今日は、青山でスケトウダラの内部検討会。
子供を保育園に預けてから、自転車で行くことにした。
代々木公園を突っ切るルートでいった。
空は曇りで空気は涼しくて、とても快適。
で、肝心の会議なのだけど、内容については書かないで欲しいとのこと。
俺がここに会議の内容に関連することを書くと、中の人が大変になるらしい。
関係者に余計な労力をかけたくないので、ぐっとがまんで、会議については書きません。
その代わり、情報公開の重要性について書くことにする。
現在のTAC制度が機能していない最大の要因はABCとTACの乖離だろう。
研究者が計算をした生物学的許容漁獲量(ABC)に対して、漁業者の合意が得られない。
結果としてABCを遙かに上回る漁獲枠が設定されて、資源は減り続けている。
漁業者にとってABCは、漁業を知らない研究者達が机上の空論ではじき出した数字にすぎない。
漁業者が、ABCに合意をしないのは心情として理解できる。
俺が漁業者だったら、絶対に合意をしない。
漁業者の合意形成を得るためには完成した資源評価票をポンと出すのではなく、
評価票がどのようにして作成されたかを公開していくことが重要だろう。
国内ではベストに近いメンツで、議論を重ねて、ABCを決定しているわけだ。
もちろん、会議でオフレコなネタもでるけど、それはほんの一部に過ぎない。
何でも隠し込んで、反論するための情報を与えなければ、つっこみは入らないかもしれない。
その代償として、ABCに対する理解は得られず、意味不明な数字として無視されることになる。
ABCを決めるプロセスを公開すれば、漁業者から反対意見も出るだろうが、
当を得た意見を取り入れることで、ABCの質を高めつつ、合意形成へと進んでいけるはずだ。
現在のように、ABCが決まるプロセスに箝口令をしいている限り、まともな反論は出てこない。
資源評価担当者が漁業者から罵詈雑言を浴びせられるだけで、ABCは無視され続けるだろう。
当事者に情報を提供してが議論に参加できるようにしないと、
理解も合意も得られるはずがない。
ABCに関して、もっと積極的に情報公開をするべきだろう。
どのタイミングで、どこまで情報公開をするかに関する議論が必要だと思う。
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Comments:1
- 今回は匿名でもいいですか?のヒト 06-08-03 (木) 22:56
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ブログ,興味深く読ませていただいております。
「漁業者の合意形成を得るためには完成した資源評価票をポンと出すのではなく、評価票がどのようにして作成されたかを公開していくことが重要だろう。」
との意見,大賛成です。実は,私は,PCで数字をはじき出している研究者の方々をあまり信じていない類の人間でした。
現場の状況,漁業者の実態はもちろんのこと,あなた方が使っているデータがどのように収集されているのか,どこまで分かって解析しているのだろうか,と・・・疑問を持っていたからです。
また,やはり,素人の悲しさからか,はじき出される数値が,どの様に計算されているのか?
