- 2013-05-28 (火) 11:04
- その他
産業振興については、いろいろな場所で議論されているので、別の視点から考えてみよう。政策的に国内産業を潰すには、どうするのが確実だろうか?
米国の禁酒法のように、流通自体を違法にするのは下策だろう。需要があるのに供給を止めるのは政治的に難しい。禁酒法だって結果として失敗した。
より確実な方法としては、供給サイドを腐らせてしまうことだ。本来なら、市場から退出すべき人たちに既得権を与えて、本業がいくらダメでも、居座れるようにする。競争力がマイナスな人たちを守るために、参入障壁を高くして、まともな経営体が入れないようにする。既得権益と参入障壁でガチガチにしておけば、その業界は競争力を失う。自立できなくなった業界は、既得権益と参入障壁を維持するために政治団体化して、まともな人材は寄りつかなくなる。
ここまでやれば、国内産業はみるみるうちに衰退していくだろう。しかし、この段階で安心してはいけない。国内産業が競争力を失えば、輸入品が入ってくる。輸入品には、2つのリスクがある。第一のリスクは、せっかく育てた政治団体がつぶれてしまうことだ。既得権団体が消滅したら、参入障壁が維持できずに、再び健全な国内産業が育ってしまうかもしれない。第二のリスクは、消費習慣が残ることだ。消費者がそれを望む限り、まっとうな産業が復活する可能性は消えない。これらのリスクを避けるには、国内産業保護という名目で、輸入品が入りづらい状況をつくらないといけない。輸入関税を高くしたり、公的資金で「国産品消費」を促進するキャンペーンを徹底する必要がある。
競争が無く、政治力だけで生き残っている産業は、割高な粗悪品しか生産できない。結果として、消費者は代替品に流れていくだろう。その結果が「消費者の~離れ」だ。この状態が長く続き、消費者が完全に離れてしまえば、その業界に復活の目は無くなるだろう。
注) 別に特定の産業について書いているわけでは無く、あくまで、一般論です。一般論として読んでくださいね。
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