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北洋サケマス漁業について

  • 2011-03-05 (土) 11:04
  • 研究

露への資金提供、4社以外で違法操業見つからず

水産庁は4日、4社以外で同EEZ内でサケ・マス漁などを行う43隻を調査したところ違法操業は見つからず、調査を継続すると発表した。

操業日誌や市場が発行した伝票の提出を求めたが、金品提供を明らかにした漁船はなく、過去に違反が判明し た4隻を除き、漁獲超過も確認できなかった。また、調査では、「保存していない」などとして伝票を提出しない漁船が続出したほか、調査への協力を拒んだ漁 船もあった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110304-OYT1T00973.htm

操業日誌に漁獲超過の痕跡が無いのは当然だ。漁獲枠の超過を馬鹿正直に操業日誌に記録して、わざわざ証拠を残す漁業者がいるはずがない。過去に立ち入り検査で違反が判明した船だって、操業日誌はつじつまを合わせていたはずだ。操業日誌の確認など、やっても無駄なことは、やる前からわかっている。

このニュースの重要な点は、伝票の提出を求めた点である。伝票は取り引き相手があるので、漁業者単独で、魚種や数量を虚偽記載するのは難しい。伝票の方が、確実に漁獲の実態を反映しているから、提出できないのだろう。

豊進丸の違法操業

数年前に、ロシアに拿捕された豊進丸の場合は、単価の高いベニザケをシロザケと偽って、隠していた。私が書いた本文より、コメントの方が内容があるので、そっちを中心に読んでください。

豊進丸拿捕 ロシアに乗組員解放命令

豊進丸事件のまとめ&続報

裁判記録によると、「ロシアEEZで操業していた豊進丸(割当量:シロザケ85.2トン、ベニザケ85.7トン、ほか)は、6月1日にロシア側から臨検を 受け、45トンのベニザケのうち20トンをシロザケとして記録・報告していたために拿捕された。捜査の結果、ベニザケはシロザケの覆いの下に隠匿され、船 舶日報の虚偽報告、意図的な虚偽の漁獲量情報の提供、意図的な操業日誌不実記載などが判明した。」となっている。
日本政府は、国際海洋法裁判所の公判において、「豊進丸の違反は、操業を許可された2種類の魚について操業記録を不正確に書いたこと以外の何物でもな い。違反の重大性は比較的限られたものである。参考までに申し上げると、日本政府はこの種の違反を悪質性の低いものとして取り扱っており、他の殆どの国々 も同じ扱いをしていると思う。」と、如何にも「IUUに優しい国」日本の取締りがグローバルスタンダードであるかのように証言している。
これに対し、ロシア側は「今回の違反事件は(単なる操業日誌の記入ミスではなく)、船長が綿密に証拠隠蔽を企てた、詐欺と事実歪曲による高度の計画的犯行である。」と、犯行の核心をつく厳しい証言で切り返している。
これら日ロ両国の証言を受けた裁判の判決では、これは一切報道されなかったが、「ITLOSは、豊進丸の船長が犯した違反を、単に些細な違反や純粋な技 術的ミスであるなどとは考えるべきではないとの見解にある。正確な報告が要求される漁獲量のモニタリングは、海洋生物資源の管理において最も重要な手段の 一つである。そのようなモニタリングを実施することは、単にロシア連邦の権利としてではなく、適切な保存及び管理措置を通じてEEZの生物資源が過剰漁獲 による危機に晒されないことを確保するための海洋法条約第61条第2項の規定も考慮されるべきである。」と、IUUに優しい日本の立場を断罪し、レポート システムの重要性を指摘しつつ、資源管理に対する背信行為を厳しく非難している。

日本政府は「軽微な違反」と主張しているが、国際海洋裁判所は、「違法操業に甘い日本政府の姿勢は、国連海洋法条約に反する」と一刀両断している。このことは、日本のメディアは一切、伝えなかった。「ロシアが漁船の乗組員を不当に拘束している」と人道上の問題ばかりを報道したのだが、実際には、日本人漁業者は拘束されていなかったのである。そのことも、伝えなかった。国連海洋法条約は日本の領海でも適用されるので、自国漁業についても、漁獲量のモニタリングを正確に行う義務が生じているが、水産庁はこれを無視し続けている。

北洋漁業の実態については、此方が参考になります。

揺れる北海道サケ・マス漁 社会新報道内版1993/1/15
http://www.kotoni.net/kadowaki/kado/suisan/sakemasu.htm

サケ・マス漁にはボタンのかけ違いという発端が確かにあった。そして国や道の担当者は不正な状態を事務的に引き継ぎ、海上保安庁は政策がらみのことに手を出さなかった。それに加えて不正をチェックすべきジャーナリズムが見て見ぬふりをしてきたのである。
私は今回逮捕された漁業者を大上段から非難することなど到底できない。罪人は漁業者ではあるが罪人をつくったのは行政であり、保安庁であり、ジャーナリズムだと思っている。しかし一番の悪人がだれだったのかといえば、特定できそうもない。
不幸だったのは日ソ交渉が国家と国家とのぶつかり合い、だまし合いに終始し、本来最も重要なはずのサケ・マス資源論争がねじ曲げられてしまったことである。サケ・マスだけでなく、日本の遠洋漁業ではおしなべて資源論争がねじ曲げられてきたと言えよう。

ここに書かれていることは良くわかる。だからといって、現状を放置しておいて良いわけではない。「漁獲枠?ごまかせば良いよ」という、いい加減なことは、日本国内でしか通用しない。ロシアの取り締まりが強化されているし、国際的にも不正には厳罰が当たり前の時代になっている。重要なのは、これから、どうするかということ。

Comments:1

沿岸漁業の一漁師 11-03-06 (日) 18:06

こういうのが投資環境の格付けでシンガポールや香港の後塵を拝する原因だったりしてw。

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