- 2009-03-01 (日) 4:37
- ニュージーランド | 水産庁のNZレポート | 資源管理反対派
木島資源管理推進室長
まず、一つ目に、漁獲量を迅速かつ正確に測るためにはたくさんのコストがかかりますよということでございます。これについては、右下の枠を見ていただきたいのですが、仮にまずは水揚げ港に人を張り付けましょうということを考えてた場合に、2種漁港、3種漁港の約600港に人を張り付ける、さらにニュージーランド、オーストラリアがしているような漁船に人を乗せましょうとのことを考えた場合には、今、ミナミマグロでやっているように清水と同じようなことをやった場合には、港の張り付け分が約140億円、それから船に人を乗せるといった場合には、約300億円と合計で少なくとも約440億円もの費用がかかりますよと。
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai5kai/giziroku_05.pdf のP11
このように、水産庁サイドはIQを入れると金がかかるぞと脅しているわけだが、
300億円というのは全くのデタラメだ。
少なくともニュージーランドと同じことをやったらこんな金額にはならないですよと。
このときに示していた資料は、
http://www.jfa.maff.go.jp/suisin/yuusiki/dai5kai/siryo_18.pdf のP15だろう。
右下にTAC漁業の漁船数の一覧表がある。
大臣許可漁業の漁船では、小型のイカつり船が3100隻と群を抜いている。
これらの大半は10トン以下の小型船であり、監視員が乗船するスペースは無い。
これらの小型イカ釣り漁船をのぞけば、大臣許可漁船は700隻に過ぎない。
NZと同じ運用をするなら、監視員は全体の10%で70隻となる。
下の水産庁試算の3808隻の部分が70隻に減るので、
全体の額は546000千円(=29702400/3808*70)となる。
NZと同じように監視員を乗船させると300億円かかるというのは、全くの嘘だ。
NZとおなじ運用をするなら、乗船監視員の経費は5億円程度である、
また、この費用はNZでは業界の自己負担である。
ITQをやりたくないから、法外な予算をふっかけたのだろうが、
その前提があまりにもお粗末である。
こんなでたらめが、通るはず無いだろうに・・・
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Comments:2
- ある水産関係者 09-03-01 (日) 22:42
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漁獲管理は、オリンピックでもIQでもITQでも、本当は同レベルの精度(厳しさ)が要求されるはず。
オリンピックだからいい加減で良く、IQは厳しく管理しなければならない、なーんていった大本営理論は、質問と答が全く噛み合わなかったN元財務大臣の記者会見と五十歩百歩。
本気で資源管理をやる気があるのなら、オリンピックだからこそ入港検査や乗船検査を厳しくしなければいけないことくらい理解できそうなものですが・・・。
でも大本営が、ここまで理不尽な屁理屈を並べ立ててまで、IQやITQに反対する裏側には、もっともっとレベルの低い(感情的な)別の理由が潜んでいると思います。
VMSについても、本気で設置すれば、大本営に不都合な真実が次々と表沙汰になることでしょう。でも先日のロシアに拿捕されたカニかご漁船など、もしシロだったらある程度VMSで証明できたのに、やっぱり証明出来ない方が良かったのかなー。 - 勝川 俊雄 09-03-13 (金) 17:41
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>オリンピックだからこそ入港検査や乗船検査を厳しくしなければいけないことくらい理解できそうなものですが・・・。
オリンピック制度で漁獲をびしっと止めた米国やカナダはある意味すごいです。
>でも大本営が、ここまで理不尽な屁理屈を並べ立ててまで、IQやITQに反対する裏側には、もっともっとレベルの低い(感情的な)別の理由が潜んでいると思います。
やりたくないのはわかったけど、もうちょっとマシな言い訳は準備できなかったのかと、あきれてしまいます。
VMSは、反対意見が多そうですね。
ロシアが取り締まりを強化すると日本のEEZの漁獲量が下がったりしますから。
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