組編集意図がうかがえます。NHKも徐々に変わりつつあるとは思います。
私も協力をしたのですが、7月のクローズアップ現代では、
日本漁業の現状に対して問題提起を行いました。
まあ、番組ディレクター次第ですね。
国谷アナウンサーが中国や韓国の漁業者のことを持ち出して、
必死に日本漁業の責任をぼかそうとしているのが印象的でした。
番組で取り上げたマサバ太平洋系群は中韓の利用は全くないのですが・・>実態はコメ作りをやめてもほとんど家計に影響がないのに、
>高齢オヤジが生きがい趣味で農業をやっているのであり、
>使命感などもっている人などいません。
>コメ作りで重労働、汗水たらしてなんて作業はありません。
>野菜や果樹、花に比べて非常に楽です、暇が十分あります。
>だから75歳のオヤジでもできるのです。
>内心はどこのオヤジもできれば安くてもいいから
>田んぼが売れてくれないかと考えています。
>山間地以外ならば、田んぼを借りて増やしたい農家はたくさんいます。
>また農村の50歳以下の人たちは地域文化がなくなることを懸念していません。
>そんなものは高齢者が自分の居場所がなくなるから声高に叫んでいるんです。年寄りが既得権を手放さないから、
業界全体が沈んでいくという構図が貴書を読んでよくわかりました。
農家に嫁いだ知人の話ともぴたりと一致して、
「ああ、こういうことなのか」と目から鱗でした。
とてもおもしろかったので、次作も期待しております。