『データ → ブラックボックス → 結果』
では,納得できないよぉ~(理解できない・・・オレ頭悪)と,私は思っていました。さて,
実は,私,若干,畑違いではあるのですが,秋にある資源解析系のシンポに数年前から参加させて頂いております・・・自腹で・・・物好き(笑)
その時に,松田先生のある二つの発言で,そして,氏のブログから,ある意味,どのように資源解析屋さんと向き合えば良いか,少しだけ分かった気がしました(気のせいかも?)。その一(先生の発言内容は結構,いい加減・・・でも,主旨は掴めていると思う)
「道東のエゾジカの資源量予測で,最初はなかなか,理解してもらえなかった(調査方法とかかな?)」
・・・こんなのは当たり前で,調査には多くの人員とお金がかかっていて,なおかつ,日程調整等々,調査をすることだけでも結構,大変な作業なのです,特に担当者は。だから,新しい良い理論でも,納得(理解)できない『理論』に『はい,そーですね♪』なんて言って,ホイホイとコレまでの調査方法を変える担当者は,まずいない・・・
「しかし,・・・中略(忘れた)・・・で,実際,やってみたら,良い結果が出た」
・・・先生の『考え方』を理解し,地元関係者各位に説明できたヒトがいたのね♪それは,双方にとって,とてもラッキー♪。こういうのって,自分に当てはまれば,最高だな・・・その二 (たぶん,ミナミマグロ関係で平松氏とやり合っていた時」・・・(発言内容は上述に同じ)
「色々なファクターがあって,簡単にはじき出せるものじゃない・・・平松談)」
「そんな事を言っているから,10年も,分からない分からないできてるんだ。そんなんじゃ,科研費はとれない。・・・我々『モデラー』は,・・・云々・・・」
・・・モデラー!!!・・・そっかぁー,『モデラー』かぁ・・・さて,その『モデラー』の一人であるであろう,氏のブログで,二つの逸話がありました。
それは,スケソの『数値』に対する,試験場職員の発言です。一人は,
「それじゃ,漁師が生活できない」と言ったのに対して,氏は「漁業者に飼われている研究者」と酷評。
もう一人は,
自らとったデータを元に異見を言ったのか,意見を述べたか・・・ちょっと,ど忘れ・・・
これに対しては,「このように,ポジティブな論議ができるのは良い」と,好評価。なるほどなぁ・・・ぅんぅん
水試は,
漁家経営の安定を通して,良質な水産資源を消費者に提供することを目的としていると,私は考えています。
漁業は一朝一夕にできるものではありません。漁業者は職人です。従って,彼らの生活を考えざるを得ない部分もあるのです。
と,同時に,研究者として,シビアな『数値』と向き合わなければならないのも事実。だけど,
後継者のいない,資源の枯渇している浜の老漁師に「おらだけの代でいいんだぁ,獲らせてけれ」
と,言われると,反論できんのですよ・・・それは,あたかも,江戸時代の大飢饉の時のように,
種モミを残さないと来年,米が作れないけど,今,コレを食べないと死んじゃう・・・ みたいな感じに似ているでしょうか?
また,このように,マジ話をしてくれるようになるまでに,漁師に,がっつり,はまっていかないと,とれないデータがあったりするし,調査するときにも,融通を利かせてくれたりとか・・・
つまり,『飼われている研究者』でなければ得られない情報もあるのです。
特に,沿岸漁業の場合はなおさらですね。TAC魚種の場合は,『獲ったモン勝ち』みたいなところがあるから,ある意味,シビアな数値に対しては嫌悪感がでてくることでしょう。
しかし,沿岸,というか,地先資源・根付き資源の場合は,単協が単独でそこから恩恵を受けるので,シビアな数値にも,誠実に対応する傾向があります
・・・特に,豊かな資源を持っている浜は・・・
・・・反対に,後継者も資源もない浜は,前出のじいちゃんみたいになったりも。。。(〃_ _)自ら,積極的に資源管理を目指している組合も多く(完全ではないですけど・・・漁師も色々なので),そのためのデータを水試や水産指導所に求めてきます。
さすがに,組合も人員いっぱいいっぱいで運営しているし,必ずしも水産学系,あるいは理系の大学を出た職員がいるわけでもなく,「密度面積法」でさえ,組合独自では,まともに出来ない場合が多い・・・っていうか,ほとんどで,そういう意味で,大変なんですね,漁協単独で資源量を把握するのって・・・てか,事実上,無理。だから,水試や指導所が手をかけなきゃならないわけですけど,
でも,出された結果を基に,なんとか,自主管理しようとします。
それは,『獲ったモン勝ち』ではなく,『一人がズルすると,みんながポシャル」世界だからです。
TAC関連魚種を対象とした漁業とは,赴きを異にしてますね。スミマセン,話があっちこっちに飛んだ上に,だらだらと長くなってしまい,『コメント』にそぐわなくなってしまいました。
でも,せっかく書いたので,もったいないから,カキコします(氏が読んでくれれば,ブログに乗せなくってもいいです・・・話,くどかったし・・・)。今後とも,ブログの更新を期待してます。
・・・それにしても,スケソ会議の内情が極秘扱いだとは・・・つまらん・・・