- 2008-08-01 (金) 21:35
- その他
シーフードショーの後、共同通信の井田さんとあって、いろいろ話をしたのだ。
そのときのインタビューが記事なりました。
さっき、記事を読んだ漁業者から電話がかかってきて知ったのだが、
31日にいくつかの地方紙に写真入りで記事が出てたみたい。
三重大の図書館でチェックしたら、三重新聞にも載っていました。
ちょうど745億が決まった直後で、実にタイムリーでした。
―日本の漁業の現状をどう見るか。
「公海でも日本の近海でも水産資源は減少が目立ち、漁獲量が低迷、収益は上がっていない。魚は少なくなったのに、収益確保のため、より多くの魚を捕ろうとしているので、ますます魚が減る。この負の連鎖を続けている限り、どこまでも衰退を続けるだろう」―日本の資源管理の問題点は。
「日本は全体の漁獲枠を決めているだけなので、他に先駆けて早く大量に魚を捕れば、自分の取り分が多くなる仕組みだ。この結果、高く売れないことが分かっているのに、小さな魚を捕り、資源を食いつぶし、漁業者も不幸になっている」―燃料価格の高騰と魚の価格の低迷が話題になっているが。
「海外では、適切な資源管理を行い、燃料価格が高騰しても収益が上がる漁業はたくさんある。日本の漁業は、早捕り競争によってエネルギーを浪費しながら、価値が出る前の小魚を多く漁獲するので利益が出ない」―水産行政に問題は。
「行政は持続性を無視して、目先の漁獲量を増やすことを主眼に置いている。これは第二次大戦直後の食糧難時代の発想だ。日本では資源を持続的に維持できるレベルを大きく上回る漁獲枠が設定されており、資源管理など、ないに等しい」―燃料費の補助が決まったが。
「日本の漁業補助金は極めて不透明で、資源管理に役立っていないどころか、乱獲を招き、持続的でない漁業を続ける結果を招いている。燃料費の補てんも同様。今のような操業を続けるために税金を投入しても資源の枯渇が早まるだけだ。今回の補助金は漁業の将来にとっても、国民にとっても最悪の選択だ」―漁獲量の減少が収入源の原因か。
「自然の生産力は限られている。漁獲を増やして収益を上げるとの考えを抜本的に改め、高値で売れる魚を持続的に捕り、質で勝負しなければならない。世界では水産物への需要が高まり、価格は上がる傾向にある。漁業は成長産業だ。日本の漁業者は、国内市場しか見ていないから買いたたかれる。国際市場に通用する魚を安定供給すれば、価格は上がるはずだ」―補助金の在り方は。
「資源管理をきちんとして、良質の魚を売る漁業者は、燃料費が高騰しても利益を上げている。補てんをしているのはいずれも資源管理が不十分な国だ。補てんというその場しのぎではなく、資源管理と漁業の構造改善に補助金を使うべきだ」―解決への提案を。
「漁船ごとに漁獲枠を割り当て、これを相互に売買できる譲渡可能個別漁獲枠、ITQという制度が各国で採用されている。この制度を導入すれば無益な早捕り競争がなくなり、早さと量を競う漁業から質を重視する漁業に転換できる。収益が上がらない漁業者は、収益性のいい漁業者に枠を売ることで利益が得られる。こうすれば燃料費の補てんなど不要になる」
いつも言っていること、そのままですね(笑
当ブログの読者は、すでに耳にタコができていることだろう。
我ながらワンパターンだと思うけれど、信念と熱意を持って、同じことを繰り返すのが大切だ。
じわじわと共感者は増えているのを実感する今日この頃です。
継続こそ力なり。
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Comments:2
- ある水産関係者 08-08-02 (土) 22:42
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こんな記事もありました。↓↓
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/108521.html
日鰹協は少し前に原油高を理由に休漁、減船を表明していたのに、今更「乱獲で急速に減少しているマグロ資源を回復させるのが休漁の最大の目的」なんて言っても誰が信用するだろうか。
だが、日本のマスコミは、こんな記事が出ても「マグロが値上がりするかも」と消費者の不安心理を煽るだけで真相を伝えない。
一斉休漁の時も「燃油高騰は自助努力の限界」とか「漁業者の省エネ努力は乾いた雑巾を絞る状態」とか、知ってる人達が聞くと思わず吹き出しそうな漁業者の言い分を、全く裏を取らずに、そのまま一方的に報道。それで「漁師さん達がかわいそう」と多くの国民の同情を誘ったのも事実。
これを世論(票になる)と思い込んだのは、与党だけでなく、野党も総じて直接補助に肯定的。これじゃあ、選挙になっても支持できる政党がありません。
まあ、ここの国の国民は大分県の教員採用試験みたいなことを当然のようにやってきたから、税金が「政治家と官僚による、政治家と官僚のための搾取」になっていても怒らないんでしょうね。 - 勝川 08-08-12 (火) 23:04
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大多数の人は、容認しているのではなく、知らないだけでしょう。
今回の補てんに対しては、官邸にも水産庁にも抗議の電話が殺到したらしいし、徐々にではありますが、変化の兆しはあります。
マスコミの中には知識も問題意識もある人もいます。漁業者もしかりです。そういう人たちを協力して、少しずつ進んでいくしかないですね。
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