- 2008-09-03 (水) 14:03
- コッド(北大西洋)
ヨーロッパのタラ(cod)のことを調べてと頼まれて、調べてみた。
忙しいのに、せっかく調べたのだから、資料として残しておこう。
と思ったら、予想以上に時間がかかっている。
まずい・・・
タラは、北大西洋に広く分布している。
実はタラの分布は、バイキングが広がっていった道筋でもある。
大航海時代以前には、食べ物の問題で長期航海ができなかった。
タラは、塩干しすると、非常に良質な保存食になるため、
当時の船は、タラがいる場所を伝って、北米まで行ったのだ。
というようなことが、この本に書いてある。これおもしろいよ。
飛鳥新社
売り上げランキング: 244236
鱈を窓にして読む西欧近代史
お腹が減りました・・
単なる魚の本ではない
その鱈はICESでは次のように細分化をして、資源評価・漁獲枠の勧告を行っている。
あ:グランドバンク
い:Greenland ICES Subarea XIV and NAFO Sub-area I
う:Icelandic Division Va
え:Faroe Plateau Cod (Subdivision Vb1)
お:Faroe Bank (Subdivision Vb2)
か:Division VIa (West of Scotland)
き:Division Vib (Rockall)
く:Division VIIa (Irish Sea)
け:Divisions VIIe-k
こ:Subarea IV (North Sea), Division VIId (Eastern Channel) and Division IIIa (Skagerrak)
さ:Subdivisions 22-24
し:Subdivisions 25-32
す:the Kattegat
せ:North-East Arctic cod
そ:Norwegian Coastal Cod (Subareas I and II)
それぞれの資源評価はこちら
資源として大きかったのは、あ(グランドバンク)と北海(こ)だ。
グランドバンクは乱獲で1991年に資源が崩壊し今も復活していない。
北海も資源が枯渇中で、かなりやばい状態。ICESとしては禁漁の勧告をしている。
それ以外のちまちました資源も、たいてい、悪い。
現在も、安定して漁獲を続けているのは、アイスランド(う)、
北東大西洋(せ、ノルウェー、ロシア)ぐらいだろうか。
上の図からも、EU,北米の漁獲が減少しているのに対し、
ノルウェー、アイスランドの漁獲量が安定していることが読み取れる。
ITQをいち早く導入したアイスランドとノルウェーのみが、安定した水揚げを続けている。
北海や北米では、多国の既得権が絡み合い、交渉は決別し、有効な手だてが打てなかった。
オリンピック制度の下では、漁業者は常により多くの漁獲枠を求める。
政治家は漁業者の票を得るために、漁獲枠を増やすように働きかける。
国際間交渉では、どの国もより多くの漁獲枠を主張し、決別。
結果として、過剰な漁獲枠が設定され、資源は枯渇し、産業自体は滅んでしまう。
漁業者は、漁獲枠拡張のために政治力をつかい、結果として、失業するのである。
その結果を、社会全体が被らされているというのが、ヨーロッパの現状だろう。
次回以降、管理に失敗している北海と、
それなりに成功をしているアイスランドとノルウェーの現状について、まとめてみよう。
(つづく)
- Newer: ヨーロッパのタラ資源 その2 北海編
- Older: 北海道新聞の取材を受けました
Comments:0
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://katukawa.com/wp-trackback.php?p=640
- Listed below are links to weblogs that reference
- ヨーロッパのタラ資源 その1 from 勝川俊雄公式サイト