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水産庁のNZレポートを徹底検証する その2


水産庁のレポートはことごとくデタラメなんだが、どこがデタラメかを具体的に見てみよう。

漁業省400人のうち約180人が監視員で、大型の漁船には1人ずつ監視員が同乗。

NZに監視員が多いのは確かなんだが、大型漁船には一人ずつ監視員が乗船というのは嘘。現在のNZには70m以上が170隻、10-70mが1070隻存在するので、大型漁船に一人ずつ監視員を常駐するのは、そもそも不可能だ。NZ漁業省に問い合わせたところ、遠洋漁業の大型船の監視員のカバー率は20%程度であり、大型船全体でも10%程度とのこと。 監視員は、必要な漁業に優先的に配置される。過去に違法があった船、投棄の疑いがある船(同じような操業をしている船と比べて、 漁獲組成が大きく異なる船)、海鳥・海獣の混獲のリスクがある漁業が対象になる。問題がありそうな船、将来問題になりそうな漁業に、重点配置をしているのだ。

NZでは、監視員の費用は業界が負担しているのが重要な点だろう。NZでは、「漁業者が、操業を遵守していることを証明する義務を負う」という考え方だ。日本の水産庁は、4000隻の漁船(大半が10トン未満の小型イカつり船)すべてに税金で監視員を配備するとか寝言を言っているが、非常識すぎて頭が痛くなってくる。 監視員は教育・維持に金がかかるから、まずは、コスト対効果の高いVMS(衛星による漁船監視システム)の導入をすべきである。 VMSは機材がUS$1000-US$5800で、ランニングコストも1日US$1-US$5しかからない。まずはVMSを導入し、それでも不十分な場合には、業界自己負担で漁業者負担で監視員を乗船させるというのが、ものの順序だろう。主な漁業国はVMSをすでに導入済みであり、未だに何もしていないのは日本ぐらいじゃないかな。VMSのVの字も出てこないことからも、水産庁の監視員4000人計画の目的は、漁業の監視ではなく、予算のつり上げであることがよくわかる。

現在、指定港以外の水揚げ防止等をはかるため、VMSや監視カメラの船上設置を検討

NZでは、1994年からVMSを導入していますが? すでに28mよりも大型の船には100%VMSが導入されている。小型の船にも搭載可能な安価なVMSの導入が進められており、 近い将来、全ての船に導入することになっている。VMS以外にも、軍の早期警戒管制機(AWACS機)による漁船の監視なども行われている。AWACSのデータを見せてもらったが、漁船の位置が手に取るようにわかるのはびっくり。軍事機密と言うことで、資料は貰えなかったけど、すごいものですよ。 NZでは、VMSの導入も受益者負担が徹底されている。NZ政府が漁業者から金を集めて、VMSのシステムを開発し、 28m以上の船には有無を言わさずにVMSを購入させた。「政府は、俺たちの金で開発したシステムを、高い値段で売りつけるんだ」と、一部の漁業者は腹を立てているようだ。

虚偽報告や投棄が存在

どこの国にでも、虚偽報告や投棄は多かれ少なかれ存在するだろう。NZでも虚偽報告や投棄はゼロではないだろうが、日本と比較にならないぐらい少ない。 NZでは、漁獲物の海上投棄を一切認めていない。たとえ、商業価値がない魚でも網にかかった以上は持ち帰るのがルールである。 漁業が非対象種に与える影響を評価するためである。NZでは、全ての投棄は違法であり、投棄は非常に厳しいペナルティーの対象となる。軽微な違反で$5000(25万円)、普通の違反で500万円、最大で1250万円の罰金、および、魚、漁船、漁獲枠の没収、刑務所行きまである。

NZでは、漁獲枠保持者が漁船を雇って操業をさせる場合も多い。雇われ漁船が違法操業をすると、漁獲枠保持者にも漁獲枠の没収を含むペナルティーがある。漁業会社は、漁船を雇うときには、その漁船がルールを遵守するかどうかを厳しくチェックする。スポンサーの目が光っていれば、雇われ漁船もうかつなことはできない。 組織的に投棄をしていたら、明らかに漁獲組成が他の漁船とは違ってくるはずだ。

投棄の疑いがある船には、監視員が乗船し、操業を確認する。NZ政府は、監視員がいる場合と、いない場合の漁獲組成の差に着目する。いてもいなくても、同じように獲れていれば、投棄はないものと判断される。監視員がいるときには、小さい魚も大量に捕れるのに、監視員がいない場合には大きな魚しか獲れないといった明瞭な差がある場合は、監視員の乗船頻度をふやして、原因を徹底的に調査する。

NZの不法投棄への対策は、世界でもっとも厳しい部類に入る。一方、日本はどうだろうか。投棄自体を禁止していないので、海に捨て放題だ。まともな規制がないので、「不法投棄」はないだろう。そもそも、国として管理責任を放棄しているのだから、「無法地帯に違法は存在しない」のである。自らの無為を棚に上げて、NZ漁業のことを「虚偽報告や投棄が存在」などと、わざわざ指摘する面の皮の厚さは賞賛に値する。

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