Home > 資源管理反対派 > IQ方式を導入できない言い訳がお粗末すぎる件について

IQ方式を導入できない言い訳がお粗末すぎる件について

[`evernote` not found]

「IQ方式は、お金がかかる」という以外に、3つの理由を挙げているのだが、
どれもお粗末すぎて、ため息が出てくる。
IQ方式について何も理解していないことは明白だ。
IQ制度に反対するにしても、制度を理解した上で反対してもらいたい。

① 操業が各漁業者にゆだねられ漁業団体による管理が行われなくなった場合、水揚げ集中による市場の混乱

現状で漁業団体による管理が機能しているかどうかは、さておき、
IQ制度を導入すると、漁業団体による管理が行われなくなるというのは、意味不明。
ノルウェーだって、組合が主導している細かい操業規制は山ほどある。
業界団体の管理は続けた上で、個人の漁獲量に上限を設ければ良いだけの話である。

また、IQを導入で水揚げが集中するというのは、あり得ない話だ。
個人の漁獲枠が限られているのに、
わざわざ値崩れするような獲り方をする馬鹿はいない。
早い者勝ちの現状では、解禁と同時に漁獲が集中してしまうが、
それを防ぐ効果がIQにはあるのだ。

この反論理由一つとってみても、この懇談会のメンバーが、
IQ制度のことを、全く理解していないことは明白である。
学部生のテストでも、こんな答案は赤点です。

② 各種規制の撤廃・見直しによる操業秩序の混乱

混乱を避けるという口実で、漁業はこのまま衰退させるつもりみたいだが、
水産庁の存在意義はなに?

③ 漁村地区の崩壊の恐れ

なんで、IQを入れると、漁村地区が崩壊するんだよ。
個別漁獲枠を導入して、ノルウェーの沿岸漁村はつぶれたか?
資源管理をしないから、日本の漁村は壊滅状態なのであり、
このまま何もしなければ、今後もどんどん崩壊するだろう。
原因と結果を故意にはき違えているとしか思えない。

なんとか漁業で生計を立てている日本の漁村も、
大型旋網漁船の沖どりの脅威にさらされている。
早さと量で競ったら、大型旋網が勝つに決まっている。
漁村を守るためには、早い者勝ちをやめて、
予め漁獲枠をそれぞれに配分するしかないだろう。

 (つづく)

Comments:2

県職員 08-11-20 (木) 8:55

 資源回復計画に期待していましたが,漁業者サイドの話ばかり聞きすぎて身動きがとれなくなっている事例が多いのではないでしょうか。
 大臣指定漁業のような大規模漁業でまずIQ導入のようなドラスチックな規制改革を行ってくれると,漁業界に蔓延する閉塞感(漁業者はそうは思っていないかも知れませんが)が少しは取り除かれるような気がしてなりません。それは,地方にも波及しますしね。
 国というとものすごく強大なイメージを持ちますが,それぞれの分野を担当するはほんの数人ですよね。そういう数人が頑張るだけで,実は大きな流れを起こすことができるはずなんですけどね。
 天下りなんてものがあると,すぐ先の将来を考えて,漁業界に睨まれるようなことはできなくなるのでしょうか。

勝川 08-11-21 (金) 14:35

回復計画は難しいでしょうね。
水産資源学的には、操業規制では、
十分な管理効果が得られないことが、知られています。
始める前から、ダメっぽいと思っていました。

>そういう数人が頑張るだけで,
>実は大きな流れを起こすことができるはずなんですけどね。

私もそう思います。
中の人は、自分のフリーハンドで動かせるのは、
わずかだと言うけど、何人かの有志で、
できることをすれば、状況はかなり動くと思うけどな。

上はダメっぽいから、若手の奮起に期待ですね。

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=665
Listed below are links to weblogs that reference
IQ方式を導入できない言い訳がお粗末すぎる件について from 勝川俊雄公式サイト

Home > 資源管理反対派 > IQ方式を導入できない言い訳がお粗末すぎる件について

Search
Feeds
Meta
Twitter
アクセス
  • オンライン: 1
  • 今日: 1316(ユニーク: 845)
  • 昨日: 1211
  • トータル: 9362222

from 18 Mar. 2009

Return to page top