今日は水産学会の企画広報委員会の会議だった。 水産学会和文誌の記事の企画全般を行っているのだ。 かなり時間をかけてつくっているので、是非読んでください。 7月号は凄いですよ。 マイワシ!マイワシ!
電話で、締め切りすぎた原稿の督促ゲット。 ということで、ブログどころではないのですよ。とほほ。
「普通の日記」へのコメントに当たらないかも知れませんが、日本漁船の国際漁場における操業実態と資源の重みを国際社会に問い掛けるような裁判を日本政府が提起しましたので情報提供します(http://www.jfa.maff.go.jp/release/19/070602.pdf、http://www.itlos.org/start2_en.html)。興味を持っていただければ幸いです。
この裁判は、昨年から今年にかけてロシア200海里で違法操業によって拿捕された2隻の日本漁船に関し、日本政府が国連海洋法の規定に従い、ロシアに対し「合理的な保証金」を条件に漁船船体と乗組員の早期釈放を要求したもので、裁判は国際海洋法裁判所で行われ、約1ヶ月程度で判決が出るそうです。 裁判について、(「負け戦はしない」と外務省国際法課は結果に自信を示している。)とか、(外務省によると、国際海洋法裁判所が判決を下した漁船拿捕事件6件のうち、5件は乗組員の解放などを求めた原告側が勝訴した。残る1件は、船の管轄権を持たないとして敗訴した例外的なケースだった。)など報道され、日本政府は裁判が始まる前から、さも勝訴したような楽勝ムードですが、果たして、そのような筋書き通りに事がうまく運ぶだろうか?
私はこの裁判において、資源を潰す大きな要因である違法操業、それもIUU漁業のような完全に赤信号無視の違反ではなく、許可を有した上で禁止魚種や割当量オーバーをするといった黄色信号無視の違反に対する罪の大きさについて、国際社会から一定の判断が下されるものと期待しています。さらに、そのような判断(国際標準)が日本の標準に近いのか、もっと厳しいものなのか、大きな興味を抱いています。 今回、争われる2隻は、何れも操業許可を有していたけど許可対象以外の魚種を獲ったり、漁獲報告(または操業日誌)をごまかしたりしたもので、日本政府のセンスでは、この程度の軽微(?)な違反に対し、船体没収や裁判手続きに伴う漁業者の負担等が重すぎる、というのが意識の根っこにあるようです。ところが、過去の国際海洋法裁判所の判例を眺める限り、明らかに軽微な違反、違反かどうか疑わしい事例にまで、船体没収や全漁獲物の没収を前提とした厳しい処分が当然視され、釈放の条件である「合理的な保証金」も数千万円から億単位が宣告されるなど、日本政府のセンスとの間に大きなギャップを感じます(http://www.itlos.org/start2_en.html)。
今回の裁判では、漁船船体と乗組員の早期釈放という点については、「合理的な保証金」を条件に日本政府が勝ち取る可能性が「あるかも知れない」と考えますが、「合理的な保証金」については、日本政府の思惑通りになるかどうか、大いに疑問を感じています。資源の価値に対する日本政府の感覚と国際社会の感覚の違いを象徴するような判断が下されるような気がします。裁判自体、漁業者よりも日本政府が主導的に提起したようですが、早期釈放は認められたものの宣告された高額の保証金を漁業者が支払えなかった(仕方なく税金で払った)、というような失態だけは御免被りたいものです。もっとも、そのような事態になっても、情報は公開されることなく、もみ消されるのが関の山と思いますが・・・。 何れにしても、約1ヶ月後の判決まで、事態の推移を見守りたいと思います。
いつも情報をありがとうございます。 これはまた面白い裁判を起こしたものですね。 注意深く推移を見守りたいです。 「IUUには厳罰で臨む」というのが世界的な流れだと思います。 >操業許可を有していたけど許可対象以外の魚種を獲ったり、 >漁獲報告(または操業日誌)をごまかしたりしたもので というのも、国によっては漁業権剥奪ぐらいの罰則があります。
