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本音で語るTAC制度

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現在の日本のTAC制度は、資源管理として機能していないことに疑問の余地はない。
そんなことは、水産庁だって百も承知である。
むしろ、漁業の妨げにならないように、細心の注意をもってTAC制度は運用されているのだ。

TAC制度が導入されたのは、日本が国連海洋法条約に批准したからである。
国連海洋法条約を批准した理由は、海底鉱物資源の利用権を確保するためであった。
鉱物資源の確保の代償として、自国の沿岸の水産資源の管理責任を負うことになった。
国益全体を考慮してTAC制度が導入されたのだが、水産庁(少なくとも資源管理課)はTACに反対だった。
そこで、出来るだけ漁業への影響を少なくしつつ、資源管理の枠組みを形式的に作ることになった。
漁業者からは、外国船を追い出すことと、生産調整のための手段として受け止められた。

というようなことが、「本音で語る資源回復計画」という本に書かれています。
当事者が書いているので、きっとそうなのでしょう。
「くれぐれも少ないTACでもって船を止めようなどとはやってはいけない」とか
「成果と言えば、・・・、TACの運用においてもある意味で一定の歯止めをかけることができた」
など、TACを骨抜きにすることがまるで手柄のように書いてあり、脱力してしまいます。

TAC制度は対外的に「資源管理をしています」と言うための制度であり、
取り締まる側も、取り締まられる側も、資源を守るための制度だとは思っていない。
これじゃあ、資源が守れるわけがない。

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