Home > その他 | スケトウダラ > スケトウダラのおもひで その4

スケトウダラのおもひで その4

[`evernote` not found]

先のエントリで、卓越年級群を過大評価するプロセスについて説明したが、
平成15年と平成18年の評価表を元に、どれぐらい過大評価したかを検証しよう。

平15評価

平18評価

過去5年

2歳

0.029

0.059

0.020

3歳

0.090

0.200

0.082

4歳

0.121

0.513

0.137

平成15年と平成18年の評価表より、卓越年級群が2~4歳で経験した漁獲係数(F)を抜粋した。
平成15年の時点では、Fをかなり過小推定していたことがわかる。
最後のカラムに、平18の評価表の卓越年級群より前の5年のFの平均値を示した。
これは平成15年の評価でのFの推定値と近い。
平成15年の時点で、卓越発生前のFはそれなりの精度で推定できていたのだ。
そして、卓越を漁業者が選択的に利用するということが織り込まずに、
そのFを資源評価に使ってしまった。

Fが過小推定されると、資源量は過大推定される。
大まかに言って、Fが半分になると、資源量は倍程度に推定される。

平成14年の資源評価では、

2歳魚で9.1億尾、2001年度には3歳魚で6.6億尾

平成15年の評価表には、

1998年級群が、2000~2002年度に2~4歳で、それぞれ8.4億尾、6.1億尾、4.3億尾と算定され、

とあるが、実際は4.1億尾、2.9億尾、1.8億尾であったことがわかってる。

平14評価

平15評価

平18評価

2歳

9.1億尾

8.4億尾

4.1億尾

3歳

6.6億尾

6.1億尾

2.9億尾

4歳

4.3億尾

1.8億尾

これが現在の資源評価の限界である。
だから、低水準資源の卓越年級群は細心の注意を持って、
成熟年齢まで保護しないといけない。
これは鉄則なので、ルールとして明記しておくべきだろう。

アンチ資源管理陣営は、資源評価が不確実だから、
資源管理などやめて漁業者は好きなだけ獲って良いと主張するが、
それがとんでもない暴論であることはいうまでもない。
不確実な段階で利用しなければ良いだけの話である。

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=406
Listed below are links to weblogs that reference
スケトウダラのおもひで その4 from 勝川俊雄公式サイト

Home > その他 | スケトウダラ > スケトウダラのおもひで その4

Search
Feeds
Meta
Twitter
アクセス
  • オンライン: 4
  • 今日: 577(ユニーク: 225)
  • 昨日: 656
  • トータル: 9519416

from 18 Mar. 2009

Return to page top