不正漁獲に寛容な日本の姿勢が国際社会でどう評価されるのか楽しみですね。 また、追加の情報がありましたら、お願いします。
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「普通の日記」へのコメントに当たらないかも知れませんが、日本漁船の国際漁場における操業実態と資源の重みを国際社会に問い掛けるような裁判を日本政府が提起しましたので情報提供します(http://www.jfa.maff.go.jp/release/19/070602.pdf、http://www.itlos.org/start2_en.html)。興味を持っていただければ幸いです。
この裁判は、昨年から今年にかけてロシア200海里で違法操業によって拿捕された2隻の日本漁船に関し、日本政府が国連海洋法の規定に従い、ロシアに対し「合理的な保証金」を条件に漁船船体と乗組員の早期釈放を要求したもので、裁判は国際海洋法裁判所で行われ、約1ヶ月程度で判決が出るそうです。
裁判について、(「負け戦はしない」と外務省国際法課は結果に自信を示している。)とか、(外務省によると、国際海洋法裁判所が判決を下した漁船拿捕事件6件のうち、5件は乗組員の解放などを求めた原告側が勝訴した。残る1件は、船の管轄権を持たないとして敗訴した例外的なケースだった。)など報道され、日本政府は裁判が始まる前から、さも勝訴したような楽勝ムードですが、果たして、そのような筋書き通りに事がうまく運ぶだろうか?
私はこの裁判において、資源を潰す大きな要因である違法操業、それもIUU漁業のような完全に赤信号無視の違反ではなく、許可を有した上で禁止魚種や割当量オーバーをするといった黄色信号無視の違反に対する罪の大きさについて、国際社会から一定の判断が下されるものと期待しています。さらに、そのような判断(国際標準)が日本の標準に近いのか、もっと厳しいものなのか、大きな興味を抱いています。
今回、争われる2隻は、何れも操業許可を有していたけど許可対象以外の魚種を獲ったり、漁獲報告(または操業日誌)をごまかしたりしたもので、日本政府のセンスでは、この程度の軽微(?)な違反に対し、船体没収や裁判手続きに伴う漁業者の負担等が重すぎる、というのが意識の根っこにあるようです。ところが、過去の国際海洋法裁判所の判例を眺める限り、明らかに軽微な違反、違反かどうか疑わしい事例にまで、船体没収や全漁獲物の没収を前提とした厳しい処分が当然視され、釈放の条件である「合理的な保証金」も数千万円から億単位が宣告されるなど、日本政府のセンスとの間に大きなギャップを感じます(http://www.itlos.org/start2_en.html)。
今回の裁判では、漁船船体と乗組員の早期釈放という点については、「合理的な保証金」を条件に日本政府が勝ち取る可能性が「あるかも知れない」と考えますが、「合理的な保証金」については、日本政府の思惑通りになるかどうか、大いに疑問を感じています。資源の価値に対する日本政府の感覚と国際社会の感覚の違いを象徴するような判断が下されるような気がします。裁判自体、漁業者よりも日本政府が主導的に提起したようですが、早期釈放は認められたものの宣告された高額の保証金を漁業者が支払えなかった(仕方なく税金で払った)、というような失態だけは御免被りたいものです。もっとも、そのような事態になっても、情報は公開されることなく、もみ消されるのが関の山と思いますが・・・。
何れにしても、約1ヶ月後の判決まで、事態の推移を見守りたいと思います。
いつも情報をありがとうございます。
これはまた面白い裁判を起こしたものですね。
注意深く推移を見守りたいです。
「IUUには厳罰で臨む」というのが世界的な流れだと思います。
>操業許可を有していたけど許可対象以外の魚種を獲ったり、
>漁獲報告(または操業日誌)をごまかしたりしたもので
というのも、国によっては漁業権剥奪ぐらいの罰則があります。
不正漁獲に寛容な日本の姿勢が国際社会でどう評価されるのか楽しみですね。
また、追加の情報がありましたら、お願いします。