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シンポジウムのお知らせ

  • 2007-11-02 (金) 11:32
  • 日記
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今年はこんなシンポがあります。
OMをつかった管理方式というオタクなテーマで、
マニアが集う「奥の細道」的にディープな集まりになりそうですね。
普通の人がぶらりと来て面白いかは疑問ですが・・・

————————————————–

シミュレーションを用いた水産資源の管理
―不確実性への挑戦―

日時:平成19年11月28日(水)10:00~16:40
場所:東京大学海洋研究所 講堂
      〒164-8639 東京都中野区南台1-15-1     TEL 03-5351-6342
コンビーナー:平松一彦(東京大学海洋研究所・資源解析分野) TEL 03-5351-6494
              khiramatsu@ori.u-tokyo.ac.jp

プログラム
 10:00~10:50 オペレーティングモデルを用いた管理方式開発の現状
                   平松一彦(東京大学海洋研究所)

 10:50~11:40 ミナミマグロの管理方式の開発
                   黒田啓行(水産総合研究センター・遠洋水産研究所)

       昼食(11:40~13:00)

 13:00~13:50 小型鯨類の管理方法の検討
                   岡村 寛(水産総合研究センター・遠洋水産研究所)

 13:50~14:40 スルメイカ秋季発生系群のABC算定規則の検討
                   櫻田玲子(東京大学海洋研究所)

       休憩(14:40~15:00)

 15:00~15:50 マサバ太平洋系群の資源評価と管理方策の検討
                   渡邊千夏子(水産総合研究センター・中央水産研究所)

 15:50~16:40 管理規則の事前合意
                   勝川俊雄(東京大学海洋研究所)

 16:40 閉会 

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現在の資源管理は、毎年、どうしようどうしようと悩む泥縄スタイルです。
泥縄スタイルだと、資源が減ってしまうとどうしようもない。
管理に一貫性を持たせて、適切なアドバイスをするためには、
「資源がこういう状態になったらABCをこうする」というルールが必要なのです。
これが管理方式です。

管理方式は、不確実性が大きく、政治的圧力が強い資源の利用には欠かすことが出来ません。
実際、IWCやマグロの管理などは管理方式を利用するのが一般的です。
平松さん、黒田さん、岡村さんは、もろに国際資源管理の舞台で活躍してきた人たちです。
彼らの知識を国内の資源管理にも活用していく必要があるでしょう。
国内の事例に関しては未だに検討事項みたいですが、まだ、しばらく時間がかかるかな。

俺は例によって最後ですな。
俺の後の人は話しづらいだろから、妥当な判断ですね(笑
事後的にズルズルと目標を下方修正する現在の資源評価をDISして、
管理方式に事前合意をすることの重要性を熱く語ります。
でもって、複雑なモデルに基づいて最適化された制御ルールよりも、
シンプルなルールの方が良いんじゃないかという話をするつもりです。
もちろん、シミュレーションによって、そのルールが機能するかどうかを見極めるのは当然ですね。

今、この講演の要旨を書いています。
いろいろと話すべきことが多くて、悩ましいですなぁ。

Comments:5

業界紙速報 07-11-02 (金) 13:37

マサバ回復計画4年延長へ

太平洋広域漁業調整委員会については、業界紙各紙で報道されると思いますが、本日付水産通信は一面全部で伝えています。以下、要点を拾うと、

太平洋広域漁業調整委員会が十月三十一日、農林省講堂で開かれた。今年度で当初予定の五年間を終えるマサバ太平洋系群資源回復計画は、産卵親魚量の増加に寄与したものの目標には達していないことが報告され、二〇〇七年級群の保護が喫緊の課題であることから、第二段階として実施期間を二十三年度まで延長することが了承された。
回復計画は、大中型まき網の減船・休漁の取り組みで産卵親魚量を五年間で一八万トンへ回復させる(可能であれば四五万トンへ近づける)ことを目標に十五年度からスタート。
産卵親魚量は第一目標の一八万トンに達しているが、安定的な加入に必要な四五万トンには達していないのが現状。水産庁は、〇四年に卓越年級群が発生したものの〇五年級群、〇六年級群は加入水準が少なく、今後一時的に親魚量が減少することを説明。〇七年級群の発生に合わせた資源回復措置について検討を進め、今年度末をめどに二十三年度までの実施期間延長、漁獲努力量削減措置の見直しなど必要な計画変更を行う方針を説明した。
水研センターは、九月の全国資源評価会議で比較的発生が良好とされた〇七年級群について、その後の調査ではよくない数値が出ているとして慎重な対応を求めた。

さて、これに続いて、以下のような記述があります。
TAC増枠を諮問方針 水産庁
委員会では、マサバ資源の利用のあり方などを巡って活発な意見が出され、八戸沖などで漁獲が進んでいることについて委員が水産庁に今年のTACに対する考え方を質し、水産庁は十二日の資源管理分科会で最新の資源評価を踏まえて増枠を諮問する考えを示した。外記栄太郎委員(千葉海区漁業調整委員会長)、磯部進委員(神奈川海区・みうら漁協理事)は「資源保護のため増枠すべきではない」と述べ、大中型まき網漁業者の鈴木徳穂委員(丸徳漁業代表取締役)は五~六月にまき網としては初めて実施した操業とりやめや、現在の一日一ヵ統当たりの漁獲制限などを説明し、資源管理の取り組みに理解を求めた。
また、鈴木委員は「サバは八戸、石巻、銚子以外には水揚げされなくなっており、地元の大津では買受人や冷蔵庫の疲弊が深刻。五〇~一〇〇トン規模でサバを固める大手業者が一〇年前には三〇数件いたが、今は二件しか残っていない。運送業者もいなくなった。」と地域の構造不況の現状を訴えた。外記委員、磯部委員も、タモ抄い漁船が千葉県ではかつての六十隻から現在は一隻、神奈川県では一四隻から四隻まで減少していることを説明し、資源の保護・回復を訴えた。水産庁は「TACだけでは資源管理は困難であり、回復計画で現場と細かく協議しながら回復につなげていく」と説明した。

