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Hoki Story その2

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まずは、Hokiの生態について、簡単に説明しよう。俺の手元には、NZのホキレポートがある。280ページで、凄い分量だ。漁獲の情報、漁獲の体長・年齢組成、CPUE、トロール調査、ぎょたん調査と、内容もてんこ盛り。ネットにもそれに近い情報があるので、関心があるひとは目を通してほしい。
http://fpcs.fish.govt.nz/science/documents/%5C2008%20FARs%5C08_62_FAR.pdf

この資料は基データに近い情報も多く含まれており、一般人には理解できない部分もあるだろうが、かなりしっかりとした評価をしているのは理解できるとおもう。

生活史

Hokiの成魚・産卵場は、東と西に別れており、資源評価も個別に行われている。ただ、幼生期には1カ所に集まることから、生物的には一つのグループと考えられている。

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産卵場は、西海岸とクック・ストレイト。チャタムライズが幼魚の生育場となっている。幼魚の生育場で3年から6年、過ごした後、成熟群の群れに入る。成熟群は、東と西に別れており、それぞれが別の場所で産卵をすると考えられている。

東側の資源は比較的良好だが、西側が減っているという解析結果が得られている。西側で漁獲が強いと言うより、Hokiの行動に起因するかもしれない。東側がメインの産卵群で、東側の環境収容力が少なくなってくると西側に移動する可能性もある。チャタムライズでの、資源(もしくは親)密度と、新規成魚の東西分布のデータを比較してみるとおもしろそうだ。


漁業の形態

200m~800mの中層トロールで漁獲する。網を海底に接触させないので物理環境を破壊しない。Hoki狙いの操業では、漁獲の95%以上がHokiになる。混獲が少ないしクリーンな漁業といえる。

産卵場のクック海峡では、現在でも網を引けば、いくらでも獲れる状態。俺は漁業者から直接話を聴いてきたのだが、彼の船では1網で20tの漁獲が最適とのこと。長く引けば30tぐらいは余裕で獲れるけど、多く獲ると魚体が傷んで価値が下がるので、そんなことはしないらしい。ぴったり20tを獲るのが、漁労長の腕の見せ所だそうだ。ITQだと、漁業はこうなるんだね。実際にログブックを見せてもらったのだが、網を曳いている時間は、だいたい10分から15分であった。その気になれば、まだまだ、いくらでも獲れるのである。

ただ、魚が捕れるからといって、必ずしも資源状態が良いとは限らない。これはニューファンドランドのコッドの崩壊で世界が学んだ、苦い教訓である。産卵に集まってくる魚を捕る場合、資源量が減っても産卵場の中心部での密度は高めに維持される。そこで網を引けば、資源状態が悪くてもまとめて獲れてしまうのだ。ニューファンドランドの場合、資源崩壊前年にCPUEは歴史的に見ても高い水準であった。その反面、漁場は非常に集中しており、音響調査では漁場以外の密度分布が非常に低かったことがわかっている。この手の資源では、中心部の漁獲だけで資源状態は判断できない。むしろ、漁場外の魚の分布の広がりを把握することが重要なのだ。次回は、音響調査も含めて、資源の状態を複合的に見てみよう。

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