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いつ頃から、誰が「魚離れ」と言い出したか

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朝日新聞を使って、いつ頃から、誰が「魚離れ」と言い出したかを調べてみた。

1976年 若い女性は魚離れ 料理は苦手、鮮度にも関心薄い おさかな普及協会調査
1978年 消費者に“魚離れ”52年度200カイリ時代初の漁業白書_漁業白書
1981年 魚離れ一段と 値上がりの分析不十分 漁業白書_漁業白書
1984年 魚離れ防止へ農水省がPR_水産業

朝日新聞に最初に魚離れが登場したのは1976年。
紙面には、

「魚が好き」やっと半数
一匹買わずに切り身で
魚屋よりスーパーが好き

という見出しが躍っている。実に、34年前の記事なんだけど、昨日の記事と言っても通用しそうだ。ちなみに、この「おさかな普及協会」というのは、大手水産と荷受け59社が作ったそうだ。

1978年から、水産庁が漁業白書で魚離れキャンペーンを開始する。当時は魚の値段が上がって、肉との価格差が無くなったことから、魚の消費の低下が懸念されていたので、販促をしたのだろう。その後もバブルによって、日本人一人当たり1年間の水産物消費量(KG)は増加を続けた。

2001年から、消費が落ちているのは、世界的な魚の値上がりで、輸入が減少のが理由。こちらは構造的なので、今後も魚の消費量は下がるだろう。ただ、これは、消費ではなく供給の問題。日本の消費者が魚を避けているのではなく、世界の魚が日本から離れているのだ。

急速に進行しているのは、「日本人の魚離れ」ではなく、「魚の日本離れ」

Comments:3

水産課職員 11-03-04 (金) 17:20

はじめまして。
魚離れについて、仰ること、ごもっともだと思います。
ただ、私が水産職として漁師さんと接していて思ったのは、
彼らの言う「魚食離れ」の本質って、
「いくら魚食べてくれたって、ノルウェーサーモンじゃなぁ・・」
ってことじゃないかな、ということです。
魚の消費量が増えた減ったはさておき、輸入量がうんたらかんたらもさておき
(これらは現場の、よく言えば職人肌、悪く言えば獲ってくるだけ、の漁師さんには
 実感がないんじゃないかな?)
自分の獲った魚を町の人たちが食べてくれてる、買ってくれてるっていう、
感触がなくなってきたっていうのが、
「「魚食離れ」という言葉」の意味するところなんじゃないかなと。
国産の魚が相対的に高くなって、外国産の魚の方がより食べられるようになった、
漁師さん達の意識として、子供はサケの切り身ばっかり食べてるみたいに思え出した、
昔から主婦が魚をばんばん捌いていたかは知りませんが、
輸入の切り身が悪者になると、丸太の国産漁が悲劇のヒロインになった、
そんな感じではないですか。
だからどうしたといわれたらそれまでですが、
「だから「魚食離れ」は幻だ」といわれても感覚的に納得いかなかったので、
何でそんな気分と現実の乖離が生じてるのかなって考えてみたので、
投稿いたしました。

沿岸漁業の一漁師 11-03-06 (日) 17:53

元々、漁業者自体が魚離れだったりするわけでして。
傷みかかった魚を食べる家は肉が大好きだったりするわけで。

昨今、行政を巻き込んで『生産者は美味い物を知っている』なんていうキャッチフレーズで地産池沼の活動していたりしますが、『煙草吸い』の漁師の言うことは真に受けないで下さいねw。
真夏の33℃超えの干物作りにとっては最悪の環境で天日干しの干物なんか作ったりしてねw。

katukawa 11-03-08 (火) 5:41

水産課職員さん、初めまして。

もともとどうして輸入魚が入ってきたかというと、
国産魚では需要がまかなえなくなったという面もあります。
魚が弾不足になった加工業者が、
海外に魚を探しに行かざるを得なかったのです。
漁業者だけでなく、流通業者の話も聞いてみてください。

非効率な漁業者を国が手厚く保護しているのだから、
日本の魚が割高になるのは当たり前。
国と漁業者の責任で、価格の逆転が起きているのだけど
国の魚食教育なんて、詐欺みたいなもので、国産魚を割高にしておいて、
輸入の切り身を悪者にして、丸太の国産魚の販促をしているのです。

>自分の獲った魚を町の人たちが食べてくれてる、買ってくれてるっていう、
>感触がなくなってきたっていうのが

これも自業自得の面もあります。良い魚は全部築地に出して、
売れないものだけしか地元に出さなければ、そうなるでしょう。

豊かな魚食文化を失いつつあるというのは、実感としてあります。
でも、それは消費者の責任と言うより、漁業者や行政の責任が
大きいと思います。その責任を消費者に添加するために、
魚離れが叫ばれ続けているという構図ですね。

沿岸漁業の一漁師さん

地産地消といいつつ、良い魚は全部東京に送っているから、
あきれてしまいます。

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