なぜ、困っている大津で貴重なマサバを水揚げしないのか、いまの自分にはわかりません。慎重な対応を求めている水産庁が、なぜTAC増枠を諮問するのか、理解できません。
大中型まき網漁業者は、減船・休漁して頑張ったんだから、資源回復した暁には応分の漁獲を認めろ、ということなんでしょうか?資源が回復したからといって漁獲制限を解除すると、またぞろ獲り過ぎになるんじゃないんでしょうか?こんなに頑張っていると言っている漁獲制限措置が、獲りたいところを我慢しているわけじゃない自然体の操業形態にならない限りは、同じ過ちを繰り返すことになるんじゃないでしょうか?

業界紙速報 07-11-08 (木) 12:02

本日みなとのトップは今漁期サバTAC37%増提案、大中型巻網40%増の29万3千トンを12日の水政審に諮問するとの記事。記事の冒頭、水産庁はHPを通じて広く意見を募集中となっていますが、水産庁HPのいったいどこで「広く意見を募集」しているのでしょうか?
先月の太平洋広域漁業調整委員会については、結局水産通信だけが、割と詳しく報じただけで、ほかの業界紙は、ほぼゼロ。
外記委員や磯部委員が資源涵養を訴えていたことに対しては、みんなでほおかぶりを決めこみ、水研センターが07年級群に対して慎重な対応を求めたことは無視するわけですな。流れとしては、04年級群はこれから姿を消し、05、06年級群は出来がよくないんだから、07年級群を獲っていいよ、というお墨付きを出すってことだねえ。
まあ、昔は水産庁の諮問内容もわからず、期中改定したんだ、ふうん、となっていたところ、今回は水産通信が調整委員会の内容を報道してくれたおかげで、舞台裏が少しだけわかった(つもりな)んだけど、このやり方はひどいなあ。大中型まき網以外はどうなってもいいってことか。あんまりだ。

勝川 07-11-13 (火) 2:26

これは、酷い話ですね。呆れています。

>慎重な対応を求めている水産庁が、なぜTAC増枠を諮問するのか、理解できません。

水産庁のやっていることは明らかに自己矛盾です。
回復計画をするならTAC増枠の増枠は止めるべきだし、
TACを増枠するほど資源状態が良いなら、
回復計画で税金をばらまく必要はありません。

>大中型まき網漁業者は、減船・休漁して頑張ったんだから、
>資源回復した暁には応分の漁獲を認めろ、ということなんでしょうか?
>資源が回復したからといって漁獲制限を解除すると、
>またぞろ獲り過ぎになるんじゃないんでしょうか?

1ヶ月頑張ったから、ご褒美でTAC倍増なんてあり得ない話です。
資源は未だに低水準なんだから・・・

なんだかんだ理由をつけて、大中巻きだけにサバを獲らせつつ、
大中巻きにだけに補助金をばらまきたいようにしか見えませんね。
大中巻きなんて、魚価は安いし小型個体も根こそぎ獲るしで、
国益という観点から優遇する理由は全く見あたりません。

>大中型まき網以外はどうなってもいいってことか。あんまりだ。

まさに、そんな感じですね。
そもそも大中巻きが未成魚を取り尽くして資源を枯渇させたのに、
大中巻きだけ休漁補償金をもらうのは、どう見ても変ですよ。
むしろ、大中巻きが他の漁業者に乱獲補償金を払うべきだと思います。

県職員 07-11-15 (木) 9:02

補助金出してもらって,資源回復に取り組めた事に感謝すらしてないのでしょう。俺たち,我慢してやってんだからあたりまえだろってな認識でしょうか。

しかし大中まきなんか集魚灯の光力違反でしょっ引けば,1隻たりとも海には出られない,あるいは出ても魚は獲れないでしょう。
発覚すればどこぞやで問題になった高校○球の特待生制度みたいになりますよ。
線を引いたなら守らせないといけないし,現実に沿わないなら線を引き直せばよいでしょうに。

勝川 07-11-24 (土) 7:12

>俺たち,我慢してやってんだからあたりまえだろってな認識でしょうか。

まさにそんな感じですね。
10月は我慢たんだから、11月以降の漁獲枠を増やせなんて、
無茶苦茶も良いところですよ。
まさに、だだっ子理論です。
それを通してしまう大本営もアレですが・・・

>線を引いたなら守らせないといけないし,
>現実に沿わないなら線を引き直せばよいでしょうに。

これは痛感しますね。
ほぼ全員が犯罪者になるような線を引いておいて、
恣意的に取り締まるというのは良くないです。
北海道では、川で調査漁獲と称して実質的な遊漁が行われています。
条例で遊漁が許可されていないから、関係者が知恵を絞ったのでしょう。
そんなことをしないで、条例を変えればよいのにと思いました。

また、このような日本的な体質は海外では全く通用しません。
日本の外に魚を獲りに行く人には、
罪刑法定主義を理解して行動して欲しいものです。

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