ノルウェー水産業に学ぶ講演会が大船渡で開催
先進的なノルウェー水産業に学ぶ講演会が二十日、大船渡市で開かれた。主賓のノルウェー水産審議会日本事務所代表のハンス・ベター・ネス氏は、乱獲で激減した魚を漁獲制限で復活させた実績から、天然でも養殖でも持続的な資源管理の大切さを強調。“食の安全性” でも市場を席巻する世界戦略を紹介。
水産行政の転換点は大西洋ニシンの激減。乱獲で大不漁となったのを機に漁獲制限を続けたところ、資源が劇的に回復。「無制限操業の失敗を経て、持続的な資源管理の必要性を学んだ」と述べた。
漁獲規制は厳しく、総量だけでなく各漁船に至るまで徹底。漁業団体の圧力もあったが、漁獲制限は最終的に漁業者の利益に結びついたことを強調。このノルウェー方式が、TAC(漁獲可能量)など水産資源管理の世界的評価に結びついたことも説明した。
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ノルウェーの国家戦略は極めてシンプルだ。
1)資源の持続性を最優先に厳しい漁獲規制をする。
2)限られた漁獲量を少しでも高く売れるようにする。
極めて、当たり前の発想である。
漁業が生き残るには、この方向しかないだろう。
そのために必要のは、資源管理と、マーケティングの2つ。
ここに、ノルウェーは国家として力を注いでいる。
厳密な資源管理もさることながら、
ハンスさんのようなひとを、世界中に派遣し、
ノルウェーの水産物のPRにつとめているのもマーケティングの一環だ。
ノルウェーの水産大学は、資源管理学部とマーケティング学部が二本柱だ。
残念ながら、日本漁業には資源管理とマーケティングが完全に欠如している。
水産庁は漁業者が乱獲を続けられるようにがんばっているし、
漁業者は漁業者で値段など何も考えずに、多く獲ることしか頭にない。
グランドデザインを欠いた日本漁業が低迷するのは自明の理であり、
場当たり的に補助金をばらまいたところで、低迷に拍車をかけるだけなのだ。
こういう状況で、補助金をばらまいて漁業への就職者を募ったところで、
増えるのは漁業者ではなく、失業者だろう。
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