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秋田のハタハタは漁獲量6割減でも、漁獲金額は横ばい

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 今季のハタハタの漁獲状況は昨季の6割程度だったことが県水産漁港課のまとめでわかった。資源保護のため、漁師が小型魚の捕獲を自粛した影響が大きいという。11、12月の調査で小型魚が多かったため漁を自粛した。
 漁獲減少に伴い1キロあたりの単価は昨年の約1・6倍の509円に上がり、漁獲金額は約8億1918万円で昨季(約8億3611万円)とほぼ横ばいだった。
http://mainichi.jp/area/akita/news/20080403ddlk05020106000c.html


漁獲量を4割削減しても、大型魚を選択的に獲ったために漁獲金額はほぼ横ばい。
こういうのを資源管理というのだよ!
近いうちに、杉山さんのところにも聞き取り調査に行かねばならないな。

ここで重要なポイントは、2つある。
1)資源が減りきる前に、漁獲量を削減したこと
2)価格の弾力性の低い(量が減っても値段が上がらない)小型個体の漁獲を控えたこと

資源管理できていない漁業では、資源が枯渇してから漁獲量が下がる。
資源が枯渇すれば、まず最初に姿を消すのは大型個体である。
資源を減らしてしまうと、漁獲量だけでなく、単価も下がるのである。
こうなると、どうやったところで、経営は成り立たない。
早めに漁獲量を減らすことで、利益を確保しながら、資源を守ることが出来る。

原油が高いので、漁獲量を減らして売り上げを確保するという戦略は効果的だろう。
ハタハタは良いタイミングで禁漁にして、資源を回復させたのだが、
その後は値段が下がったりして、心配していたのだが、杞憂だったね。

あと、「11、12月の調査で小型魚が多かったため漁を自粛した」という部分もポイントが高い。
分布を調査して、それに基づいて素早く人間が対応する。これこそ順応的管理だよ。
サンプリングする人間と、意思決定をする人間と、漁業者が同一であれば、
順応的管理は極めて有効に機能するはずだ。
順応的管理という観点からも、注目をしていきたい。

沿岸漁業の自主管理というのは、無限の可能性を秘めていると思う。
適切な措置を執れば、数年後には大きな経済的リターンが得られるはずだ。
ただ、ハタハタを含む少数の成功例があるだけで、あまり効果が出ていない。
「形式的な管理ごっこで、お役所の実績作りに協力して、補助金をゲットー」みたいな話が多い。
こんな状況で「日本には、お家芸の自主管理があります」とか言うから、聞いている方が恥ずかしくなる。
資源管理とは漁業者が持続的に利益を得るために行うものであり、行政の実績作りのためのものではない。
持続的に利益を出せている沿岸漁業が少なすぎる。それが、沿岸漁業衰退の根本原因だろう。

俺は沿岸の自主管理には大いに期待をしている。だから、現状では全く満足していない。
日本の沿岸資源の大半が、ハタハタのレベルで管理される日まで、文句を言い続ける。

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